「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

1月の一幕見ツアー

みなさん。こんにちは!

海老蔵さんが襲名するということが昨日発表されました。

カンカンも新之助を襲名するとか。

来年は大変な歌舞伎ブームが巻き起こりそうですね。

 

さて、大ブームが来る前に、少しでも歌舞伎に触れておきましょう!

1月の一幕見ツアーは、17日に開催いたします。

観るのは「廓文章 吉田屋」

 

幸四郎さんが東京では初めての伊左衛門役。七之助さんが初役で夕霧です。

幸四郎さんは、昨年襲名もあって、弁慶など骨太のお役をずいぶんとこなしていましたが、本当は伊左衛門のようなボンボン役がピッタリ!

ニンって言うんですけど。

そして、昨年仁左衛門さんの助六の相手役、揚巻を見事演じ、ますます絶好調の七之助さん。

 

この二人の吉田屋。見逃せませんよ!ご一緒にいかがですか?

一幕見を見る前にしっかり解説。見どころを見逃さずに観ることができますよ♪

tabica.jp

 

 

新派 小川絵莉さん


たまに歌舞伎以外のコトも書きます。新派だから、ちょっと関係あるけれど。

 

大人未来というコンテンツで書いている50歳以上の生き生きとしている方々に月に1度ずつ取材しているのですが、もうすぐ4年目突入。

今回アップしたのは、33人目。劇団新派で活躍中の小川絵莉さんです。

こちらです。ぜひ読んでくださいね。

https://smtrc.jp/otonamirai/vol33.html

現在「日本橋」の舞台で松子役に取り組んでいる小川さんです。(私ももうすぐ観に行きます。とても楽しみー)

 

小川さんは、物心ついたときから女優になりたいと思っていたそうで、小学生のときから「女優になるためにはどういうコースを歩めばよいか」と考えていて、実際その通りになったのですが、高校のときに初代水谷八重子さんに弟子入りし、新派にはいったんですね。

それ以来、新派一筋。記事には載っていないようなことも、たくさん伺うことができて、とても面白い取材だったのでした。

 

お話を聞いて思うことは「神様って、ちゃんと役割を与えるんだなあ」ということ。

子どもの時からずっと好きなことを続けている人って、魅力的ですよねえ。

 

実は、私と小川さんは高校が同じです。小川さんは中学から入っていて私は高校から入りました。小川さんはすでに女優になる夢を持っていましたから、中学に入学するとすぐに演劇部に入りました。3年後私が高校に入学したとき、ちょっと演劇部にでも入ろうかなと思って、門をたたきに行ったことがあるんです。部室?体育館?どこだろう?忘れたけど。

 

その時に「なに?」と出てきたのが小川さんで、その明るさというか、オーラというか、はち切れそうなエネルギーというか、それが半端なくて、それだけでもう私はへなへなとなって、演劇部には入らず、ハンドボール部という高校から入った子ばかりが入部しているマイナーな部に入ったのでした。なんで、あんなへなちょこだったんだろう?私。(笑)

小川さんはライオンのようなヘアースタイルでお目目が大きく好奇心いっぱいな明るい女の子だったことを思い出します。

すでに書きましたが、小川さんは高校3年のときに、初代水谷八重子に初めて会って、そのまま弟子入りしちゃったのですが、その時に水谷八重子

「まあ、火事場の金時さんみたい」って言われたと聞いて、思わず吹き出してしまいました。あー、わかるよわかる。火事場の金時だったよ、あの頃のあなたは…と。

 

もしあの時に私が演劇部に入っていたら…?どうなったかなあ?思うにやっぱり私は裏方というか、シナリオ書く方に回っていたような気がします。

 

で、結局小川さんとは、卒業以来1度も会っておらず。

でも新派で頑張っていることは知っていたから「大人未来」でぜひ取材したいなと思い、友達の友達の友達をたよって連絡を取り、おずおずと取材を依頼したところ、快諾をしてくれたのでした。

会って話したらめっちゃ楽しくて、すっかり意気投合。

おいしいお店を教えてもらって、飲んだり食べたり愚痴ったり。同い年の貴重なお友達としてこれから仲良くやって行けそうです。

 

再来週の「日本橋」を観に行きます。

www.shochiku.co.jp

以前玉三郎さんの「日本橋」を観たことがあるので、2回目ですが、今度はどんな「日本橋」になっているでしょう。とても楽しみです。

松子役の小川さんにも期待大です。

マツコ・デラックスじゃないからね!」と小川さん大笑い。

いやいや…。思わず笑っちゃいますよ、その明るさ。

いろんなことを乗り越えて、高校時代とはまた違う明るさの小川絵莉さんです。

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私の誕生日サプライズでお祝いしてくれたー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018年歌舞伎ベストテン

