第7回作者と劇評家のコトバで読み解く歌舞伎のセカイ が6月19日(月)、池袋のとしま区民センターで開催されました。
▲くみんセンターという言葉から想起されるイメージが易々と覆された立派なビル
初の平日夜の開催ということでしたが、80名の観客が入り、誠に盛況となりました。
今回のテーマは、ついに「近松」。
今年が生誕370年。来年が没後300年という節目のところで今年から来年にかけ、3回シリーズで開催されます。
20年前の生誕350年のときに、木ノ下さんは青春時代。その苦い思い出話でほわっと会場があたたまったところで、いよいよ今回の講座が始まりました。
前半は、まずざくっと「近松早わかり」で、その生涯をたどります。生涯をたどることで、見えてくるものがたくさんありました。
近松の功績は、ひとつには専業作者を確立させたということがあります。そしてもう一つには「交わっていなかったもの同士の橋渡しをする」ということでした。
交わっていなかった身分や職業、演芸、地域、それも国内の東西だけではなく、グローバルまで、やすやすと超えて、つなげていく近松。
一言でいえば「近松の魅力はハイブリッド」なのだと説く木ノ下さんの話に、力がこもります。
なんとなく「すごい人だよね~」と思っていた近松のすごさが緻密な木ノ下さんの考察でしっかり裏付けられたようでした。
後半は、現在歌舞伎座でも上演されている「傾城反魂香」の深掘り。
「傾城反魂香」って、よく上演される「山科土佐将監閑居の場」の前に「高嶋館の場」があり、後には今回上演される「又平住家の場」があるくらいは知っている人も多いと思うのですが、なんとそれだけでも、上之巻に過ぎない!
さらに中之巻、下之巻があるとのことで、そのスケールの大きさ、複合的に絡まった内容の深さには、驚きました。
このお話の理解には、木ノ下裕一さんの自分用のノートのコピーを特別公開してくれました。
原作を読むってハードルが高いですが、読み方のコツのヒントとして指南されたことがとても役立ちそうなので、さっそく真似したいと思います。
約2時間。あっという間の濃密な時間。深くて広くて緻密な講座でした。
▲今回の参考資料とおススメ本
次回は12月の予定です。お楽しみに!
講座のあとは、お疲れ様。池袋のお店で軽く打ち上げしました。
▲お疲れ様でした!
詳しい内容は別稿で。