「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

歌舞伎座 2018年4月 見どころ

にざたまの熱演に燃えた23月。3月の千穐楽も間近になってきましたね。

 

さて、そろそろ4月の演目が気になります。

4月の見どころはなんでしょうか?そして初心者向けの演目とは?

4月の歌舞伎座にかかる演目を観てみましょう。

 

4月昼の部

◆西郷と勝

真山青果作「江戸城総攻」より。新歌舞伎です。

セリフは現代語に近く、わかりやすい。けれどセリフが多くて、追いかけるのが大変なのが真山青果です。

今やっている大河ドラマ「西郷どん」のファンなら大いにおすすめ。今放映中の話より先のところですから、興味深くみられるのではないでしょうか。

ただし、華やかな~きらびやかな~美しい~をお求めの方はパスで。

歌舞伎らしさを求めるなら予想外かもしれませんが、「これも歌舞伎なの??」という新鮮な驚きは得られるかもしれません。

 

◆裏表先代萩

伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)は古典の中でも有名なお話で、今回の裏表先代萩はその派生作品です。

伽羅先代萩は、上演される機会も多くて毎年かかります。昨年は5月に上演されています。(仁木弾正 海老蔵)

先代萩は、

大悪人仁木弾正と妹の八汐たちが、足利頼兼の後を継ぐ鶴千代を亡きものにしようと画策。鶴千代を守ろうとする乳人の政岡を描くのが「奥殿の場」ですが、今回の「裏表先代萩」というのは、その前の段階のお話です。

鶴千代を殺すための毒薬の調合を依頼されている町医者の大場道益が、礼金に目がくらんだ下男の小助に殺されてしまうところが描かれます。

 

大悪人の仁木弾正と、道益殺しの小助を演じるのが菊五郎23年ぶりだそうです。

時代物の派生作品でちょっと世話物っぽいお話といったところでしょうか?

名優菊五郎の悪党ぶりが楽しみです。

 

夜の部

◆絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)

通し狂言です。通しというのは、ひとつのお話を最初から最後まで上演するということ。

 

「へ?当たり前じゃん?」と思うかもしれませんが、江戸時代の歌舞伎はとにかく朝から晩までずっとやっていて、「この続きはまた明日」なんてくらい長かったのです。それで、歌舞伎座では、一つの演目の中でも評判の良かった場のみ上演することが多いのです。それを「見取り」といいます。国立劇場では比較的「通し」でかかることが多いです。

 

どちらがよいとは言いかねます。見取りで観てばかりいて、あるとき通しで観ると「ああ、こういう話だったのか。そういう前段があったのか。なるほど腑に落ちた」ということもありますし、「通し」は長くて、すーっと夢の国に行くこともなくはなし。

 

と話はそれました。「絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)」に話をもどしますね。これは、左枝大学之助という悪い奴と、彼に瓜二つの立場の大平次というこれまた悪い奴がバンバンバンバン人を殺すというお話です(;’’)

ですので、殺人は嫌いという方はパスということになります。

 

4月は、ふわ~っと美しい、さわやか~、夢のよう~みたいな演目はないですね()

 

この中でひとつお勧めするとしたら、どれでしょうか。

 

それは「絵本合法衢」です。チラシを見てみてください。

 

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片岡仁左衛門一世一代にて相勤め申し候」とあります。これはいったいどういう意味でしょうか。

 

これは、「私、もう年を取りました。この演目のようにずっと出ずっぱりでやるのは、もう無理!だから今回がこの演目をやるのは、もう最後」って意味なんです。

 

仁左衛門丈!

 

本当に素晴らしい。御年74歳とはとても思えないそのりりしさ、軽やかさ、美しさ。

鶴屋南北のワルの世界が大好きだと語るほにゃっとした優しそうなこのお顔をご覧くださいな。そして傍らのポスターの憎々しくも美しいワルの姿を!