みなさま。あけましておめでとうございます。

今年もどうぞよろしくお願いします。

 

年が明けた途端に昨年の話で恐縮ですが。。。

 

2018年ベストテン発表。個人的なもので、好みに偏っています(笑)。

時系列でのベストテンなので、1位は決めてません。

 

ベストテンと言いたいところだけれど、どうしてもこれ以上削れないので、2018マイベストフォーティーン!です。

 

1月 操り三番叟 種之助 あんよがピーン、ふわふわシュッ。<浅草>

2月 一力茶屋 にざたま 何十年も変わらぬ美しさってどゆこと?

3月 神田祭 にざたま 息もピッタリ。幸せをありがとう!

4月 絵本合法衢 仁左衛門 一世一代これぎりー!感動でクラクラ眩暈。

6月 夏祭 吉右衛門 魂を削る渾身の演技

9月 俊寛 吉右衛門 魂を削る渾身の演技

10月 助六 仁左衛門 最高にしびれた

11月 楼門五三桐 吉右衛門菊五郎 存在感ドドン!

12月 国立 五右衛門 吉右衛門 キッチーが楽しそうでよかった♪

11月 中村座 舞鶴五條橋 勘太郎 ようがんばった!

11月 中村座 一力茶屋 七之助 次代をしょって立つ!任せたぞ!

12月  三社祭 鷹之資 千之助 心が洗われた♪ <南座

12月 南座 義経千本桜  権太 仁左衛門 泣けたよ泣けた。<南座

12月 傾城雪吉原 玉三郎 ひれ伏すのみ。背景とともに完璧!

 

女方ベスト10

1月 滝の白糸 壱太郎 後姿でも、ど色気満載。魅せまっせ。

2月 玉様 お軽 ベストオブベスト!

3月 玉様 土手のお六 真骨頂!

4月 絵本合法衢 うんざりお松 時蔵 蛇の生皮ピキーっとはがすよ。やんややんや。

5月 コクーン お富 梅枝。あら粋だねえ。

5月 雲の絶間姫 菊之助 美しすぎる!君がこーわい~♪

8月 心中月夜星野屋 七之助 軽妙洒脱で好き好き大好き。

8月 花魁草 扇雀 い~い女だねえ!

10月 助六 七之助 頑張ったなあ。

12月 傾城雪吉原 玉三郎 ひれ伏すのみ。

12月 土手のお六 壱太郎 頑張ったなあ。よく声も出て。ねえ。

 

忘れ得ぬこのシーン。この一瞬。

 

1月 おめでとう!猿之助の涎くり

2月 神田祭ほほを寄せ合うにざたま、照れて観客にペコペコするにざ!!

2月 一力茶屋。全シーン笑

3月 髪結新三。菊之助の髪なでつける華麗な手さばき

4月 絵本合法衢 お松を殺したあとの太平治。井戸に着物を投げ入れ、下駄を捨て5本の指をパッと開いた手。とラストシーン。てか、カーテンコールよね。

 

9月 俊寛のラスト 吉右衛門

10月 傘を差して3階席を見上げる助六!(笑)と「なーんてこったい」

 

こうしてみると、なんて幸せな1年間だったことでしょう。

 

2019年もあけました。早くも東蔵さん、亀蔵さん、左團次さんが体調不良にて休演とのこと。どうぞお大事に。そして

役者の皆様のご健康をお祈りしつつ、私も元気に体調管理をしつつ、観劇をし、さらに皆さんに歌舞伎の楽しさをお教えし、かつ教えていただければと思っております。

 

どうぞよろしくお願いします。

 

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お正月の歌舞伎座


 

於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)柳島妙見~大詰めまで 2018年歌舞伎座12月昼の部

大阪で起こったお染・久松の心中事件がベースのベース。「新版歌祭文」などで劇化されたが、「於染久松色読販」は、舞台を江戸に移し、四世鶴屋南北が1813年(文化10年)江戸森田座で初演。七役早替わり(7人の登場人物を次々と一人で早替わりしてみせる)、魅力たっぷりの悪人のゆすりなどが出てきてエンタメ性たっぷり。

序幕は、早替わりで見せ、中盤はストーリーで見せ、大詰めは立ち回りと早替わりで魅せます。

早替わりは、面白いのですが、あくまでも「着せ替えショーで終わってはいけない」というのが先人の教え。7人は、性別、環境、身分、性格、すべて違いますから、衣裳だけではなく、中身もキチンと替えないと、平板な「着せ替えショー」になってしまうというのです。

とはいえ、とにかくすごい。最初のうちは「お、かわったぞ。」なんて余裕で観ていますが、最後にはもうなんでそうなるの?なんで???え?の連続。観ているだけでも目が回るので、本人及び、早替わりを支えるスタッフさんは戦争でしょうね。特に大詰めはすごいです。

ストーリーや背景もしっかり把握しつつ、早替わりは肩の力を抜いて思う存分楽しみましょう~!


