四代目市川左團次さんが亡くなったとのこと。公式発表で知りました。肺がんだったとか。
急なことで、本当にびっくりしました。
左團次さんは、1940年生まれ。
私は、1979年2月の歌舞伎座の四代目市川左團次襲名披露を観ています。
歌舞伎はたくさん観ていても、意外と記憶に残るものは数少ないもの。(私の場合)
この時の夜の部の襲名披露狂言が「毛抜」でした。
初めて観た「毛抜」がおもしろくって、ええ?髪の毛が逆立つ奇病の原因は磁石なの~!と大学生の私は大うけ。
ばかばかしくっておもしろい演目があるものだと大笑い。歌舞伎がますます好きになってしまった記憶があります。
今、歌舞伎なくては人生考えられないほど歌舞伎フリークな私。
だから左團次さんは私にとって大恩人です。
この時の夜の部は、毛抜のあとが襲名披露口上。
次郎吉懺悔という世話物。
そして棒しばりです。
楽しいものばかりですね。
次郎吉懺悔は、私が好きそうな感じなのだし、口上も並みいる役者が勢ぞろい。
でも覚えているのは、悠々、堂々たる粂寺弾正の「毛抜」ばかりです。
歌舞伎役者って、「おれはあいつとはやりたくない」とか「苦手だ」とか「相性が悪い」とかいろいろあるらしいですが、誰からも引っ張りだこなのが左團次さんと聞いたことがあります。演技力もさることながら、人柄がまたよかったのでしょう。
おちゃめなエピソードはてんこ盛りです。
また、「左團次がいなくなると、できなくなる演目がたくさんある」と関係者に聞いたこともあります。
長年の友、菊五郎さんのショックを考えると胸が痛いです。いや菊五郎さんのみならずですね。
主役を演じる力もありながら、脇に回って主役を支えることの多かった左團次さん。
どうぞやすらかに。ありがとうございました。
※画像は筋書きの中のもので、44年前のものです。
すごく立派でしょう?
大きな役者さんでした。