 ↓

www.kabuki-bito.jp

でも2015年のインタビューでは、こんなことを語っていますよ

「「悪役は気持ちいい。僕自身も世の中を生きるため人の善さそうな顔をしていますが、きっと悪人ですよ」とニヤリ。」

ですって。たまりませんなあ~。

 

www.daily.co.jp

 

今、この時代を生きている皆様。仁左衛門丈の演技を観られる。

これは大変な幸せでござんすよ。

 

というわけで、来月の一幕見は「絵本合法衢」で決定です!(´▽`*)

一幕見ツアーのご案内は近日公開予定。しばしお待ちくださいませ♪

2018年3月歌舞伎座

初心者向きのおすすめ演目をお知らせします。

 

昼の部

国性爺合戦

長くて若干夢の国からお誘いが来たりしますが、愛之助のりりしい和藤内にほれぼれ。

 

 

■男女道成寺

道成寺ものの1バージョン。踊りやきれいなものが好きな人はぜひ。踊りは眠くて苦手という人はパスで。

 

■芝浜革財布

落語の人情話「芝浜」がベースですから、わかりやすくておもしろくてホロリ。

美しさ、きらびやかな世界を求める人はパス。

 

夜の部

■於染久松色読販

くわしくは、前記事を読んでね。おすすめです。

 

神田祭

玉三郎仁左衛門のすばらしさを堪能してほしい。前記事を読んでね

 

■滝の白糸

新派の作品を、歌舞伎に。わかりやすいのでこちらもおすすめ、歌舞伎らしい歌舞伎を観たいという方はパス。

壱太郎が熱演、好演、松也もいい。

本当に、壱太郎の背中をずっと見ていたので、うなじと背中の演技がすごかった。

 

「よかったね」「よかったね」

「でも死ななくてもよかったのにね」というおばさまたちの感想。たーしーかーにー。


こちら、アップ忘れていた。ショックー!

 

 

 

神田祭

夜の部の、「於染久松」のあとが、「神田祭」であります。

 

これがあんまり素晴らしいので、ぜひ多くの方に観てほしい。

 

一幕見ツアーで、歌舞伎初心者のみなさんにも見てもらいましたけれど、みなさんがっつりハートをつかまれていたご様子!

 

予習も何もいりませんので、ぜひ!

 

幕見を2回みてきましたので、状況をお知らせします。

 

1回目の幕見。

18日(日)。幕見ツアーでみる目的は「於染久松」でした。でもそのあとの「神田祭」を見たい方がいればぜひ!と呼びかけると、全員が手を挙げてくださったので、6人全員で観ることに。

 

 

 

「於染久松」は、売り出しが2時35分。1時30分から並び、売り出し時には21番でした。お客様がいることゆえ、ホッと一安心。続けて「神田祭」を一緒に買います。何と18番。ということは、続けてみる方がほとんどということです。

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1時半で、すでに18番。売り出しは4時45分です。売り出し時には立ち見になっていました。

 土日休日、(といってももう今月は24,25日しかありませんが)、このときはかなりの混雑が予想されます。「神田祭」だけ見るにしても、2時半くらいには行っておいた方がよいかと思います。できれば「於染久松」から観ることをおすすめします。おもしろいしね!(´▽`*)

 

そして、翌月ようにも「神田祭」を見ることになってしまいました。これには事情があったのですが…(;’∀’)

このときは、ちょうど東銀座に行く用があり、所用が終わって時計を見たら、4時45分でした。

あらー。売り出しの時間じゃないの。きっと無理よねと思い、のぞいてみると「立ち見」になっていました。立ち見?全然OKじゃん!20分だし!

 

と、ついついチケットを買ってしまって107番でした。4時45分で107番ということは、5時過ぎでも大丈夫そうですね。責任持ちませんけれど。

幕見の席は、座席90,立ち見で60 合計150席です。

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そして、実際のところ、立ち見でも全然問題なーし!窮屈じゃなくてむしろ楽チンなくらい!