★登場人物!(下線部分は、お染七替わりで一人で早変わりをする役)

お染
久松:油屋に丁稚奉公(お家の再興を願っている)
竹川:久松の姉であり、奥女中。お家の再興を願う。
清兵衛:お染の花婿候補。
善六:油屋番頭。お染に横恋慕し、油屋乗っ取りをたくらんでいる。
お光:久松の許嫁。恋して、狂っちゃう。
小糸:芸者.多三郎と恋仲。鈴木弥忠太(喜兵衛に義光を盗ませた張本人)に横恋慕されている。
貞昌:お染の継母。お染には清兵衛と結婚してほしいと思っている。
土手のお六:悪婆(あくば)。悪婆とは、女方の役柄の一つ。ちょっとどすのきいたかっこいい中年の女性。昔の命の恩人である奥女中竹川から頼まれて、百両を工面したい。

鬼門の喜兵衛(松緑)お六の亭主
盗んだものを質入れしちゃってその百両を使いこんでしまったので、何とか工面したい。
多三郎:お染の兄。小糸と恋仲

 

キーアイテム

名刀義光と折紙(保証書)
折紙がどこにあって、どう移動していくかは把握しておきたい。

 

今日のお話に入るまでの経緯

・千葉家の家宝名刀義光と折紙(保証書)が紛失したため、久松の父は切腹、お家断絶となっている。
・久松と姉、竹川はお家の再興を願い、紛失した名刀義光と折紙(保証書)を探しているが、どうも油屋にあるらしいとの情報を得て、久松は油屋に丁稚奉公にはいった。久松はお染といい仲に。
・お染の母(継母)貞昌尼は、お染に山家屋清兵衛と結婚してほしいと思っている。
・油屋では、お染に横恋慕する善六が、乗っ取りをたくらんでいる。
・千葉家の家宝名刀義光と折紙(保証書)を盗んで油屋(質屋)に入れたのは、喜兵衛。質に入れて得た100両は使い込み。


【柳島妙見の場】


ここでは、折紙がどう移動していくのか。丁稚の久太はどうなっていくのか、野菜売りの久作はどうなるのかしっかりチェックしておきましょう。

油屋のお染が、久松と柳島妙見に参詣に来るというシーンです。お染・久松がクルクルと早替わりをします。

 

・善六は、蔵にある名刀義光と折紙(保証書)を持ち出してしまうよう多三郎(お染の兄)をそそのかし、盗ませた。
・その悪だくみを丁稚の久太が見ていた。
・善六は、その現場を見られたので、悪事が露見すると困ると思い、丁稚の久太を体よく江戸から追い出す。(その後、久太はフグともち米を食べて目を回して失神。死んだと思われる)

・善六は手に入れた折紙を嫁菜売りの久作の籠の中に隠す。

・善六は、その籠から折り紙を取ろうとするが、渡す渡さないで久作と喧嘩になる。
・善六の手下(油屋の使用人たち)も巻き込んでの喧嘩となり、久作は額に傷を負ってしまい、袷のそでも破られてしまう。

・山家屋清兵衛が、喧嘩の仲裁にはいる。久作に詫びて袷と一分金を渡す。

 

 
【料理屋橋本の場】→早替わり重視

 

ここは、早替わりを見せるためのシーンなので、ストーリーにはあまり関係ない。下線のある人を一役でやっているので、どうぞびっくりしてください♪


弥忠太は小糸(多三郎と恋仲)を追いかけまわす
善六はお染を追いかけまわす。どちらもふられる。
ふられたふたりは、部屋へ入る久松の姿を見て、お染久松の密会と思い、踏み込むが中にいたのは奥女中の竹川だった。

 

【小梅莨屋(たばこや)の場】ストーリー重視


いよいよ、面白いところです!土手のお六と鬼門の喜兵衛が出てきて、ますますストーリーが面白くなってきます。ここと瓦町油屋の場は、早替わりはありません。

 

