昨今は、たとえチケットを取っていてもみられるかどうかはわからない。いつなんどき、お上からストップがかかるかわからない。緊急事態宣言での中止対象から免れても、座組の中から陽性反応が出て、濃厚接触者が多ければ、いきなり中止になっている。
前日まで特に問題なく上演していて、のんきに当日劇場に向かうと、何やら物々しい雰囲気で、目の前の看板に「本日中止」といきなり書かれていることもある。
だから、コロナ前よりもずっと一回一回観劇できたことに対する感謝は深くなったと思う。
そんな中、先日落語名人会に行ってきた。特に前日も中止というアナウンスもなかったが、会場につくときはいつでも少しドキドキする。が、中止の看板もなく、やれうれしや、今日も無事に観られると安堵して、中に入った。
ところが、中でこれ。
今回の名人会の大トリである五街道雲助師匠がコロナ陽性となり、休演だったのだ。恐るべし、こんなことがあるとは。全く油断も隙もありゃしない。
雲助師匠は、幸いなことにそれほど重症ではないとのこと。ただ高齢者でもあるので、しっかり休んで治していただきたいと思う。
五街道雲助師匠の中村仲蔵が聞きたくて来たのに。まあ、そのほかにも隅田川馬石、歌武蔵とそろっていたのでチケットを取ったわけだけれど、まあ残念。
思い切り脱力マジックのアサダ二世のあとは、雲助代演の、桃月庵白酒。中村仲蔵はできないよ!といったんは断ったそうだが、巡り巡って「それでもいいからやっとくれ」と頼まれたそう。スタッフの方々のご苦労も大変なことだ。
中村仲蔵が聞かれなかったのは残念だったが、芝居物を楽しみにしてきた観客のことを考えてくれたのだろう「蔵丁稚」をやってくれ、楽しく打ち出しとなった。蔵丁稚は大好きだし、桃月庵白酒は、初めて聞いたのでこれも何かのご縁だろう。よかった。
翌日、YouTubeで神田伯山の「中村仲蔵」を聞いた。やっぱりいいねえ!