お戒檀めぐり~真の闇にドキドキ
平日の割には思ったより人も多くて、さすが長野県きっての観光地。
以前も来たことはあるのだけれど、宿題がありまして駆け足で再訪。それはお戒壇巡り。
お戒壇巡りというのはご本尊の安置される瑠璃檀下の真っ暗な回廊を通って極楽の錠前を探り当てれば、秘仏のご本尊と結縁できるというもの。
あれ?長生きできるというのではなかったっけ?
前回行ったときに、探り当てられなかったので、気になって(;’∀’)
地下を降りての真っ暗な回廊は本当に怖い。真っ暗で左右どころか上下するわからなくなるレベルの暗さで、もちろん壁を伝いながら行くので危なくはないのだけれど、相当へっぴり腰で歩いていると思う。前を行くおばちゃん連中がキャーキャー言っていて、怖いんだろうな,ふふと思いつつ、おばちゃんたちがいてよかったと思う。一人だったらマジで怖い。現代人は真の闇を知りませんからねえ!
無事に極楽の錠前を探りあてることができて、ちょっと明るい光が見えて、地上に出たときはホッ!
経蔵~お手軽に功徳を得る
経蔵という別棟のところでは、輪蔵というコマの形をした書庫を3人ほどでよいしょよいしょと回してきた。1周するだけで一切経を読んだのと同じ功徳が得られるというのだから、お手軽だ。
びんづる長者~人々の苦痛を長くしょって、つるっつる
身内に体調が悪い者がいるのでびんづる長者のお腹もなでなでして、しっかりと長々とお祈りもして、善光寺を後にした。
それにしても、このびんづる長者を最近盗んだ人がいて、その後あまり時間をおかず見つかったというので驚く。どうやってこれを?なぜ?どうして?
城山公園~明るく広々
善光寺の隣にあるのが、城山公園。広々とした芝生が気持ちのいい明るい公園で、小学生がお弁当を食べていた。「さあ。じゃあ善光寺に行くぞう!」と先生が声をかけていたから、ここでお弁当を食べて善光寺というのは定番の遠足コースなのかも。
東山魁夷館~かけがえのない宝
城山公園の敷地内にあるのが県立美術館。そこにあるのが東山魁夷館だ。
歌舞伎座の緞帳では今年の4月より新しく掲飾されている「朝明けの潮」は、東山魁夷作の絵をもとに調製されたもの。
国立劇場では「雪原譜」が飾られていたっけ。いずれも青の色使いが美しく、観劇とともに私たちの目を楽しませてくれた。
こちらの東山魁夷館では、人となり、作品、背景など丁寧な展示でとてもよかった。
なんとも幻想的な「白い馬の見える風景」。魁夷はあまり動物や人は描かず、もっぱら自然の絵が多い。けれどもこの白い馬は、ある時突然「降りてきた」そうで、18作品に白い馬が登場する。思い浮かんだ時、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番2楽章が頭に浮かんだという。
何度も緻密な下書きを経て描かれた北欧の自然や、街の風景、そして京都の四季。
「京都を描くなら今ですよ(そのうちこの風景はなくなってしまう)」と川端康成に言われて制作したという京都の四季の風景は、やはり私にとってもなじみのある風景が多くてとても心に残った。
私たちは目に入る風景を「ああきれいだな」と思うことは多いけれどせいぜい写メする程度で、心のシャッターに記憶させて絵に描くまではしない。
でも、ああなんてこと。そうだ、こんなふうに美しかった。
魁夷に描かれた念仏寺の千灯絵、常照皇寺の門から見える向こう側の緑、寺の塀、大河内山荘の蔦紅葉、桂離宮の敷石、光悦寺の散り紅葉。青蓮院の「年経る樹木」。
そうだ、こんな風に美しかった。
そして、魁夷といえば「青」が有名だけれども、青だけではなく、蔦紅葉の赤、散り紅葉の黄色、オレンジ、茶色。門の向こうに透けて見える緑。魁夷の絵を通して、自然の美しさにまた気づかされるようだ。
魁夷自身の寄贈により、長野県立美術館では総数970点も収蔵しているそう。定期的に中身を入れ替えているので何度行っても楽しめそうだ。
3階には屋上テラスがあり、とても気持ちが良い。コーヒーを飲みながら景色を眺め、ちょっと絵でも描いてみようかななどと不遜にも思ったのは内緒。
ゆっくりと一人で落ち着いてまわって観ることができて本当に良かった。
長野の旅その2はこちら
次は飯山へ。高橋まゆみ人形館です!