悪の魅力たっぷりの夫婦(お互いに別の理由で百両を工面しなければならない)のが、ひょんなことから丁稚の死骸を手に入れ(のちに蘇生)、ゆすりを思いつく。

【瓦町油屋の場】ストーリー重視


土手のお六と喜兵衛。ゆすりを決行!しかし失敗して、すごすごと退散する。

莨屋と油屋のあらすじに関しては、以前書いたこちらを参照してください。

munakatayoko.hatenablog.com


【瓦町座敷の場】→早替わり重視


貞昌尼は、お染に清兵衛と結婚するよう説得。一方、久松は土蔵に閉じ込められています。お染久松は、もはやこれまでと心中を決意します。お染は籠に乗って先に隅田堤へと向かう。

 

【裏手土蔵の場】


鬼門の喜兵衛、土蔵を破って刀を盗み出そうとしますが、久松が中にいたので見つかり、二人はもみ合いに。どう見ても久松のほうがなよなよで弱そうですが、争った末、久松は喜兵衛を切り、お染の後を追い、隅田堤に向かう。

 

大詰め
向島道行の場】ここの早替わりは、もう本当に謎!

 

立ち回りと早替わりで楽しんでください♪


・駕籠かきがお染を善六の元に連れ去ろうとしているが、久松が取り返す。

・久松の婚約者のお光が、久松とお染の噂を聞き、久松恋しさで気が狂う。

お染久松は追手に囲まれるが土手のお六が登場して助ける。

 

立ち回りがあり、早替わりがあり、見得あって、チョンとはいって、「本日昼の部は、これぎり~」と壱太郎クンの朗々とした声が歌舞伎座内に響き渡り、幕。

 

壱太郎クンは、玉三郎丈に「土手のお六は、歌舞伎座全部を強請るつもりでないと、4階まで声が届かないよ」と言われていたそう。立派に4階まで届きました。立派でした~。

まだまだ若い壱太郎クンですが、その覚悟、これからの歌舞伎座をしょって立つその気概や、よし。そんな気合のこもったお染久松でした。

 

幕見

序幕が11:15売り出し 12:50~13:52 1000円

柳島妙見の場~小梅莨屋(たばこや)の場

 

2幕目 13:05売り出し 14:02~14:48 900円

瓦町油屋の場~裏手土蔵の場

 

大詰め 14:15売り出し 15:03~15:40 900円

向島道行の場

です。通してみることもできます。

 

ではでは、お楽しみを~。

 

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幸助餅

ファン心理は、前月の「お江戸土産」に通じるところもあり、最後は、落語の「芝浜」に似たあたたかな人情にほろり。

・何といっても、悪人が一人も出てこないから、とっても温かな気持ちになれます。気ぜわしい年の瀬に、こういうお芝居を観ると、落ち着いて心が洗われて、いいものですね…。

・特に解説も必要なく、誰が見てもわかりやすいお芝居です。

 

上演時間は、1時間20分。今月なら11:00~12:20.幕見は、10:30売り出し。10時過ぎに行っても十分チケット取れるのではないかな(責任持ちませんが)


■作者: もともとは落語「大黒屋幸助」が原作。曾我廼家五郎ペンネーム一堺漁人いっかいぎょじん)が松竹新喜劇のために書き下ろし。今回は今井豊茂が補綴・演出。

■登場人物 


・大黒屋幸助(松也) 餅米問屋の若旦那。相撲取りに入れあげて、財産をなくしてしまう。反省してもすぐに元の木阿弥。一体どうなる?

 

・関取雷五良吉(中車)真摯なお相撲さん。熱心なファンでいてくれた幸助のことを大事に思っている。


・幸助女房おきみ(笑三郎
・三ツ扇屋女将お柳 (萬次郎)
・叔父五佐衛門(亀蔵

■あらすじ


・幸助は、もち米問屋の若旦那。相撲取りの「雷」にお金をつぎ込んだ挙句に財産を失い、今ではしがない長屋暮らし。

・妹のお袖を廓に奉公に出してしまった。そこで得た30両で、店を再興しようと考えている。

・三ツ扇屋の女将お柳から30両を受け取った幸助は、お柳からも叔父からもこれからはしっかりと働いて早くお袖を取り返さないと、遊女にされてしまうよと諭されて、2度と相撲は見ないと誓いつつ家路を急ぐ。

・そんなとき、雷にばったりと出会う。もう、相撲は見ないと誓った幸助だから、いったんは素通りしようと思ったものの、ますます立派になった雷を見てうれしい気持ちは押さえられない。「大関になった」と報告を聞けば、ついついうれしくなって、今もらったばかりの30両を「化粧まわしでも買いな!」と、つい雷にあげてしまう。

・「心の紐も、財布の紐も、とけて流れる30両」…。うまいね…。

・しかし、そこへ幸助の女房おきみと叔父の五左衛門が登場。大事な30両をどうしたのだ!