あまり素晴らしいので、あたしゃお隣でオペラグラスなしで見ていた外国人の人に、自分のオペラグラスを貸してあげちゃったよ。

「ほら、あなたもこれで見てごらん」って。

日本語しかできないけど。お節介おばちゃんだけど。

 

あとで、アリガトウとにこやかに返してくれました!コクサイシンゼン!やった!

 

もし、行かれそうな方はぜひ行ってみてください。

 

神田祭」は、玉三郎仁左衛門がすばらしい。たった20分であれほどの世界観を構築できるなんて、ものすごいことだと思います。

 

1度夜の部で観た後で、一幕見ツアーのスケジュールを考えるために、時間を見ていたら、「神田祭」の時間ってたったの20分あるかないかなんです。

「うん?」って思いましたよね。何かの間違い?

 

あのとび頭と芸者がお祭りの場で会って、めっちゃかっこよくってそのあと変なチンピラに絡まれて、チャンチャンバラバラ喧嘩して蹴散らかして、親方に「こいつと結婚したいんでさー」とご挨拶して、そのあともちゃんちゃんあって、二人で仲良く照れながら、イチャイチャしながら、お互いに着物の汚れとか払ってあげながら、どーもどーもなんて観客に挨拶しながら帰っていくってあれが? 20分?

 

もちろんふたりの息もぴったりだけれど、時代も飛び越えているみたいな、芸術的にも世界観的にもすばらしく構成がよくって、あれがたったの20分?

たしかにあっという間に終わったけれど、すごく濃厚だったけれどあれ20分だったの?という感じでしたが、たった20分なのでした。

 

初心者でもその素晴らしさに堪能できます。玉三郎仁左衛門の軽やかで非の付け所のない格好良さ、色っぽさをご堪能ください。今、この世に生きていて、東銀座の歌舞伎座に行けるなら!ぜひ。行くべし。

 

梅雨小袖昔八丈-髪結新三 2018年3月 国立劇場 特別当日券で半額!

今月は国立劇場で27日まで歌舞伎がかかっております。

 「増補忠臣蔵」と「梅雨小袖昔八丈」です。

 

まだまだ席が空いているので、あと1週間ですけれど、ぜひ観劇をおすすめします。

 

◆特別当日券

国立劇場にはキホン一幕見はないのですが、今月国立劇場さんが粋な計らいをしてくれています。

なんと「梅雨小袖昔八丈」のみ、一等席を一等席の半額の値段で観られるのです♪

 

「増補忠臣蔵」が、なんだかかわいそうですけれど(;’∀’)。もちろんどちらも観られるかたはどちらも観てくださいね!

 

国立劇場って、歌舞伎座に比べてグッとお値段が安いんです。

 

1等A席     9,800円(学生6,900円)
1等B席   6,400円(学生4,500円)
2等A席   4,900円(学生3,400円)
2等B席   2,700円(学生1,900円)
3等席    1,800円(学生1,300円)

 

歌舞伎座は、お国の援助もない中で商業ベースで必死にやっているのですから仕方がないとはいえ、毎月観劇したい身にとっては、チケット代もばかになりません。

なんといっても1等席は、18000円ですからねえ…。行けませんよ、なかなか。

 

それが国立劇場は1等席が9000円。ああ、苦労して税金払っていてよかったとしみじみ感じてください(笑)。あぜくら会に入っていればさらに1割引きです。

 

席はこちら。よく見てください。3等席の値段。1800円です。1割引きだと1500円です。歌舞伎座の一幕見席と同程度ですよ。びっくりですね。しかも1階のはじっこにも3等席あるんですよ。

http://www.ntj.jac.go.jp/assets/files/kokuritsu/zaseki/11-YN-CN-1A2A3-1A1B-2B3_JP-Y.pdf

 

さて、その1等席がさらに半額!4500円です!

