「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

高時

こんにちは。今日は7月歌舞伎座で上演されている「高時」のご紹介です。

予習にお役立てください♪

■概況■

上演時間54分。

明治17年(1884年)初演。

■登場人物■

北條高時 市川右團次

秋田入道 市川寿猿

大仏陸奥守 片岡市蔵

衣笠    中村児太郎

 

■あらすじ■

簡単に言うと。

人間よりも犬を大事にし、闘犬やお酒におぼれる、傲慢で愚かな北條高時が、天狗にさんざんこらしめられるというお話です。

 

全体は、3つのシーンに分かれます。

 

シーン1 

幕開けは、立派な籠に犬がのり、家来が数人いるところです。

家来たちは「人と生まれた身の上で、犬のお供はまっぴらだ」

「早く家に帰って酒でものみたい」などとぼやいています。

 

この犬「雲竜」は、闘犬として負けたことがないので、高時のお気に入りなのです。

 

渚(安達三郎の母)という女性と孫がそこを通りかかります。小さな犬が飛び出すというアクシデントがあります。これを見た雲竜が籠から飛び出し、慌てた犬が渚にぶつかり、雲竜は渚にかみついてしまいます。

 

そこで、安達三郎が犬を打ち殺し、雲竜を殺した罪で捕らえられ引っ立てられていきます。

 

このシーンはストーリーにとりわけ意味を持つわけではありません。執権北条高時は、犬を籠に乗せ、人間よりも大切にするような愚かな君主であることを表すエピソードです。

 

高時は、闘犬にあけくれ、田楽舞にうつつを抜かして政務をおろそかにしているのです。

 

浅葱幕が落とされて、一瞬のうちに舞台が変わり、北条家の奥殿です。

 

シーン2では高時が登場します。

美しい女性たちを侍らせて、お酒を飲んでいます。そこで愛犬を殺されたことを報告され、怒りに燃えます。

打ち殺したものを死罪に致せとわめく高時を、大仏陸奥守(おさらぎむつのかみ)が制します。

 

何卒寛大な処置をという大仏に

「こいつを死刑にしなければ、また愛犬を殺す奴が現れるかもしれない。なぜ止める」という高時。

「たとえ愛犬であっても、獣のために人命を失うのは、正しい道とは言えません。万民の手本であるならば、助命が正しいかと思う」

と言っても「お前の言うことは聞かぬ」と言って聞きません。

「ご先祖様が、正しい道を貫いてきたからこそ、向かう敵を切り、今の繁栄を得ることができたのです。そこから何代も続き、謀反を企てるものもなく、天下平穏だったのに、人命より獣を大切にするようなことがあれば、頼りない君主だと下々の者から言われかねません。なにとぞ助命を」と嘆願すると、

高時は

「もっともだ。これからは犬を殺すものがあっても、死刑にはするまい」納得するのです、ところが、死罪にしないのは、次回から。今回はどうしても許せないから、安達三郎を死刑にすると言います。一同困り果てたところへ現れたのが、秋田城之介入道延明

「どうしても聞き入れないならしょうがない。けれどもご先祖さまの命日にあたるのでそのようなことは、ご先祖様も悲しむでしょう」と諭します。

そこでようやく高時は、安達三郎を助命する気になります。

 

家来はその場を去り、女たちを相手に酒をのみ始めたところ、雷がなり、女たちも怖がって去っていきます。

 

シーン3

部屋の明かりが消え、天狗が現れます、田楽法師かと勘違いし、喜ぶ高時ですが、天狗たちに翻弄され、一緒に舞ったり、くるくると回されたり、すっかり馬鹿にされてしまうのでした。

 

後に残ったのは、天狗の無数の足跡と、はははははという天狗の笑い声のみでした。

 

■見どころ■

 

天狗の跳躍や、ダンス。ここかと思えばあそこ。まさに天狗のように飛んだり跳ねたり、回ったり。歌舞伎役者の身体能力の高さも見てくださいね。

高時をこらしめてくれるのが、痛快です。

 