・料理屋に入った雷を呼び出し、「やっぱり、さっきのお金は大事なお金だった。返してほしい」と3人でお願いする。

・人情味のあふれる雷のことだから、「そういうわけか、あいわかった」と返してくれるかと思いきや、なんと冷たく突き放された!

・呆然とする3人。

・幸助は雷につかみかかるが、そこはお相撲さん、簡単に突き飛ばされてしまう。幸助は、雷の羽織の紐をぶっちぎって、悔しがる。

・その後、幸助はすっかり相撲に縁を切り、まじめに働いて幸助餅はおいしいと評判になりお店は大繁盛。雷の羽織の紐を戒め替わりに額に飾り、臥薪嘗胆、見返してやろうと、必死に働いたおかげだった。

 

・ある日、店に雷がくる。「あの冷たい野郎が来た」と幸助は腹が立ってならない。あの時にお金を返してくれなかったために、辛抱に辛抱を重ねて働いてきたのだから。
幸助餅を注文する雷に、投げるように餅を渡す幸助。

・雷が立ち去った後に残っていたのは30両の包み。「今さらこんなものもらえるか」と雷を追いかけていく幸助。

・しかし、雷には思いがあった。それは…。

というお話。

■見どころ■

幕開け
・にぎやかな街に、お大尽(今で言うならヒルズ族?)が出てきて派手な遊びっぷりを見せている。次に登場する幸助との対比がわかりやすい。

 

愛すべきポンコツを、松也が好演
・幸助のファン心理。わかりますね~。前月の「お江戸土産」と通じるところもあるが、普段はつましく暮らしていても、大好きなファンのためには、パーンとお金を使ってしまう。しみったれたところは見せたくない。たった今、誓ったばかりなのに!
その愛すべきポンコツぶりを、松也がとってもよく演じています。

 

大和田常務を彷彿させる、中車の土下座
一見冷たい奴と思われた「雷」ですが、実は情の熱い男だった。大和田常務を彷彿とさせる土下座を観ることができます。

 

落語の「幸助餅」も観てみよう
家に帰ったら、もしくは観劇前に、ぜひ落語の「幸助餅」も観てみよう。これは「この作品はむずかしいので、予習復習で」ということではないです。

こういう原作を、歌舞伎にするとああなるのか~、なるほど。と見比べるのもとっても楽しいですよ。

YouTubeで観ることができます。ほんの30分ほどなので、お気楽にどうぞ。

 

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幕見チケット売り出し時間はこちら。

 

 

 

幕見と お土産処木挽町と喫茶室檜 一般開放

昨日はtabicaの歌舞伎ツアーを開催しました。

幸か不幸か、おひとりの参加。で、めっちゃお客様に合わせてカスタマイズしました。

当初、「幸助餅」を見る予定でしたが、実は「お染久松の序幕だけ、先週観た」とおっしゃるので、それなら、2幕目と大詰めをみましょうか?とご提案させていただきました。解散時間も変わりないので、そのようにして、スケジュールの中身を変更。

 

子育て中でなかなか時間が取れないというお客様。2回に分けて、でもお染久松が全部見られてよかったですね!

 

「これならなんとか、昼の部通しで観られそうな自信がつきました。今度は、昼の部通しに挑戦したいです」と言ってくださいました。

 

この冬一番の寒い中、並ぶのはツライかなと思っていましたが、おかげさまですいており、(寒いせいか、幕見が阿古屋に集中しているせいかわかりません)、並ばずに売り出し時間に行っても余裕の22番でした。

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余裕ですね。

 

売り出し時間までは木挽町広場でうどんを食べつつ、演目説明(笑)

1時5分にさっとチケットを購入して、その場を離れ、4階に行くまでの時間、ちょうど1階のお土産処がオープンする時間だったので、喫茶檜でおいしいコーヒーをいただき、さらに演目説明!