 

奥さん、お得ですよ。

 

実は私、すでに3等席で1度観たのですが、

ぼんやりと「もう一度髪結新三みたいなあ…」と思っていたんです。

そしたら、このうれしいニュース。

 

というわけで、行ってきました。「特別当日券」

別当日券についてはこちら

 

気軽に歌舞伎を-3月歌舞伎公演 特別当日券発売! | 独立行政法人 日本芸術文化振興会

 

当日券のみ。19日の公演スケジュールですと、12時半売り出し開始。当日券のことがあまり知られていないのか、15人くらいしか並んでいませんでした。

 

席は選べませんが、花道すぐ横の14列目でした。

 

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▲キャッホ~い。いいお席だわん。

 

1時入場。1時35分より開演。4時には終わったので、時間も短くて楽。(日によって公演スケジュールが違うので、確認してね。今からなら23日だけ違うスケジュールかな)

 

内容は、世話物なので、きらびやかではありませんが、わかりやすいですよ。

 

手のひらを返したようにワルの本性を出す新三(菊之助)。翻弄される手代忠七(梅枝)。

ワルの新三も1枚上手の大家にはかなわず、うまいことだまされてしまう。

でもその大家も最後には…。

 

というお話です。そんなにむずかしくはないので、予習の必要もないかと思います。

 

◆梅雨小袖昔八丈-髪結新三 見どころ

菊之助。髪結いの手さばきが美しい。美しく、ちょいワル。でも大家に一本とられてあっけにとられるところ。

 

★新三の弟分。下剃の勝奴

この役は、新三の身近で新三の役をじっくり勉強できるところだから、いずれいつかは新三を遣ることになります。もちろん菊之助菊五郎が新三をやったときに勝奴を演じ、いつかは新三をやりたいと願っていたとか。

今回、萬太郎が好演しています。いつか新三をやるときのために、この好演を覚えておいてあげてくださいね。いい味だして

ます。

 

萬太郎クンは、時蔵の次男、今回忠七役の梅枝の弟です。声に張りがあって私も梅枝クンとともに好きな役者さんの一人です(好きな役者はいっぱいいる笑)

 

菊之助丈の息子の寺嶋和史くん

かわいい丁稚長松として出ています。

「今においらは役者になるのだ」というセリフがかわいいじゃないですか!

うん。おばちゃん、応援しているよ。

眞秀くんといっしょにがんばって、立派な役者になってね。( *´艸`)

 

★季節感

目に若葉。山ほととぎす、初ガツオと言いますよね。初ガツオは、江戸時代にもとっても高価で、単衣一枚と同じくらいの値段だったそうです。その初ガツオを「かっつぉ。かっつぉ」と言いながら売って歩く魚屋さんが出てきます。舞台の上で見事にカツオをさばきますよ!

 

★これぎりー。

最後は、勝負の途中で「本日はこれぎりー」と終わるところが歌舞伎っぽくていいですね。

慣れないと、「は?勝負の行方は?」となりますが、いーの。いーの。本日はここまで。

 

昔は、翌日に続きのお話をしたんでしょうね。おおらかな感じがして好きです。

 

その前の幕で、帰っちゃわないようにね。

 

 

ではでは。本日はこれぎりー。

 

於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)2018年3月歌舞伎座夜の部

2018年3月歌舞伎座夜の部で、「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」がかかります。

 

「お染と久松の心中事件?あの?悲劇はいやよ。」と思う人、ご安心ください!

今回の、たばこ屋・油屋 は、とても楽しくて、粋で、美しくておすすめです!

 

「お染久松?あの?博多座でもやった?お染の7替わり?( *´艸`)」

と思った方、残念ながら、お染の七役はありません。

 

こういうことがあるから歌舞伎は予習が無駄になったりして、困りますよね(^^♪

今回は、お染も久松も出てきません!早替わりもありません!

でもめっちゃ楽しめます!

 

★大阪で起こったお染・久松の心中事件がベース。「新版歌祭文」などで劇化されたが、「於染久松色読販」は、舞台を江戸に移し、四世鶴屋南北が1813年(文化10年)江戸森田座で初演。七役早替わり(7人の登場人物を次々と一人で早替わりしてみせる)、魅力たっぷりの悪人のゆすりなどが出てきてエンタメ性たっぷりですが、今回は、お染の七役早替わりの部分はありません。

でも、ストーリーはシンプルなので十分楽しめますよ!