今回高時を演じるのは、右團次。今回は3回目とのことで、生き生きと演じています。

■余談■

今回高時登場の場面では、歌舞伎では珍しく、横向きに座っているんです。つまり上手から下手に向かって座っています。

そのため、上手側の観客席だと、少々セリフが聞きづらいかも。

幕見席などで、今から席を選べるなら、なるべく下手側にいたほうがよく聞こえそうです。

とはいえ、天狗に翻弄されるシーンではまったくそれはお構いなし。さんざんやりこめられてばったり倒れちゃいますよ。お楽しみに。

 

 

「恋飛脚大和往来」こいびきゃくやまとおうらい

恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)

※(こいのたよりやまとおうらい)という読み方もあります。

 

元になった実話 宝永年間(1704~11)亀屋忠兵衛が金銀を盗んでその金で遊女を身請け

 

近松門左衛門が 冥途の飛脚 その後改作の末、歌舞伎化されたのが恋飛脚大和往来。

長い話の中の、封印切りと新口村の場面が現在ではよく上演される。

 八右衛門のキャラクターなどが変化。冥途の飛脚では、八右衛門が、親身になって忠兵衛のことを思いやっている親友なんですねー。文楽ではこっちが上演されることが多いようです。

 

■簡単なあらすじ

飛脚屋亀屋忠兵衛が、遊女を身請けするために公金に手を出してしまい、破滅する話。

 

■登場人物

・忠兵衛(仁左衛門) 亀屋の養子。(実家は大和の百姓) 遊女梅川と恋仲。人当たりはいいので人気はあるが、軽くて調子がよくて、粗忽。飛脚屋のボンボンだが、自分で自由になる金はない。

・梅川(孝太郎) 遊女だがピュアで、忠兵衛に心底惚れている。

・八右衛門(愛之助) 梅川に惚れているので忠兵衛の存在が面白くない。人望はないが、金はある。梅川を身請けするために250両持ってきた。

・井筒屋の女将おえん 忠兵衛と梅川の恋に、理解を示しており、久々に来た忠兵衛を梅川に会わせてやる。

槌屋治右衛門 梅川を抱えている親方。こちらも人間味があり、梅川の幸せを考えてくれている。

 

■詳しいあらすじ

 

一場 会えない時間が愛を育てる!?の巻

 

幕開けは、井筒屋の座敷でお大尽が遊んでいる様子。梅川は忠兵衛と会えず、元気がない。

忠兵衛は、梅川を身請けするべく、50両の前金を支払ったが、残金の支払い期日を過ぎてしまった。そんな中、八右衛門が身請けをすると言い出したためますます気が重い。忠兵衛に手紙も出したのに返事が来ない。おえんを相手に愚痴っている。

 

忠兵衛が登場。蔵屋敷に為替の金をおさめに行く途中、ついつい足が梅川のいる井筒屋に向いてしまう。

蔵屋敷に、はよ行きましょ、行きましょ。でもなあ、せっかくここまで来たのに、なんや心残りー」

なーんて、ぐずぐず、ふらふら。きょろきょろとうろちょろする忠兵衛。

手ぬぐいを頭にのっけて「梶原源太は、わしかしらんえ~」ってのは、梶原源太という2枚目のことを言っているので、まあまあチョウシのってます。

 

「おえーんさん」なんて高い声を出して、おえんを呼び出し、やっと梅川と会えました。

 

二場 せっかく会えたのだもの。少しゆっくりしていってよの巻

 

久しぶりに来た忠兵衛を見て、おえんが二人だけになれるようウラの離れの外に案内してやる。

 

忠兵衛は、早く蔵屋敷に行かなければいけないので、気が気ではないが、それでも梅川に会えた喜びで、ついイチャイチャ。

イチャイチャしたり、ちょっとわざといじめたり、まあ、普通の恋人同士ですね。

 

三場 えーい!もう我慢できない!封印切り!!の巻

 

座敷にもどった梅川のところへ親方が戻って来る。八右衛門に身請けされるなんて嫌だ。忠兵衛がいいと泣く梅川に、そうしてやるかという気持ちになる親方。

 

八右衛門が来る。忠兵衛は二階の座敷へ。

八右衛門は、身請けするつもりで来たのに、断られて腹が立ち、忠兵衛の悪口を言い始める。

 

