「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

ソット・ヴォーチェ クリスマスコンサート~東日本大震災復興支援チャリティ

先週になってしまいましたが、二子玉川のオーキッドミュージックサロンでおこなわれたソット・ヴォーチェのクリスマスコンサートに行ってきました。

 

ソット・ヴォーチェというのは、「小さな声で」という意味だそうで、女3人が姦しくならないように自戒を込めたネーミングだとか(笑)。

 

女3人とは、ソプラノの品田昭子さん、クラリネットの草刈麻紀さん、ピアノの甲山紀子さん。普段各自音楽活動を続けているのですが、東日本大震災を機に、クリスマスチャリティコンサートを企画、今回10回目を迎えてファイナルとなりました。

 

メンバーの一人、クラリネットの草刈麻紀さんが高校時代の友達なので、この10年の間に私も何度か行きました。本当は昨年ファイナルの予定でしたが、コロナ禍で断念。今年は、従来より観客も減らし、時間も短縮しの開催になりましたが、それでも10回とにもかくにもやり遂げたことは素晴らしいなと思います。

 

2011年から2019年までの純益金プラス支援金は、合計1,256,325円にもなり、桃柿育英会を通じて被災者の子どもたちに寄付されました。桃柿育英会が昨年で終わってしまったということで、10回目の今年ははたち基金へ寄付。少しだけ私も力になれたかなと思うとうれしいです。

 

曲目は、毎回歌われるアヴェ・マリアシューベルトカッチーニ・グノー)は、もう何回聞いても心が洗われるようですし、モーツァルトのすみれは、悲しいのに幸せな気持ちも感じられる曲。いややっぱり悲しいな。どれも解説つきなので、余計心に染み入ります。

 

「ラウラに寄せる夕べの想い」(モーツァルト) はモーツァルトの最愛の父が亡くなった年にできた曲で、モーツァルトの死生観が強く現れていると言われているそうです。

ソプラノの品田さんは、このクリスマスコンサート初回のときにこの曲を歌う予定にしていましたが、コンサートの4日前にお母さまが亡くなり、当日はとてもこの歌を歌うことができず、他の歌に急遽変更したそう。それを10年目にしっかりと歌い上げてくれました。

 

10年という月日は、何かをやり遂げるには長いですが、悲しみを和らげてくれる力もあるのですね。

 

 

こういうコンサートの話で、アンコール曲をほめるのは、よその家でごちそうになったときにお漬物をほめるみたいであまりよろしくないことかもしれませんが、アンコールで「埴生の宿」を演奏してくれたのですがこれがまたよくって。

 

聞きながら、しみじみと私もこの10年間のことを考えました。私にとってこの10年は、前半の5年が怒涛。親を3人と姪一人と猫1匹を見送り、フルタイムの会社をやめ、引っ越しをしました。後半の5年では子ども二人が結婚し、残る子も独立していきました。

 

私のようなぼんやりした人間でもこうしてみると10年っていろいろあるものですね。

 

東日本大震災から10年たったわけですが、震災を経験した人にもしなかった人にも等しく10年という月日は流れるわけで、たぶんこの日の観客全員が「平凡な人生なりにいろいろあったなあ」「辛かったけれどがんばった」「そういえば、あんなこともあったなあ」などと、それぞれの人生に思いを馳せたのではなかったでしょうか。

 

草刈さんなどは、このファイナルの1ヵ月前に目に不調をきたし、コンサートの開催が一時は危ぶまれることなどもありました。これもあと10年たてば笑い話でしょう。早くよくなりますように。

 

最後に恒例の「きよしこの夜」を全員で歌い(マスクしてだけど)一人ずつお話があって、おしまい。美しい音楽を聴き、心のデトックスをして、普段は薄汚れた自分もすっかりと清らかな気持ちになって(笑)、帰路につきました。

 

写真は、終わったばかりの舞台です。

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演者の興奮と観客の静かな感動がほわほわと感じられるようです。

隣のエントランスからは、久々に会った人への挨拶や演者へのねぎらいの言葉などが聞こえてきます。

 

ソット・ヴォーチェの皆さん、ありがとうございました。またお会いできますように♪

 

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