 

今回の配役 お染も久松も出てきません!会話の中でのみ。

・土手のお六(玉三郎) 

悪婆(あくば)。悪婆とは、女方の役柄の一つ。ちょっとどすのきいたかっこいい中年の女性。昔の命の恩人である奥女中竹川から頼まれて、百両を工面したい。

 

・鬼門の喜兵衛(仁左衛門)お六の亭主

盗んだものを質入れしちゃってその百両を使いこんでしまったので、何とか工面したい。

こちらもめちゃくちゃかっこいい。

 

・山家屋清兵衛(錦之助

クールで正しい人。お染の許嫁。

                     

今回のあらすじ

とっても簡単に言うと、こんな話!

小梅たばこ屋の場

悪の魅力たっぷりの夫婦(お互いに別の理由で百両を工面しなければならない)のが、ひょんなことから丁稚の死骸を手に入れ(のちに蘇生)、ゆすりを思いつく。

瓦町油屋の場

ゆすり決行!ただし失敗して、すごすごと退散する

 

 

もう少し詳しく言うと、

★それまでのお話

 (下線を引いた登場人物は、七替わりをやる場合に、一人で演ずるお役。先月、博多座中村七之助が演じて、やんやの大喝采でしたね。しつこいようだが、今回はないからね。)

お染

久松:油屋に丁稚奉公(お家の再興を願う)

竹川:久松の姉、奥女中。お家の再興を願う。

清兵衛:お染の許嫁

善六:油屋番頭。お染に横恋慕。油屋乗っ取りをたくらむ。

お光:久松の許嫁。

小糸:芸者

貞昌:お染の母

土手のお六

多三郎:お染の兄。小糸と恋仲

 

キーワード 名刀義光と折紙(保証書)

 

 

・千葉家の家宝名刀義光と折紙(保証書)が紛失したため、久松の父は切腹、お家断絶となっている。

・久松とその姉竹川はお家の再興を願い、紛失した名刀義光と折紙(保証書)を探しているが、どうも油屋にあるらしいとの情報を得て、久松は油屋に丁稚奉公にはいった。お染といい仲に。

 

・油屋では、お染に横恋慕する善六が、乗っ取りをたくらんでいる。

・千葉家の家宝名刀義光と折紙(保証書)を盗んで油屋(質屋)に入れたのは、喜兵衛。

・善六は、蔵にある名刀義光と折紙(保証書)を持ち出してしまうよう多三郎(お染の兄)をそそのかす

・それを見ていた、丁稚の久太を体よく江戸から追い出す。

・手に入れた折紙(保証書)を隠したのが嫁菜売りの久作の籠の中

・喧嘩で、久作のおでこにけがをさせてしまう。

・清兵衛が納める、けがのお詫びに、袷と金一分を久作に与える

 

 

今月のお芝居は、ここからです!

たばこ屋

・土手のお六のところに、奥女中の竹川から手紙が届く。名刀義光がどうも油屋にあることがわかったが、それを請けだすために百両必要だから何とかしてほしいとのこと。

 

・そこへ夫の鬼門の喜兵衛登場。名刀義光を盗み出して油屋に入れたのは喜兵衛。請けだすために何とか百両を工面しないと。

 

・久作、登場。額にけが。袷を持ってくる。お六に仕立て直しと半纏の直しを頼む。預けられた桶に死体があったことと、久作の袷に油屋の符牒があったところで、お六、喜兵衛、お互いにピーンと悪知恵を思いつく。

 

・つまり、あんたたちに殴られてけがをした久作が死んだと。お前らが殴ったせいだといちゃもんをつけて百両取ってやろうという魂胆。久作はもちろん生きているし、大したけがではないのだが、死体に久作の半纏を着せて、久作だと偽ろうという作戦。ちなみに、死体は、さきほど、善六に追い出された丁稚久太で、フグを食べすぎて、目を回していただけ。

 

・死体を転がし、前髪を剃って、半纏を着せて、久作に仕立て上げ、準備万端整ったところで幕。

 

瓦町油屋の場

・油屋に乗り込むお六と喜兵衛。最初は丁寧な物腰。でもお店の人が久作を殴ったかどうか、確認すると、態度が豹変!