マシンガンのようにあることないこと言う八右衛門(多少は真実もあるから余計腹がたつ)に、2階で聞いている忠兵衛は、イライライライラ。

ついに我慢ができず、下に降りてくる。

その後、さらに八右衛門の挑発が続き、ついに忠兵衛は、親からもらった小遣いだと嘘を言って、切ってはいけない公金の封印を切ってしまう。

 

身請けの金だと喜ぶ人たち。あっけにとられる八右衛門は、しかし紙包みから公金であることがわかり、役所に走っていく。

 

二人だけになったときに、忠兵衛は梅川に実はこの金は公金であることを伝え、こうなっては死罪をまぬかれないから、一緒に死んでくれとたのむ。

 

喜び沸き返る人々の中、二人は悲痛な思いで、道行へと出ていく。そのギャップがなんともな幕切れです。

 

新口村は、その後の二人の道行の話です。新口村も良く上演されます。封印切りの話の続きかあ。と思って観てくださいね。

 

■見どころ

今月は、松嶋屋祭りだ!忠兵衛が仁左衛門。おえんが秀太郎(仁左衛門兄)梅川が孝太郎(仁左衛門長男)上方のふんわりした和事の芸を堪能しましょう。

 

1忠兵衛の、前半から後半への変化

仁左衛門が軽い関西弁の男を、軽やかに演じる前半。そして、八右衛門の話を聞きながら、2階でイライラしていく様子。そして、ついに階下に降りて八右衛門と直接対決をしていき、次第に感情が高ぶっていく様子。最後、封印を切るところの心理描写では、三味線も効果的に使われている。忠兵衛はしょうもない奴だけれども、やっぱりどうも憎めない。仁左衛門が天下一品。

 

2憎々しい八右衛門

ちゃらんぽらんしているようでも人気は絶大な忠兵衛に比べ、アブラムシだのなんだのと悪口を言われてますますひねくれる八右衛門は、それでもやっぱり憎たらしい。愛之助がポンポンガンガンガツガツと関西弁で追い詰めていく。

 

3いい味をだしているおえん

女将おえんが、いい味。

最近はおえん役が多く、「おえんといえば秀太郎」とまで言われますが、ご本人はじつはその評価はとても寂しいんですって。

2019年6月1日のブログでは

http://hidetarokabuki.blog65.fc2.com/page-1.html

よくお褒めの言葉で「秀太郎と言えばおえん。おえんと言えば秀太郎 」と言われるのはとても寂しいです。私の梅川を見てくださっていたご贔屓もだんだん少なくなってしまったし、今元気に舞台を勤めているのを、ありがたく思わねばなりませんね~

とポロリと胸中を明かしています。

ちなみに仁左衛門丈は、八右衛門役のほうが好きらしいですよ♪

今回は、八右衛門役を演じた愛之助、だみ声炸裂の関西弁で、すごくよかったですね。

 

千日前とは…

おえんさんが、最後に門出を祝う気持ちで「名残は惜しいが、千日言っても仕方がない」と言います。がその時の忠兵衛の胸中は、実は穏やかならざるものがあります。

大阪みなみの千日前は、昔は墓地や刑場があったところ。もう自分は生きていても刑場に行くしかないと思えば、ああもう一刻もこんなところにいられない。早く、少しでも遠くへ。3日なりとも夫婦でいたいという梅川を連れて、早く!そんな気持ちになったことでしょう。

 

おもしろかった。何度もみたかった封印切り。

今度は誰の封印切りが見られるのかな?と思っていたら、巡業でやるのね。

 西コースで観られます。ぜひどうぞ!

www.kabuki-bito.jp

 

寿式三番叟

舞台中央には大きな松が描かれています。能から来た作品は、このようにシンプルな舞台に松の絵のみ描かれており「松羽目物」と言われます。

この作品は、能楽の「翁」から派生したもの、国土安穏、五穀豊穣を祈るもの。

 

