「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

『菅原伝授手習鑑』通しのあらすじ・みどころ~ 9月歌舞伎座

9月の歌舞伎座はいよいよ今年のメインイベント3大名作の2作目『菅原伝授手習鑑』の通しです。昼夜で通してもまだ全部通しというわけではないので、その前その後なども説明しつつご紹介します。

菅丞相と三つ子。3つの別れの物語

皆さんも受験の際には、菅原道真公のお守りにお世話になったことがあるのでは?

遠く九州大宰府へ流され、死んでしまう菅原道真は、天神様とあがめられ、今でも多くの日本人に愛されています。

 

その菅原道真(菅丞相)のお話に、三つ子が絡んでのお話です。菅原道真が権力闘争に敗れて、大宰府に流されて亡くなったという史実に当時三つ子が生まれたというエピソードを絡めて書かれた『菅原伝授手習鑑』のテーマは「親子の別れ」。

この作品の作者は、竹田出雲、三好松洛、並木千柳ですが、作品を作るにあたってそれぞれ「親子の別れ」とモチーフに3人で描き分けてみようじゃないかと話し合ったと伝えられています。

 

3つの別れとはそれぞれ、菅丞相と苅谷姫の生き別れ(「道明寺」)、白太夫と桜丸の死に別れ(賀の祝い)、そして松王丸と小太郎の辛すぎる別れです(「寺子屋」)。どれもツライですが、中でも辛いのは松王丸と小太郎の別れですね。

 

登場人物

菅丞相 菅原道真のこと。右大臣。智勇に優れ、中でも書道に優れている。

園生の前 菅丞相の御台所。【筆法伝授】【寺子屋

苅屋姫 菅丞相の義理の娘。斎世親王と恋に落ちる。【加茂堤】それが原因で菅丞相が流罪となったので、心を痛めている。【道明寺】

菅秀才 菅丞相と園生の前の子。菅丞相が流罪になった後、源蔵に助けられ、かくまわれる。【寺子屋

立田の前 苅谷姫の姉。苅谷姫を不憫に思う。【道明寺】

覚寿 菅丞相の伯母。【道明寺】

土師兵衛 宿祢太郎の父。時平より菅丞相殺害の命を受ける。【道明寺】

宿彌太郎 時平より菅丞相殺害の命を受けるがねじ一本抜けている。【道明寺】

 

藤原時平 左大臣。右大臣である菅丞相を陥れ、権力を握る。【車引】

春藤玄蕃 時平の家来。【寺子屋

 

武部源蔵 菅丞相に従っていたが、戸浪とのオフィスラブにより勘当される。菅丞相に筆法伝授を望んでいる【筆法伝授】寺子屋を開き、子どもたちに書道を教えている。【寺子屋

戸浪 源蔵妻。以前は菅丞相の妻園生の前に仕えていたが、源蔵と恋に落ちる。【寺子屋

 

太夫 菅丞相に仕える。三つ子の父【賀の祝い】

松王丸 白太夫の三つ子の長男。藤原時平に仕えるが、菅丞相への恩は忘れていない。

千代 松王丸の妻

小太郎 松王丸と千代の子

 

梅王丸 白太夫の三つ子の次男。菅丞相に仕える。【筆法伝授】【賀の祝い】

 梅王丸の妻【賀の祝い】

桜丸 白太夫の三つ子の三男。天皇の弟君である斎世親王に仕える。【加茂堤】【賀の祝い】

八重 桜丸の妻【加茂堤】【賀の祝い】

 

登場人物のポイント

・菅丞相と藤原時平は敵対関係にある。

・三つ子は、松王丸が時平側。梅王丸と桜丸が菅丞相側におり、図らずも敵対関係となってしまった。

・源蔵夫婦は、菅丞相に勘当された身ではあるが、恩を忘れず、いつか恩返しをしたいと考えている。

あらすじ

今回は『加茂堤』から始まりますが、その前に大内という段があります。そこで、藤原時平と菅丞相のちょっとしたトラブルがあり、藤原時平の下心、それを諌めた菅丞相への恨みなどが描かれます。

「加茂堤」

「加茂堤」は、藤原時平が菅丞相を貶めるために利用することになる発端のエピソードです。桜丸と妻八重は、斎世親王と苅屋姫の恋のキューピッドとなります♪

けれどもそれが藤原時平に利用されてしまうのです。

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「筆法伝授」

帝から筆法を伝授するように命を受けた菅丞相は、勘当中の武部源蔵を呼び出します。見事に清書をした源蔵は筆法を伝授されます。勘当も許されるかと思いきや、筆法は伝授するが勘当は許さないと言われてしまいます。

そこへ、宮中から菅丞相へ呼び出しが。

苅屋姫を斉世親王に近づけたのは、権力を握りたいからだと藤原時平に讒言され、菅丞相は島流しを宣告されてしまうのです。

何とか菅丞相の恩に報いたい源蔵は、八重と協力し、菅丞相の子どもである菅秀才を助け出し、自らの家でかくまうことにしたのでした。

後ほど詳しく書きます。

「道明寺」

大宰府に送られる途中、菅丞相は伯母の覚寿の屋敷に立ち寄ります。

藤原時平の命を受けて、菅丞相を殺そうとする土師兵衛と宿彌太郎。菅丞相はどうやってその危機を乗り越えるのか、そして苅屋姫は菅丞相に会うことができるのかが見どころです。

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道明寺天満宮宮司にお話を伺ったときのブログです。

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夜の部

「車引」

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「賀の祝い」

今日は白太夫の70歳の祝いの日。三つ子の兄弟とそれぞれの妻が集まってお祝いをします。

けれども車引で出会ったときのように、松王丸と梅王丸、桜丸は敵対する同士。喧嘩になってしまいます。

前半は、梅王丸と松王丸の喧嘩がちょっとクスっと笑ったりもできるのですが、後半は悲痛です。

菅丞相が流罪になった原因を作った桜丸が切腹をしてしまいます。父親の白太夫は、救いたい思いはあったもののその運命を悟り、切腹を見届けます。

後ほど詳しく書きます。

寺子屋

菅秀才をかくまっている武部源蔵は、ある日かくまっていることが時平方にバレてしまい、首を討つように命じられ、悲痛な決意をすることとなります。

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この悲しい寺子屋で終わりますが、この後お話はどうなるのでしょう。菅丞相は大宰府で亡くなりますが、その魂は、雷となり、宮廷を襲って、悪い人たちをみんなやっつけるんですよね。どうせなら最後までやるとスカッとするのですが。文楽では通しですとここまでやることがあります。大変スカッとします。

 

しかし歌舞伎でもなかなか一日通しというのはないので、この機会にぜひご覧ください。一度通してみると、この後どの部分を観てもわかりやすくなりますよ。

上演スケジュール

初日9月2日(火)→千穐楽9月24日(水)

休演日

9日(火) 17日(水)

チケット金額、売り場

特等席20000円

1等席18000円
2等A席15000円
2等B席14000円
2等C席9000円
3階A席6500円
3階B席5000円
1階桟敷席20000円

 
チケットは、歌舞伎座木挽町広場チケット売り場、または

チケットWeb松竹

 にて購入できます。

 
歌舞伎座アクセス

東京メトロ日比谷線・都営浅草線銀座駅[3番出口]
東京メトロ銀座線・丸ノ内線日比谷線 銀座駅[A7番出口]徒歩5分
◯ JR・東京メトロ 東京駅 タクシー10分

 

ではお楽しみに~♪