三番叟は、能の「翁」という演目から派生した、天下泰平や国土安穏を願う祝祭的な演目です。歌舞伎でも、もっとも儀式的なものが『寿式三番叟』。翁と千歳が舞ったあとで、三番叟が軽快に踊ります。『寿式三番叟』のほか、『舌出し三番叟』、人形にみたてた『操り三番叟』、『廓三番叟』、『二人三番叟』など、様々なバリエーションがあります。今年の1月の歌舞伎座では『五人三番叟』がかかったのも記憶に新しいところ。
袖をふり、鈴を振り、種をまきながらアップテンポで激しくおどりますが、今回の文楽では『二人三番叟』。翁も千歳も出ず、二人の三番叟が踊ります。二人の人形は同じ顔ではありません。
ちょっとひょうきんな顔の「又平」というかしらとキリッとしたお顔立ちの「検非違使」というかしらの人形が踊ります。
こちらに又平くんも検非違使さんもいますので、参照してください。
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「おおさへ、おおさへ、おふよろこびありや、おふよろこびありや」
激しくおどって疲れ果て、「又平」の三番叟が踊りをさぼったり、扇であおいだり、汗を拭いたりしてとってもかわいいんですよ。「検非違使」の三番叟に励まされてまた二人で舞います。楽しく盛り上がってワクワクして、会場からもふわっと笑いがこぼれて幕開けにふさわしい演目です。
2月13日まで日本青年館ホールにて。