そもそも能と歌舞伎の違いとはなんでしょうか。能は余計なものをどんどんそぎ落としてシンプルにした芸で「完成された芸」と言われます。

一方、歌舞伎は、どんどんと進化したり膨れたり、吸収したりを繰り返すため「未完成の芸術」と言われています。

だから、能の「翁」とは違って、歌舞伎の三番叟は様々なバージョンがあり、それぞれ個性豊か。

たとえば、人形振りの操り三番叟などがあります。平成30年正月の浅草歌舞伎で、中村種之助が躍った操り三番叟は、素晴らしかった。今でも目に焼き付いています。

というか、あれがきっかけで、私は初めてブロマイドを買い、4月に衛星放送で上映されるということで、4月から衛星放送の契約をし、ますます歌舞伎沼にどっぷりつかるようになっているのです。

 

ちなみに、昨日、衛星放送で古い映像で実川延若丈の操り三番叟が放送されていました。すでにお年を召されてからの舞台かと思いますが、種之助クンのほうが圧倒的にすごかったですね。あの、宙に向かってピンと伸び切った足、一気に脱力してストンとしゃがみ込むような動作のあと、ふんわりと惰性で少し体が浮くところなど、まったく木彫りの人形としか思えませんでした。あの時の操り三番叟は、後見が梅丸まるるで、これまたよかったんですよねえ。。。

 

失礼。話がそれました。

寿式三番叟は、前半翁の舞、千歳の舞があり、その後舞うのが三番叟。

 

ツイッターでは、もっと三番叟って厳かなものなんじゃないの?なんて意見もチラホラありましたが、筋書を見ましたら、

「歌舞伎では若々しく、力強く、リズミカルに踊るのが三番叟の特徴です」とのこと。

 

今回の三番叟は、松也と幸四郎。息の合った力強くも美しい踊りです。大いに「力強く、若々しく、リズミカルに」踊っていましたね。

どんどんとリズミカルになって、力強くなって、最高潮に達します。

終わった後は、観客から「ほぉぉ」と何とも言えない、ジワというのかな、声にならない感動、そして拍手で歌舞伎座内は満たされていました。

 

松本幸四郎 (昭和48年生まれ)昨年幸四郎を襲名。1年かけて襲名興行を行って弁慶などの骨太の役にも挑戦して成功をおさめたが、本来は、色男の伊左衛門のような役がニンだと思う。様々な取り組みに挑戦している中堅。夜の部では「風雲児たち」の主役大黒屋光太夫で出ずっぱり。タフですねえ。

 

尾上松也(昭和60年生まれ) 

今の若手のちょいと兄さん世代。お父さんである尾上松助が早くに亡くなり、後ろ盾なく、苦労して今の地位までたどり着いた努力家。姿よく、どんな役でもパワー全開でこなしている。ちょっとむっちりしているので痩せた役は不向きかも(;’∀’)。妹は新派女優春本由香

 

今月、本業多忙につき、これが6月初めての投稿となりました。というと、今が暇になったのかというと、まったくそんなことはなく、実は本日千穐楽。もう一度昼の部を観に行きたいと思っていたが、ついにあきらめた。あきらめついでに、ブログを更新。くー。残念。

インバウンド歌舞伎ツアー「寿曽我対面」を観る


本日、インバウンド歌舞伎ツアーでした。

今日のお客様は、アメリカの学校の先生ジョンさんと助産師学校の先生をされていたクリスさんご夫婦。

f:id:munakatayoko:20190515221733j:plain

ステキなジョンさんとクリスさん

月曜に70歳になったばかりのジョンさんは、日本に来る途中の飛行機でサプライズでお祝いをされたとかで、いたくJALに感謝していました。

 

65歳まで働いて、その後はお二人で世界中を旅しているそうです。とっても仲の良いお二人でした♪

 

そんなお二人はなぜ歌舞伎に興味をもったのでしょうか?

伺ってみると、なんとジョンさんが30年ほど前に、アメリカに来た歌舞伎を観て印象に残っていたからだそうです。

 

なんと!すごいですね。30年前にアメリカに行った歌舞伎役者さん、グッジョブですよ。

 

ちょうど雑誌「演劇界」に平成歌舞伎渡航地図というのが載っていたのでみてみました。平成元年に猿之助(現 猿翁)がニューヨーク・ワシントンでやっていますし、平成2年には吉右衛門宗十郎アメリカ各地12ヶ所も回っているんですね。きっとこのころに、歌舞伎を観て印象に残っていたんでしょう。ずごい!