 

「お土産処木挽町」と「喫茶室檜」は、歌舞伎座チケットを持っていないと通常は入れませんが、毎月時間によって一般開放してくれます。(お芝居の時間は、お客様がいないからね)

今月の「お土産所木挽町」と「喫茶室檜」は、13:05~13:40 16:45~17:30と一般開放しています。ちょうど、2幕目のチケットを買ってから入場できるまでの時間があいているのです。今月は。

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歌舞伎座横から出入りができます。

 

ゆっくりとコーヒーを味わってから、1時45分に歌舞伎座4階の幕見席へ。

2時5分から、2幕目スタート。2時40分まで。

 

15分の休憩ののち、3時3分から3時40分までが大詰め。

 

無駄なくゆったり幕見と檜と楽しめ、寒い思いもしなくてよかったです。

 

檜は、コーヒーのソーサーにも歌舞伎座鳳凰マークがついていますよ。

 

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鳳凰マークがチラリ

おいしいサンドイッチやケーキもあります。

是非皆さんも寄ってみてください。

 

ちなみに、月の後半になると、当月のお写真がこちらで売り出されるのでファンの方も来て少し込み合います。

 

 

お染久松については、また後程。こちらでもあらすじはわかります。

munakatayoko.hatenablog.com

 

中村種之助 花道会セミナー

今日は歌舞伎座3階「花篭」で開催された花道会セミナーに参加しました。

花道会セミナーは、花道会会員ではなくても単発で参加することができます。

 

今月、昼の部も夜の部も出番がある忙しい中、種之助氏の登場。

どんな装いで来るかな~と思ったら、スーツだった。お似合い。

 

登場するといきなり「播磨屋!」と声がかかり、会場がわっと沸く。温まったところでさっそくイヤホンガイドの吉崎典子さんを聞き手に、始まった。

 

10月の歌舞伎座夜話歌昇さんが、ガッツリまじめだったのに比べると、どことなく飄々としていて、柳に風みたいな感じ。うまく受け流したり、かわしたり。かと思うと、気が付いてみたら意外とまじめに話していたり。興味深い話もあり、楽しめるセミナーだった。

メモ書きそのままですが、記録として残します。

 

<まずは今年の演目より>

 

【11月歌舞伎座

出番は、素襖落、楼門五三桐、法界坊。

・素襖落

あこがれていたので関われてうれしい。

 

・楼門五三桐

吉右衛門菊五郎というおふたりの舞台に出られるのはありがたい限り。完成された中に新しい風を吹かせたいが、まだまだまだまだ。

 

・法界坊

野分姫は2回目。お姫様らしくやるようにと言われたけれど、「お姫様らしくって、何?」。せかせかせずにゆったりとした動きを心がけた。

 

猿之助さんとは昨年の浮世風呂以来?浮世風呂のときは、なめくじ役。出番は短くていいお役だった(笑)。猿之助さんに「いいなあ、僕なめくじやりたいんだよ」と言われた。

猿之助さんは、三助もなめくじもどちらもやっている。どちらもやっているのは、猿之助さんと父親又五郎くらいのものなので、僕もいつか三助をやりたい。

 【10月】

10月の酒呑童子もいずれやってみたい。あれは中村屋さんのためにあるような演目ですねえ。

 

―10月は、勘三郎さんの追善公演だったが、勘三郎さんの思い出は?

6年前に亡くなったので、あまり関わっていないが、2010年のさよなら公演のときに、道成寺の所化をやったときのこと。揚幕のところに坊主がずらっと並んでいるときに、勘三郎のおじさんに「みっちゃん(又五郎さんの本名は光輝)そっくりだね」と言われた。(それでなんとなく喜んでいたら)中日に部屋に呼ばれて「セリフがなんかおかしいんだよなあ」と言われてしまった。で、「今いくつ?」と言われたので16、だか17だかと答えたら「当時のお父さん、もっと上手だったよ」と言われて…。

でも、あの時初めて大人の仲間に入れてもらったような気がしました。

筆者注)これは、葛西聖司著「僕らの歌舞伎」にも語られているエピソードですね。「僕らの歌舞伎」では、そのエピソードのあと、

勘三郎さんって、いいですねえ。

本当に雲の上の存在。その勘三郎のおじさんが僕のことを気にしてくれて、身近な父が実は遠い存在で、けれども同じ舞台に僕が立っているんだと再認識されたんです。

「僕らの歌舞伎」より

 と語っています。忘れられないエピソードですね。

【9月幽玄】

いやあ、すごい演目でした。「そこではいって」と言われても「どこで?」という感じで、どこから入っていいかもわからない。日体大の集団行動を作った感じ。左右の人たちと、一つのモノを作り出そうと頑張った意欲的な作品です(と、棒読みだったので、本心は違うのかな?笑)

獅子についても、「高ぶるのを抑えて」と言われたのは初めてだったので、「高ぶるのを抑えて」やりました。

毎年8月しか休みはないが、今年は幽玄のけいこが双蝶会終わってすぐに始まったので、ぼくの夏休みはどこ~みたいでしたね。

 

(筆者)幽玄は、大変だったのかな。こりごり…なのかな?

