29回稚魚の会・歌舞伎会合同公演。
廓三番叟はこちら
廓三番叟から続きます。
幕間のあとは、「菅原伝授手習鑑」から、「車引」と「佐太村賀の祝いの場」です。
車引きはしょっちゅうかかる演目ですが、佐太村賀の祝いの場はなかなかかかりませんね。
車引き
梅王丸 彌紋 巡業では土蜘蛛で太刀持ち音若を演じ、裾裁きも鮮やかに演じていた彌紋。今回はついに梅王丸。なんだかかわいらしかったですねえ。元気よく花道をすっこんでいきました。
藤原時平 中村吉兵衛 なんとまた声が吉右衛門そっくりで!迫力ありました。
いつも思いますが、吉之丞にしても吉兵衛にしても吉右衛門そっくりで!
いつも身近に師匠の芸をしっかりと見ていて骨の髄まで細胞の一つひとつまで行き渡らせようとしていた努力のおかげでしょうか。お弟子の皆さんが師匠に似てくるのは不思議でもあり、感動的ですらあります。だって、声が似るってどういうことなんでしょう。
家之助、もう少し見たかったなあ~。昨年感動したので。
佐太村賀の祝いの場
前半は、梅王丸と松王丸の喧嘩がちょっとクスっと笑ったりもできるのですが、後半は悲痛です。
流罪のきっかけとなった事件というのは、こちら!加茂堤です。↓
父親の白太夫は、救いたい思いはあったのですがその運命を悟り、切腹を見届けます。
桜丸 太谷圭太郎 自身の悲痛な思いがよく出ていました。じっと宙を見据え、自分の運命を受け入れて、ついに果てます。筋書によれば、圭太郎さんプライベートで何やら辛いことのあったご様子。その悲しみや苦悩をこの役に乗せて、区切りをつけたいとのことで、演技にも迫力がありました。天まで彼の思いが届きますように。
八重 好蝶 そしてこの場面では好蝶演じる、桜姫の妻八重の美しさ、哀しさが際立ちます。悲痛の叫びが観客の涙を誘いました。
佐太村賀の祝いは、暗い幕切れのせいか、あまり上演されることはありませんね。
30年ほど前に、友人と観たときに
「要するに、70歳のバースデーパーティに息子が切腹しちゃうわけ?最悪じゃん」
と言われて、チケットを取ったのは私だったので、楽しめなかった友人にごめんと思った思い出があります。
でも全編通してみると、この場は、三つ子のうち、桜丸が切腹をするという重要な場面。
今回この場を初めて観た人は、これをきっかけに菅原伝授手習鑑のほかの段も観てほしいなと思います。
特に寺子屋の段の最後。松王丸の、桜丸を思って泣く場面が一層心に響くのではないでしょうか。
寺子屋のあらすじ・見どころはこちら
なかなか上演されない場ですが、今回上演してくれてよかったと思います。
最後は、連獅子ですよ!