「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

『 猩々』能と歌舞伎と見比べ

 

能楽堂で、15日に能・宝生流の『七人猩々』を観た。

12日には歌舞伎座で『猩々』を観ている。

能は、狂言の『六地蔵』とともに、「演出の様々な形」という企画の一環で、11月と同じ演目で演出が流派によって違うもの。『猩々』は、今月歌舞伎座でもかかっているのでより興味がわく。

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あらすじはこちらに (六地蔵も)

https://munakatayoko.hatenablog.com/entry/2023/11/20/104152

 

11月の能(観世流)は2人の猩々が出てきたが、なんと今月(宝生流)は7人。お酒に吸い寄せられたのだろうか7人もの真っ赤な髪をした猩々が出るとさすがに圧巻。橋掛かりに4人、本舞台に3人の猩々がずらり。どんなに飲んでも酒樽の酒は尽きることないのだった。水上で波を蹴って舞戯れるところは、残念ながら席のせいか足元が良く見えずわからなかった。

能に出てくる高風(酒売り)は、最初に口上を述べるとひたと腰を下ろしてしまい最後までその姿勢を保っているのみだが、歌舞伎では高風がもう少し動きがあり、見せ場を作る。酒樽から柄杓で酒を汲み、猩々の盃にかわるがわる注ぐ。その所作は美しく、最後は扇をもって猩々を見送った。

12月の歌舞伎座では、猩々が勘九郎松緑、高風が種之助。

勘九郎は美しくて、松緑は驚くほどかわいかった!松緑ってかわいいという印象はなかったけれども、丸くて、目のふちと唇にぽっちりとした紅をさせば御所人形のよう。

能でも歌舞伎でも、精霊の純真無垢な様が清々しい。

 

月が黒々とした揚子江のさざ波を照らしている。水の中から出てくる猩々たち。水を蹴立てて進むところ、酒を飲むときの嬉しそうな様子、〽月星は隈もなし のところでは月を仰ぐ様子、ほんのりゆらりと酔った様などを次々と舞い、とても気持ちが良かった。

 

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