 

【双蝶会】

事務方からすべて自分でやっている。

 

教えてくれた人のたくさんの引き出しができた。大きな財産だ。

来年あるかわからないつもりでやっているが、

幸四郎さんに、最初に出てもらったときに「10回続けることを条件に出ます」と言ってくれたので、10回はやらないと…。でも毎年1回だと10回目が30歳になっちゃうから、さすがに30になっても勉強会と言ってられないので、来年、3回連続、同じ演目でやろうかな(笑)

 

吉右衛門さんからはどんな教えを受けたか?

本当は、こうだけれど、こうやろうなんて教えてくれたこともありました。それはなにかは秘密です(笑)。

 

狐忠信が難しかった。出ただけで説得力を持たなければいけないと言われたが。狐言葉、義太夫。セリフと義太夫とのつながりが難しかった。身体的な難しさは、高く飛んだりすればいいけれど、セリフと義太夫のつながりは、まだむずかしい…。

 

【7月大阪松竹 車引 勧進帳

車引の杉王丸は、やんちゃに見えるようにがんばりました。勧進帳の四天王は、他の四天王とはまったく違う。名曲でもあるし、すごく好きなので、やることができてうれしかった。これからずっと四天王でもいいくらい。(弁慶とかではなくて)

幸四郎さんが、ずっとずっとやりたかった弁慶。舞台稽古のところから幸四郎さんの雰囲気、顔からしてすごくて、「本当にやりたかったんだなあ」とひしひしと感じた。

 

【6月 夏祭】

放蕩息子の磯之丞役。その前に、相撲場の与五郎(双蝶々曲輪日記に出てくるお金持ちのボンボン)をやっていたので、そのイメージで入りました。けれども梅枝さんから「あまりに柔らかすぎる」と言われてしまった。磯之丞は、与五郎とは違う。なぜならば磯之丞は侍なんです。だから、そこまでやわらかくせず、でもどこか、かばいたくなるような奴。

「大体お前がそもそもあんなことをしていなければ、こんなことにならなかったのに!」って奴なのに、どこか許しちゃうような、そんな風になるように考えました。

 

【2019浅草歌舞伎】

―まずポスターができましたね。

 

いやもう大変でしたよ。朝7時に浅草集合。ほぼ全員集合しました。ほぼです(笑)

 

―ちょっと合成っぽい感じですけれど、本当に浅草の橋で撮影したんですね?

 

はい。天気が悪くて、道の濡れているのを隠すために、この色(ピンクと黄色)を道に重ねて、それと合わせるために、上の新春浅草歌舞伎を派手めのピンクにした…みたいな…。で、結局本当に撮っているのに、逆に合成っぽくなってしまった…みたいな…。(笑)

 

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演目について

昼の部は戻駕色相肩、義賢最期。夜の部は番町皿屋敷と乗合船恵方萬歳に出ます。

番町皿屋敷は、もうもうびっくりしました。

へえ、番町皿屋敷なんだ。ふーん、ふーん、ふーん。え―――――!?俺がお菊~~~!?

って感じ。

ふり幅が広くて…。お菊からの才造ですから。

番町皿屋敷の後でやる割にはいいわね。と言われないよう、一つひとつがんばります(笑)

 

どれも大きなお役なんで、一つひとつ考えて行こうとおもいます。

 

特製弁当ができるらしいです。

ポスターの撮影撮りのときに、全員から好きなおかずを聞くように言われて、僕が一人ひとり聞いていったんですが、梅丸がふまんじゅうとか(笑)。それを全部盛り込んだ弁当ができるらしいです。ほとんど肉、肉、肉でしたけれど…(笑)。僕は銀だら煮つけ(笑)

 

【新作に対する思いは】

Q以前、赤目の転生が面白かったと言っていたが、新作が好きなのか?

「あれは、面白かったです。以上」というだけの話。よく「歌舞伎役者がやれば なんでも歌舞伎なんだ」という言い方をされるが、僕はそれはちょっと違うと思っている。歌舞伎をしっかりできる人がやれば、何でも歌舞伎になるかもしれないが、まだまだ自分は「歌舞伎ができます」とは言い切れない。だから、まずは歌舞伎ができるようにならなければいけないと思う。新しい作品には出てみたいし、声がかかればありがたいが、そんな気持ちでいる。

 

新作は視野には入っているということですね?

