「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

11月の演目紹介~人気新作再演「マハーバーラタ戦記」と歌舞伎らしい演目の夜の部で満喫

11月は芝居の世界では、お正月。江戸時代には、これから1年このメンツでこんな世界でやっていきますよという顔見世の月でした。今はそんな風に役者と1年契約ってことはないのですが、なんとなく顔見世月は華やかです。

昼の部

 ・マハーバーラタ戦記

チャレンジングな新作はたくさん作られますがむずかしいのは再演です。観客に受け入れられないと(また会社の都合などもあるでしょうし)再演は難しいですから、再演の壁は結構高いのです。逆に言えば再演が叶ったものは、少なくとも海のモノとも山のモノともわからないものよりは「面白いもの。優れた作品」という目安にはなるかと思います。

マハーバーラタ戦記」は、2017年に初演され、大きな話題となりました。

こちら、予習もいらないかと思います。というのは予習をしようとするとまず人物名がむずかしくて頭が混乱してしまい、なんだか難しそうと思ってしまうのですが、実際に観てみるとわかりやすくて、その世界に没入できます!ぜひ、歌舞伎初めての人も、楽しんでみてください。

 簡単なあらすじ

神々は、人間世界を見下ろして争いが絶えないことを嘆いています。そして人間クンテイ姫に子どもを授けます。平和の神太陽神が授けたのはカルナ。力をもって世界を支配しようとする帝釈天が授けるのは、アルジュラ。

同じ母をもつ二人の王子は、戦うこととなります。

さて。という壮大な話。

 

いつもの邦楽とも違うインド音楽と邦楽の融合、衣裳の豪華さ、スペクタクルな展開。どれも見逃せません。

 

夜の部

  ・松浦の太鼓

またやるの?という気もしないでもないですが、今年になってからは初めてですね。忠臣蔵のスピンオフ作品です。

2022年12月に南座

2022年9月歌舞伎座

2021年2月博多座

2019年9月歌舞伎座

 

とかかっているのは人気の証拠ですね。おもしろくて親しみやすい演目ですので、初めての方にもお勧めできます。

殿様に品格が必要ですが、こちらは仁左衛門の殿様で安心。

またにざ様には、肉体的にきついものではなく、こういったやわらかい笑顔がたっぷりみられる演目をこれからもたくさんやっていただきたいと思います。

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   ・鎌倉三代記 

鎌倉時代に設定されている話なので、昨年の大河ドラマを思い出し「北條時政、実朝!頼家!お!鎌倉殿だね!」と思ってしまいますが、実際は大坂夏の陣を脚色している作品です。

江戸時代には、徳川を批判するような芝居を上演することはできなかったからです。

 簡単なあらすじ

北條時政と源頼家の戦。頼家は劣勢となっています。三浦之助は頼家に仕えており、許嫁の時姫は、残念ながら時政の娘。

時姫は、父の敵である三浦之助の元に来て、三浦之助の母親の看病をしています。

そして、恋しい思いを三浦之助に打ち明けますが、敵の娘となると三浦之助も心を許してくれません。三浦之助は時姫に、時政を討てば夫婦になろうと迫るのです。

さあ、時姫、父を選ぶか恋を選ぶか。苦渋の決断を迫られます。。

 

そして、絡んでくるのが藤三郎。これは滑稽な役回りかと思いきや、最後に佐々木高綱となって颯爽と再登場しますよ!

近江源氏先陣館』では、重要なキーパーソンでありながらついにその姿を見せなかった佐々木高綱。こんなところで井戸から出てくるとは! てな続編です。

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今回、私がとても楽しみなのは、時姫を梅枝が演じることです。若手の中でもナンバーワンすでに老成していて貫禄すら感じさせる梅枝でも、時姫は初役。どんな姿を見せてくれるか楽しみです。時姫のお相手、三浦之助は時蔵。梅枝のお父さんですね。

 

 ・ 顔見世季華姿絵(かおみせづきはなおすがたえ)

顔見世月の華やかさを彩る今月最後の演目は舞踊3つです。

  春調娘七種

顔見世や正月とくれば曽我十郎・五郎兄弟が出てくるのが常。なぜ敵討ちの主人公がいつもめでたい時に出てくるかといえば、日本最大敵討ちを成功させた曽我十郎・五郎は神様のような存在になってしまっているから。神様をたたえるという意味で正月やめでたい顔見世月に上演されるのです。いろいろなバージョンで十郎・五郎は出てきますが十郎は和事ではんなり、五郎は荒事で勇ましくというのは変りません。

 

今回は荒事五郎が種之助、はんなり十郎が染五郎、そして静御前が左近。とても楽しみです!しかし、曽我兄弟に静御前が絡むとは面白いですね。

  三社祭

この踊りは、こちらで詳しく。

 

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今回は、右近と巳之助が踊ります。若さと体力としなやかさと体幹が試される踊りです。しかしよくまあこんな踊りを考え付くものです。善と悪のお面は口でくわえて踊るので、それだけ考えてもハードなことに驚きます。踊るのは大変でしょうが、見るのは最高に楽しい!どうぞお楽しみに!

  教草吉原雀

江戸の吉原の仲通りに、鳥売りの夫婦が来て踊ります。華やかで軽やかに放生会(生き物を逃がし、日頃いただいている肉や魚に感謝すること。『双蝶々曲輪日記』の「引窓」でも重要なキーワードですね)の由来や廓の様子を踊ります。詞章には鳥の名前がたくさん入り込んでいます。どれくらい見つけられるかな?ところで、この鳥刺し夫婦、実は雀の精です。

鳥売り夫婦には又五郎と孝太郎。ベテランの味、色気をたっぷり堪能できそうです。二人を怪しむ鳥刺しは歌昇

 

 

ドーンと話題沸騰の昼の部「マハーバーラタ戦記」もいいですが、ほのぼのした忠臣蔵スピンオフ、古典、華やかな舞踊と歌舞伎らしさの揃った夜の部もまた味わい深い歌舞伎座の「吉例顔見世大歌舞伎」です!

早く行きたいな~♪

上演スケジュール

初日11月2日(木)→千穐楽11月25日(土)

休演日

10日(金) 20日(月)

チケット金額、売り場

1等席18000円

2等席14000円

3階A席6000円

3階B席4000円

1階桟敷席20000円

 

チケットは、歌舞伎座木挽町広場チケット売り場、または

チケットWeb松竹にて購入できます。

歌舞伎座アクセス

東京メトロ日比谷線・都営浅草線銀座駅[3番出口]

東京メトロ銀座線・丸ノ内線日比谷線 銀座駅[A7番出口]徒歩5分

◯ JR・東京メトロ 東京駅 タクシー10分

 

ではお楽しみに~♪