 

お六がゆすれば、喜兵衛がなだめ。ゆすりの連係プレーもバッチリ。

 

・店の人はびっくり仰天。おろおろして金を出して引き取ってもらおうとするが、「十や二十のはした金で料簡できるかい。百両出せ」と蹴散らかす。

 

 

・清兵衛登場。冷静に『死んではいないのでは?』とお灸をすえると、久太の死体と思われていた丁稚の久太郎が息を吹き返す。

・本物の久太も現れて万事休す!

 

・ゆすりは失敗し、からの籠を担いで二人は退散する。

 

見どころ

・悪婆「土手のお六」の美しい悪女っぷり。ゆすりっぷり。今回はお六が玉三郎、喜兵衛が仁左衛門というすばらしい配役。二人の息の合ったゆすりっぷり、格好良さ、そしてゆすりが失敗して、空籠を担いで帰るところなど、堪能してほしい。

 

玉三郎のお六と仁左衛門の喜兵衛は昭和52年(1977)年以来41年ぶりとなる舞台です!

このお二人のコンビは、本当に素晴らしいので、ぜひぜひ一度、見てくださいませ。

夜の部では、このあとの神田祭でもこのお二人の踊りがすばらしいです。

 

ぜひぜひぜひ!

 

というわけで、今月の一幕見ツアーは、本日と18日(日)

於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)を見ます。

本日はもう締め切っていますが、18日は、まだ受付中。

このほか、お店を紹介したり、歌舞伎座ギャラリーに行ったり、チケットの取り方を指南したり、楽しい時間を過ごしましょう。

 

初めての日曜の開催です!

↓こちらでーす。

tabica.jp

 

 

 

暫 

2018年2月歌舞伎座。昼の部。

一幕見ツアーはこちらを対象にして開催しました。こちらに記録を今さら~。

・「暫」とは?

歌舞伎十八番の一つ。元禄10年(1697年)初演。江戸末期に7代目団十郎歌舞伎十八番をえらぶ際に、一つの狂言として整理した。

筋が簡単な割にはやたらと登場人物が多い。それは、もともと顔見世狂言に入れるものだったから。

「今年1年、この顔ぶれでやっていくよ」というお披露目のようなものを独立させたもの。

 

配役

悪人側

清原武衡(左團次) 悪人。位は中納言なのに、権力を持って自分を関白に任命しようとしている。いさめる善人の首をはねようとする。

鹿島入道震斎 鯰坊主

照葉 悪人側かと思いきや、あとで善人側のスパイだったとわかるのだ!

 

善人側

・鎌倉権五郎(海老蔵) 超人。

・加茂次郎義綱 清原をいさめようとする。位としては清原と同等だが、「国守の印」をなくして立場が弱い(;’∀’)

・桂の前             加茂次郎義綱の妻。清原武衡が横恋慕

                     

あらすじ

とっても簡単に言うと…。

成田家の十八番です。悪い奴らに「おい、まてよ!」という、ただそれだけのお話です。

 

もう少し…詳しく(;’∀’)

・鎌倉鶴ケ岡八幡宮。悪行を尽くす清原武衡。→権力を持ち、加茂次郎義綱に横恋慕(桂の前)

 

(1)A清原武衡の家来VS B加茂次郎義綱と三郎義郷の家来 もめている(2018年2月昼の部ではここは省略。常にちょっとずつ違います)

原因

Bは大福帳を奉納したい。Aは「雷丸」を奉納したい。

 

(2)もめているところに清原武衡登場

一同、ははーっ!いばっているんですね。

 