 

定年後、若いころに気になっていた伝統芸能を観に行く旅なんて、とても素敵ですね。

 

今日はチケット売り出し前の時間を利用して演目説明をし、「寿曽我対面」を観劇。終わったあとで、クリスさんがすごいマジな顔で、キッと私を見たので、「わかりにくかったのか?つまらなかったのか?」とギクっとしたら、

「ア メ イ ジ ン グ!」と!

 

そして、「歌舞伎役者の歩き方、声の出し方、化粧、衣裳、すべてにおいて素晴らしい。伝えようとする気持ちがすごく伝わってきた」と言ってくれて、圧倒されたと。とてもうれしかったです。

ジョンさんも「とてもパワフルだった」と。

 

歌舞伎役者の皆さまにも伝えたい!

 

そして、朝比奈の中の人がこの人ですよと歌昇クンの歌舞伎夜話のときの画像をスマホで見せたところ、

「おーーーー!キューーーーーート!ハンサムボー―――イ!」ととても驚いていました。

 

木挽町広場でもあれこれ興味深く眺め、興味津々のお二人。

f:id:munakatayoko:20190515221906j:plain

木挽町広場にて

 

f:id:munakatayoko:20190515222012j:plain

おみくじも買ったよ!

 

歌舞伎座ギャラリーへ!

 

f:id:munakatayoko:20190515222133j:plain

始まり始まりー

 

f:id:munakatayoko:20190515222543j:plain

決まりました!

小道具で遊んだり、写真を撮ったりしたのですが、ちょうど映像が愛之助の「梅王丸ができるまで」だったので、化粧に興味を持っていたクリスさんにはぴったりだと思って、観ました。案の定、とても喜んでいました。そして、愛之助さんのことも、お気に召したご様子(笑)

「梅王丸ができるまで」というのは、梅王丸というキャラクターを作るまで、つまり隈取をして、衣裳を着て舞台に出るまでを撮った15分ほどの動画ですが、とてもお勧めですよ。

何しろ衣裳を着つけるのが、男5人がかり。布団のような着物を着せ、大繩のような帯を締め、汗だくで大変なのです。それを見るだけでも、「歌舞伎ってなんてすごいんだ。歌舞伎役者って半端ない」と思えますよ。何度見てもおもしろい。

 

ほんの4時間ほどのお付き合いでしたが、一期一会。たくさん握手をして、覚えたての「アリガトウ」をたくさん言ってくれて、お別れしました。

 

明日は野球をみて、京都に行くそうです。良い旅を!

 

そして、通訳さんは今回もすばらしかったです!

サポートありがとうございました。

exp.wow-j.com

 

 

 

 

 

 

 

 

西郷と豚姫

2019年7月に歌舞伎座でかかる「西郷と豚姫」についてご紹介します。

 ■作 池田大伍

■初演 大正6年

昨年の大河ドラマを見た人であれば「近藤春菜のやっていた西郷にポーっと惚れる女中さんと、西郷どんのお話ですよ」と言えば、あーなるほど!とポンと膝を打つに違いない。

 

「西郷と豚姫」は、大正6年の初演時には「西郷とお玉」という題名だったが、その後延若のお玉で再演されたときから「西郷と豚姫」に変わったそう。  豚姫って、インパクトが強い…。

 

以下、西郷と豚姫のお話は、大体ハリセンボンの春菜を想像して読んでいただければと思う。

■あらすじ■

幕末の京都三本木揚屋。豚姫というあだ名の仲居お玉は、太っていたためそんなあだ名をつけられていたが、明るくて面倒見がよく、誰からも好かれる性格だった。

 

そのお玉が密かに心を寄せているのは、薩摩藩西郷隆盛。最近顔を見せないので気になって元気がない。周りのものたちからは

「なんぼ自分が肥えていやはるいうたかて、あんな太いだぼだぼした西郷はんのどこがいいのやろ」

と笑われている。

 

西郷が顔を見せないのは、お殿様に、蟄居を命じられたからだった。もう一度会いたいと気をもむお玉の前に、西郷がやって来た。ただし、幕府の追手から逃げてきたところだった。

 

