「二条城の清正」のあらすじは、こちら。
今回は、白鸚が清正。秀頼役を孫の染五郎が演じているので、とてもグッと来ますね。こういうのも、役者を魅せる歌舞伎ならではなんですね。
2016年にこの二人はやっているのですね。染五郎くん、当時10歳!
秀頼が小さい頃から「守り」として、見守って来た清正。
秀頼が立派に成長したことを喜ぶ清正。
二条城では、命をかけて徳川家に対峙し、本当に何かあれば、自分の命ばかりか、秀頼の命までも奪おうという悲痛な思いで行って、無事、役目を終えて帰路についているところだから、普段なら言わないであろう心の本音までポロッと出るというシチュエーション。
そんな清正に、また秀頼も応える。
爺。そちは死んではならぬぞ。
20年も30年も死んではならぬぞ。
という秀頼のセリフが、歌舞伎俳優として尊敬すべき祖父の白鸚に対して言っている染五郎とダブります。
そして、
病などに負ける清正ではございません。
と応える清正もまた、白鸚であり。
今まで、命が惜しいなんて、思ったこともなかった勇敢な清正が
「今宵ばかりは、清正、命が惜しゅうなりましたー」
と、両手で顔を覆います。
白鸚さん。いつまでもお元気で、吉右衛門亡き後の歌舞伎界をしっかり見守ってくださいね!
短い芝居で、舞台転換もありませんでしたが、最後はぐーんと船が動いて、秀頼に照明が当たり、爽やかな幕切れでした。
今度は「清正館」(二条城に向かう清正は、妻から豊臣秀吉の形見の短刀を受け取る。
もしものときには、敵が秀頼を打つ前にこの刀で秀頼を討ち、家康を討ち、自害する覚悟を決める)
「二条城大広場」
敵の本拠地へ。
この場面から観てみたいな。
余談。
船の舳先についている大きな房が、時々ゆらゆらと揺れるのがちょうど波間に漂っている船の感じを出しています。
どうやってあんなにちょうどいい具合にゆらゆら揺れるのかなと思っていたのですが、隣にいた友人が「大道具だからだれかが乗ったり動いたりするたびに揺れるんじゃない?」と言っていて、なんだそうなのかと拍子抜け(笑)。確かにそのようでした。うまくできていますねえ。ちょっと注目してみてください。