清原武衡の家来が次々とゴキゲンとりのセリフをはく

・鹿島入道震斎 鯰坊主(なまずぼうず)という独特の扮装

・照葉     女鯰(おんななまず

 

清原武衡は、桂の前を気に入っており、嫁に差し出せと無理難題。

加茂次郎義綱が断る。桂の前も断る

清原武衡、怒って、首をはねよ!と命じる

 

・手下の成田五郎出てくる。首を切られるのか…

 

(3)鎌倉権五郎登場(義綱の兄、義家の家来)

・そこへ登場する加茂家の中心鎌倉権五郎。

「し~ば~ら~く~」 登場!悪人たちは、いやーな予感。

 

花道で名前を名乗る「ツラネ」

 

(4)悪人たちがビビりつつちょっかいを出す

悪人たちがビビる。やっぱりそうなのか、あいつなのか…。

 

悪人たちは、順番に出てはちょっかいを出す。

 

鯰坊主

なまずに去んでは(いんでは)この胸がすまぬ」

「恋美脚大和往来」の

「会わずに去んでは、この胸が」というセリフのパロディーだそうです。当時はだれでも知らない者はない流行りのセリフだったそうな。

権五郎の圧倒的な強さを楽しんで。

 

(5)本舞台へ。悪人どもを切り捨てて、去っていく

 

清原に詰め寄る。

・なぜ義綱らを殺そうとするのか

・関白の衣裳をまねているのは無礼ではないか

・雷丸は偽物だろう!

・国守の印がなくなったのは、お前たちが取ったのではないか。

 

女鯰照葉が国守の印を取り返す。

本物の雷丸(宝剣)も見つかった。加茂義綱に渡す。

悪者は悔しがり、善人たちは喜ぶ。

 

権五郎は、大刀を一太刀浴びせて、悪人どもをなで斬りに。

引き上げ。

 

見所

・悪い奴はとことん悪く、ヒーローはでっかくて強い。わかりやすい。

(正座をしている人は善人)

 

・スーパーヒーローっぷり!衣裳がすごくて楽しい!

権五郎はスーパーヒーロー。体を大きく見せる工夫。

車鬢(くるまびん)・力紙、

隈取は筋隈

團十郎家の三枡(みます)の紋を染め抜いた「素襖(すおう)」

袴の中に高下駄・

60キロ近くあるそうな!

 

・鯰坊主→鬢の毛が鯰のひげみたい。隈取も鯰のひげ。衣裳にはタコの模様

 

・鎌倉権五郎は、実は少年18歳!純粋なのだ

・子どもの心で演ずべし「坊にくだせえ。手え手えします」

・前髪

 

・化粧声

 ・権五郎が花道から本舞台に来てもろ肌を脱ぐ間、「アーリャー、コーリャー」という声が聞かれる。権五郎の「見得」に合わせて最後に「でっけえ!」という声。敵なのに?これも荒事の様式で、ほめていますw

 

おおらかで楽しく美しい歌舞伎の魅力、堪能してみてください! 

小さな子どもにもどんどん見せてあげてほしいな!と思います。

 

2018年2月 歌舞伎座

一幕見ツアーを何にするか悩みつつ、楽しく昼夜を観てきました。

【昼の部】

◆春駒祝高麗 高麗屋の襲名をお祝いする華やかな舞踊です。パッと幕が開けば、富士山に紅白の梅でこれだけでもめでたい感じ♪

◆一條大蔵譚 これもおすすめです。あほかと思われていた殿様が、実はあほではなかったというお話。20年以上もあほのふりをしているのも大変ですね。一瞬キリっとして、ふたたびあほに戻るというところが見どころです。