「幕府からは憎まれてつけねらわれる。殿さまからはご勘当、もうどこへも行くところのない身になったな、あはは」と寂しく笑う西郷。

 

お玉はすっかりと気持ちが西郷にうつり、思いのたけを語る。

最初は何だかとりとめのないような方だと思っていたけれど、次第に心惹かれていく様子。

「大ようで底のわからん、それで懐かしい、世の中にもこんな豪いお方があるかと思うと…」

そして、「大きな大きなお日さんの一杯さした野辺にでもいるような気持ちになり、」

ほかの人が下らなく見えてきて、心に穴があいてしまったようだという。とはいえ奥さんになれるわけでもなし、もう一度会えたら死んでもいいと覚悟を決めたと切々と語る。

 

西郷は感に堪えたように、嬉しいと泣きだし、一緒に死のうという。

 

お玉も、そんな気持ちであったから、行きましょうとその気になったところ、中村半次郎が来る。蟄居は解かれた。すぐに江戸へ下れという命令を持ってきたのだ。

 

西郷は、「心中はもう変更(へんがえ)だ」とお玉に言い、お金を渡して去っていく。

お玉はあっけにとられている。

 

というお話です。

 

■みどころ■

 

こう書くと、身も蓋もない話のようですが、お玉の気持ちになると、なんだかとってもしみじみとしてしまいます。

本当に西郷どんが好きだったんですねえ。

 

西郷どんも、決してチャラチャラと二枚舌ないい加減野郎というわけではなく、精神と肉体のギリギリのはざまで常に戦っているわけですから、ああもう死のうと思うこともあるでしょう、告白を心から嬉しく思ったりすることもあるのでしょう。

 

しかし、しょせん色恋沙汰のプライオリティは低め。ひとつことが前に進めば、すべてをなげうって、走りさってしまうのです。

 

お玉も、本当に大好きだった西郷どんともう一度会えたから、もう死んでもいいやと思ったのでしょう。それでも、あっという間に「変更だ」と言われ走り去る男を恨む気持ちはありません。

 

同じ、心中するしないですったもんだする「星野屋」とは全然違いますね(笑)

 

元気に走り去っていく西郷を、見送るお玉の気持ちってどんなでしょう。

大好きな人を殺さずに済んだ。生きていてくれてうれしい。よかったんだ。これで。そして一日も長く生きていて欲しい。そんな見守る気持ちでしょうか。きっと明日から明るいお玉ちゃんにまた戻ることでしょうね。

 

太ったお玉と太った西郷どんがおにぎりを食べておいおい泣いている様子を笑うようなセリフも中にはありますが、だからと言ってそれをメインであるような簡単なお話ではない。しみじみとしたいなと思います。

 

としつこく書いているのは、名作歌舞伎全集第25巻の「西郷と豚姫」の解説で利倉幸一氏が、そこについて心配しているからです。哀愁感があり、品位のある喜劇である歌舞伎だが、演出で必ずしもその哀愁感が十分に表出されていないと。

7月のこの演目で「しみじみしたいな」と私が想うのはそういうわけです。演出もそうですが、観客も同じこと。本当にここで笑うところだろうか?というところで笑う「謎の笑い」が多い昨今の舞台。今度もしみじみしたいラストで、笑いが起きないことを望むばかりです。

そして、このお話、観るのがとても楽しみです。

誰がやるの? 

おお! 西郷どん錦之助。シュッとした錦之助がどんな感じでだぼだぼ感を出してくるのか。

おお!お玉が獅童!星野屋のお熊さんではないかいな。泣かせて、そしてほっこりあったかくなる幕切れ、ちょうだいね。

 

参考「名作歌舞伎全集第25巻」東京創元社

寿曽我対面

こんにちは。宗像陽子です。2019年團菊祭昼の部のしょっぱなにかかる寿曽我対面について、ご紹介します。

 

■概況■

1676(延宝4)年1月江戸の中村座で初演。

現在は、明治期に河竹黙阿弥が整理した台本による。

 

47分ほどの、演目です。おめでたいときに出る演目なので、お正月や今回のような襲名があるときなど、頻繁に出ます。

 