 

視野に入っていても、その役が来るとは限りませんのでね(笑)

 

【父・又五郎さんの指導とは】

ここはこうした方がいいという言い方は、ない。「これはダメ。これはおかしい」という言い方のみ。

 

筆者注:最低ラインは押さえていて、あとは自分で考えるというのは、いい指導だな。

 

歌昇兄とのやりとりは?

ないです(笑)。先月中村屋と一緒にいたが、勘九郎七之助は楽屋でもずっとしゃべっていてびっくりした。仲良すぎですよね。あんなに仲良くはないです(笑)。

今月は「おはようございます」しか会話はないです(笑)

 

ー甥っ子はかわいい?

かわいいです。「将軍」と呼ばせています(笑)。将軍って言えるかな?と試してみたら言えたんで、そのまま「将軍」に。自分を指さして「誰?」と聞くと「将軍」っていう(笑)

 

まだ「ありがとう」も言えないのに。将軍って言える笑。プレゼントは生まれたときに毛布をあげたくらいで、他には何もあげていない。ありがとうと言えるようになったら、おもちゃとかあげようかな。今は電車がすきです。

 

ーこれからお年玉とかも上げるようになるのかな?

お年玉?お金はね~~。行先が違うとこに行っちゃうからあげない(笑)

【今後やりたいお役は】

そんなに先のコト考えてもしょうがない。今は「来月の役を早くやりたい」と、毎月そう思っています。12月は国立。

 

でも、踊りはずっとやりたいなあ。芝居は、考えすぎてしまうんです。「考えすぎて表に出ていない」と梅枝さんに言われた。踊りは、音がどんどん迫って来るから考えている暇がないのがいいのかな。

 

―やりたい役は?

俊寛

 

尊敬してやまない吉右衛門のおじさんのやっていることが僕のやりたいことでもあるが、吉右衛門にはなれないです。体格も、ニンも違う。

けれどもおじさんの舞台で生きる心構え、そういうところが播磨屋の芸。そういう部分を大事にして、継承していきたい。

 

僕は「歌舞伎が好きで好きでしょうがないというタイプ」ではなくて、「あこがれている先輩みたいになりたい」という気持ちが強い。舞台がうまくいかないときもあるけれど、それを舞台で引きずらないように、ヤケクソでもいいのでプラスに変えてやっていきたい。

【尊敬する人】

吉右衛門さんのほか出てきたのが、天王寺屋さん。

天王寺屋さんが大好き。(富十郎さんのこと?要確認)

人柄も好きだけれど、「歌舞伎役者は額縁からはみ出しちゃいけない」と言いつつ、自ら額縁を広げちゃう人。

 

(筆者注:これは奥深い言葉ですな。額縁からはみ出してはいけないけれど、自ら額縁を広げる…。うーむ。深い…)

 

浅草の戻駕色相肩は、山城屋さん。乗合船恵方萬歳は、天王寺屋さんに従ってやるつもり。あこがれに向かって進みたい。

 

Q&A

ー今年のお正月の操り三番叟が素晴らしかったのですが、梅丸さんとの息もぴったり合っていましたね。あれは、どうしてみてもいないのにあんなに息が合うのですか?また、人形の浮遊感はどうやっているんですか?体重を全然感じませんでした。

 

かかとをつけると、体重を感じるので、つまさきで移動したり、着地の音を出さないようにするなどの工夫をしました。

梅丸との息を合わせるのは…、実は隠れた秘密があります。ひみつです(笑)

あとは、雷門助六の操りの踊りなどを参考にしました。

 

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こう書いてみると、結構まじめだなあ(笑)。はぐらかされているようで、ちゃんと言っていることは言ってますね(^^♪

 

睡眠不足気味で、いつも眠そうって言われちゃうという種之助クン。休みの日にはひたすらダラダラしているそうです。

 

吉右衛門のおじさんをこよなく愛していて、播磨屋として継承していきたいというのは歌昇さんと同じご意見でしたね。

 

まだまだこれからの伸びしろをたくさん感じる種之助クン。なめくじ以降、女形のお役も増えたと嬉しそうに言っていたので、当分かわいいお役が見られそうで楽しみです。

浅草では踊りも番町皿屋敷も、堪能できそう!

 来年も播磨屋をますます盛り上げていってくださいね!

 

※2018年11月19日、追記修正しています。