いろいろな役者がそれぞれ違う大蔵卿を演じるし、上演の機会も多いので、一度みておくとよろしいかと思います。

先日、イヤホンガイドの解説者・奥田健太郎さんのお話を伺う機会がありました。

「20年もあほの真似をしていて、一瞬のスパークとして正気に戻る。まあ、何十年に一度しか咲かない月下美人のようなものですわな。

苦渋のスパークを演じる吉右衛門

楽しくやわらかな仁左衛門

とにかく美しい菊之助。いろいろな大蔵卿がいます」

とおっしゃっていました。私は昨年種之助クンの大蔵卿を見ましたが、これは

「とにかくかわいい種之助」でした。

新・幸四郎はどうでしょうか。

 

◆暫 市川家の十八番です。一番歌舞伎の良さが見られるかな。ストーリーはいたって単純。悪い奴らに「おい、まてよ!」という、ただそれだけのお話です。

ぜひ衣裳にも注目していただきたいです。

◆井伊大老 しんみりとする新歌舞伎。

【夜の部】

◆熊谷陣屋 主君の思いを忖度して、敵の首ではなく、自分の子供の首を討つという今ではとても共感できないお話ですけれど、名作なのです。

◆木挽芝居賑 「芝居前」 と言われています。「芝居前」というのは、舞台を江戸時代の芝居小屋に見立てて、その前で襲名などの祝い事を見せることを言います。

今回はもちろん高麗屋3代の襲名披露口上を芝居仕立てで上演。ちょっとコミカルで楽しくめでたい一幕です。

美少年と巷で噂の新・染五郎も「美少年などと言われてはおりますが、一日も早く立派な俳優となって」などというので、会場からは拍手喝さい。

初日から日にちがたつにつれ、「美少年と言われておりますが」のあとで、「ええ?」と新・幸四郎パパが振り返ってぎょっとするようなしぐさを見せるなど、ますます盛り上がっているようです。

中央上手に座る片岡仁左衛門は座頭役となっていますが、両花道にズラリと並んで一言ずつ祝いの言葉を述べる役者たちを、一人ずつ首を左に右に向けながら(両花道なので、いちいち右を向いたり左を向いたり)ニコニコとうなずく様子も心がウキウキして楽しい気持ちになります。

皆リラックスしていて、仁左衛門丈もセリフを間違えたり、今日は間違えなかったと「セーフ」と手を広げるなど、ファンにはたまらないアドリブも垣間見られます。

圧倒的な存在感を放つのはやはり玉三郎でしょうか、おかみさん役で登場して、場を締めます。

仮名手本忠臣蔵 祇園一力茶屋の場

「七段目」と言われています。仮名手本忠臣蔵は、ながーいお話で、その中の七段目がここ。

今月、お軽と平右衛門を演じるのは、奇数日が玉三郎仁左衛門。偶数日が菊之助海老蔵です。

これですよ。今月なんといっても一番すばらしいのは。小さい声で言わせてもらえれば、「奇数日」ね。

今月というか50年の中で観るべき演目のひとつですよ。今生きているあなたはぜひ見るべき。

というのも私は多分40年ほど前に(ちょっと不確か、後で調べる)仁左衛門玉三郎の七段目を見ているのです。ん十年前ですよ。そこから年老いていないんです!それどころか、玉三郎なんざ全然かわいいじゃありませんか。20代前半に見えますよ。

まだ2月ですけれど、私の中では今年のベスト10入り間違いなしですね。

 

お軽というのは、軽い女だから「お軽」。ちょっと頭も軽めです。

とずらずら書いているとすっごく長くなってしまうので、省略。いつか書く。

で、今月の一幕見ツアー。何にするかですごく悩みましたが、「暫」にします。

本当は「七段目」が見たいけれど、一番最後の演目で、幕見が相当混むことが予想されるのですよね。お客様を連れていくにはちょっと予想がつかないので断念します。一人で観に行くならいいんですけれど。

 

「暫」。おおらかな荒事を楽しみましょう。江戸時代のデザイナーのデザイン力を愛でましょう。ユーモアセンスを楽しみましょう。

こちらが、申し込み先です。

 

初心者歓迎。観て知って楽しもう。歌舞伎ガイドが案内する「歌舞伎の世界」 | TABICA この体験が、旅になる。

 

2月22日(木)10時集合です♪