■登場人物■

工藤祐経(松緑)  頼朝の部下。富士の裾野で行われる狩場の総責任者を命じられた。

曽我十郎祐成すけなり (梅枝)工藤祐経に父親を殺された。冷静沈着。

曽我五郎時致ときむね (萬太郎)時致の弟。元気がある。

小林朝比奈(歌昇) 兄弟を工藤に会わせる。

大磯の虎(右近) 傾城

化粧坂少将(米吉)  傾城

鬼王新左衛門(隼人) 友切丸を持ってくる。

 

■本当の話■

1193年、源頼朝が富士の裾野で大がかりな狩りをした。工藤裕経も参加。その時に、曽我五郎時致・祐成兄弟に、父親の仇として討たれた。若い兄弟が、艱難辛苦の果てに仇討ちをしたということで、語り継がれた。

 

■あらすじ■

簡単に言うと、親の仇に会った  だけのお話です。

 

もう少し詳しくみてみましょう。

工藤祐経が富士の狩場の責任者に抜擢されたとのことで、大名が集まって来ます。

大名たちは、それぞれ衣裳の色が違って、居並ぶ姿も美しいですよ。

 

一人ずつのセリフで、祐経が星のごとくいる大名の中で選びだされ、狩場の総責任者として地割から人夫の駆け引き諸事万端、引き受けられたこと。つまり頼朝から相当の信頼をうけたことが語られます。

 

もう自分たちは、肩を並べることはできないね。

飛ぶ鳥を落とす勢いに、たてつくのはこっちの損。

おひげのチリでごまをすり、

その日その日を安楽に、栄耀栄華に暮らすのが、その身の徳と申すもの。

とか

あちらへべったり、こちらへべったり、昔からいう内股膏薬

祐経殿へおべっかに

今日のまどいに参りし我々

もはや祝儀の時刻なれば、

あれなる席へ連なって

憎まれ口でも

聞きましょう

 

なーんて言っているんですね。

 

ちなみに工藤の役は、必ずその時の座頭が演じます。今回は松緑が、ゆったりと貫禄のある工藤を見せてくれます。工藤は、仇とはいえ、実に立派な人です。

 

・美しい女性がふたり。これは、工藤に呼ばれてきた傾城ですが、実は五郎、十郎の恋人です。

 

・小林朝比奈が登場。猿隈という独特の隈取。ピエロのように、おかしみのある役ですが、他の大名のようにおべんちゃらを言ったりせず、仇である若者二人を、工藤に引き合わせます。

 

・五郎十郎が花道より引き出物の島台をもって登場。

 

大名たちの掛け声が朗々と響きます。化粧声といいます。

「あーりゃー、あーりゃー」役者へのほめことばで、なんともおおらかです。敵なのにほめるの?というような疑問は感じなくてよいです。暫という舞台でも、この掛け声は見られますが「あーりゃー。こーりゃー。でっけえ」ですが、対面にはなぜか「こーりゃー」はありません。

美しい浅葱色の着物を着ていますが、二人は貧乏で苦労をしてやっとここまでたどり着きました。

大名たちは、また揶揄しますよ。

 

傘もかぶらずのそのそと

我々どももはばからず

行儀作法も知らぬ奴

みつからなりもそがそがと

貧乏じみた胴震い

がたがた物でこのところへ

出てきた二人のあのなりは

みじめなざまではござらぬか

何とおとっつあん。吉例の通り、ひとつ笑おうか

おお笑え、笑え 

そして、大名たちは皆

はははははははははは

 

と笑うのです!

 

これに対して、工藤も、鷹揚に若者二人を迎えます。

自分が殺してしまった河津三郎に似た面差しの二人の青年を見て、もしや…と思うのです。

そして、殺してしまったときの状況を語ります。

 

・次第に弟の五郎は頭に血が上ります。それを兄の十郎が、必死で止めます。五郎は荒事といって、荒々しい様子を表しますが、十郎はなよやかな和事の所作です。ぴたと手で五郎を制するときに指の先まできれいですよ。今月は、女方として心境著しい梅枝が、十郎。その美しさはやはり女方ならではですね。

 

弟五郎は、萬太郎クン。梅枝と萬太郎、二人は本当の兄弟です。

 

・五郎は、気持ちがはやって、早く工藤を討ちたくてたまらず、ドスドス暴れまわります。持っていた三方をグシャっと壊してしまいます。

 

早く仇を討ちたいのは山々ですが、工藤は諭すようにいいます。

もし、今仇を討っても、すぐにお家を再興はできないよと。

なぜならば、家の重宝である友切丸が、今だ紛失中だからです。それでは家を再興することはできません。

 

きーー!悔しい!

