昨日、渋谷区文化総合センター大和田さくらホールにて開催された五街道雲助一門会に行ってきました!
私はこの一門が大好きです。話始めはゆる~っとした話しぶりでリラックス。もちろんずっとゆるゆる~というわけではなく、テンポの良さ、おかみさんなどの女性の話方もうまいっ!しかし、この一門の方はみな面白い名前ですな。
五街道雲助、桃月庵白酒、隅田川馬石は知っていたけれど、蜃気楼龍玉さんは、恥ずかしながらお初にお目にかかりました。夏に銀座の博品館劇場で「女殺油地獄」を独演でやるというのは知っていたので、どんな方かなあ、もし今回よければ、夏の独演会にも行ってみようかなあという思いもありながらの本日。
最初は4人のグダグダトーク笑。
レアな写真も撮れました。みんな後姿。観客を背に4人の姿を奥から撮ったんですね。
ぐだぐだトークの後、いよいよ始まり始まり!
『鹿政談』蜃気楼龍玉
昔奈良では鹿は大切にされており、たとえ誤ってでも鹿を殺してしまえば、死刑だったそう。ところが豆腐屋の与兵衛がうっかり殺してしまう。
奉行所に連れていかれるが、名奉行として名が高い根岸肥前守が、なんとか死刑にならないようあれこれ質問を工夫するのだが、与兵衛には通じず、なんでも正直に言ってしまうため、なかなか無実にしてやれない。無実にしてやろうと「鹿ではないな?犬であろう」などといろいろ言っても「いいえ、鹿でございました」と真っ正直に言ってしまう与兵衛が、なんとも愉快。結局命を助けられてめでたしめでたしなんだけれど。
いかつい風貌ながらなんとか死刑にならないよう苦心する根岸肥前守、正直者の与兵衛が愉快。
蜃気楼さん、よかったです~。
『締め込み』隅田川馬石
戸締りをしていない家に泥棒に入っても、昔はおとがめなしだったらしい。その代わり戸締りをしているうちに泥棒にはいったら罪に問われるとか。そういえば、祖父は「取るやつはドロボー。取られるやつはベラボー」なんてよく言っていたなあ。
ある泥棒が、戸締りをしていない家に入って、風呂敷を広げて着物を包んだところで家の主が帰ってきてしまったので、風呂敷を放り投げて床下に逃げる。家の主は、風呂敷包みを見て、女房が浮気をして駆け落ちをしようとしていると勘違い。帰ってきた女房と大喧嘩になり、泥棒が仲裁をするという話。
馬石の演じるおかみさん、どこかのおかみさんと話をしている様子が、本当にそのへんのおばさんみたいで首の傾け方から相槌の打ち方から、いつまでも同じ話をしていて、終わらない井戸端会議風なのがおかしい♪
夫婦喧嘩になるとテンポがあがり、ヒートアップ!一人三役だからすごいわねえ。
最後は
「不用心だから表の戸締りをしっかりしろ」と男。「泥棒はもう中にいるじゃないの」
「表から心張をかけろ」
『犬の災難』桃月庵白酒
金はないが酒が大好きの男のところに、鶏肉が預けられた。それを見た友人がそれを肴に酒を飲もうぜと酒を買いに行く。預けられた肉がもどっていく。友人が帰ってきて、今度はつまみがないのかと酒を置いてつまみを買いに行く。
友人を待ちながらその酒を一人で飲んでしまって、言い訳を考えて。
という話で、とにかく次第にヨッパラっていく様がおかしくて、こういう酔っぱらいをみると、ついつい父を思い出してしまう。
ばかだね、本当に酔っ払いって。と心置きなく笑う。
『幾代餅』 五街道雲助
楽しくて、笑わせてくれて、ほろっとしちゃって、結局ハッピーエンドでめっちゃいい話だった。
吉原の幾代太夫の錦絵をみて一目ぼれした奉公人の清三。恋煩いとなって仕事も手につかない。
親方は、1年間みっちり一生懸命仕事をしたら吉原につれていってやると約束。一生懸命働いた清三は1年たって、遊び上手な医者の先生に連れて行ってもらい、めでたく吉原に行き、幾代太夫に会うことができた。奉公人ではバカにされるので野田の醤油問屋の若旦那とウソをつき、晴れて幾代太夫に会うことができる。
ただ、次にいつ会えるか聞かれた清三は正直に、実は自分は奉公人であり、1年間一生懸命働かないと、ここには来れないのだという。ウソと見栄の世界に生きてきた幾代太夫はその誠実な様子に感心したのか、来年の3月に年季が明けるからどうぞ女房にしてくださいと。
それから毎日熱に浮かされたように「3月、3月」としか言わなかった清三だが、晴れて3月になると幾代太夫を乗せた駕籠がピタリと店の前にきた。
めでたく二人は結婚し、幾代餅という餅を売り出す商売を始めたところ大変評判になって二人は幸せになったということだ。
いやあ、めでたい!これは歌舞伎にできそうな。
五街道雲助さんの穏やかな笑顔で語られると本当にいい話で、よかったなあ。
あれこれ生きにくい世の中だけれど、落語を聞くと心の底から脱力できて、実にリラックスできます。
来週も行きます…。