 

そこに家来の鬼王新左衛門が登場。友切丸が見つかったと、持ってきました。

 

よし、これで仇を討てるぞ!とはやる五郎ですが、工藤は、ちょっと待てと。

 

いまは大事な仕事(狩場での責任者)があるから、それが終わったら討たれようと、二人に切手を渡します。これは狩場への通行手形。パスポートのようなものです。それがあれば狩場に入れるから、あとでそれをもって討ちにおいで。討たれてやろうというわけです。なんと懐の深い。

 

そして全員が絵面の見得で終わります。

※絵面の見得とは、芝居の幕切れに各人、絵のような美しい姿で静止するものです。曽我対面では、工藤を鶴に見立て、兄弟と朝比奈を富士山に見立てて、ポーズが決まったところで幕となります。

 

■見どころ■

 

・対面は、歌舞伎のおもちゃ箱だ!

筋というほどの筋もないが、それぞれのキャラクターが際立っているので、それを楽しもう

 

座頭がつとめるおおらかで懐の深い工藤

血気盛んな弟五郎

和事の所作がなよやかな兄十郎。

美しい傾城ふたり。特に大磯の虎は、女方のトップ。品があり、最高級の傾城です。今回は米吉・右近がつとめており、とても美しいのでこちらにもご注目ください。

おかしみのある朝比奈。

 

キャラクターがはっきりしていますね。色彩も美しく、歌舞伎の様式美にあふれています。また、対面はよく出る演目なので、何度も観ることになるかと思いますが、その都度違う俳優さんで違う雰囲気を味わえます。

 

・曽我物は、派生作品があるので、今後のお楽しみにも!

助六という面白い芝居がありますが、それも実は五郎です。兄の十郎も戦うのが苦手なはんなりした兄さんで出てきますよ。十郎と言えば、はんなり。五郎と言えばけんかっ早いと覚えておくと、わかりやすいですよ。

 

余談

 

小道具として使われる三方ですが、駅弁の箱などに使われる経木製で、小道具方が毎日新しく作り、予備にも1個用意しているそうです。「歌舞伎歳時記」より

 

今月の「寿曽我対面」は、幕見で見るなら、1000円です。やっす!

10時半売り出し 11時から11時47分まで上演。

10時半過ぎると、お立見の可能性もありますので、10時前をめどに行くといいですよ。GWはすごく混んでいたけれど。

f:id:munakatayoko:20190513141524j:plain

20日に、「寿曽我対面」で一幕見ツアーを行います。

↓こちらです。ぜひご参加ください♪

tabica.jp

 

小学生のための歌舞伎体験教室 申し込み締め切り間近

こんにちは。宗像陽子です。

 

常日頃から、歌舞伎は子どものときから見せてあげてほしいなあと思っています。

大人よりずっと頭が柔らかいので、理屈ではなく感性で観てくれるんですよね。

きれいだなー!とかチャンバラすごいなー!で十分だと思うので、触れさせてあげてくださいな。

 

そして、うまいこと好きになってくれたら、体験教室なんてあるので、行ってみてはいかがでしょう。まずは行ってみるのも手かもしれませんね。

歌舞伎が、グッと身近になりますよ。

 

夏休みはそんなイベントがたくさんあるチャンス!

 

小学生の体験教室は、こちら。申し込み締め切りは5月13日(月)10時です!

 

 

www.kabuki.or.jp

 

このほか国立劇場でも、親子で楽しむ親子企画があります。

https://ticket.ntj.jac.go.jp/oyako2019/index.html

ticket.ntj.jac.go.jp

かなり人気のイベントです。

歌舞伎・舞踊邦楽・能・狂言文楽と、5月より、続々と申し込みが始まります。

申込日をチェックしておいてくださいね。