法事で駒込吉祥寺に行ってきました。
今年は遅めの開花となった桜もようやくほころび。
川上眉山の墓などを有し由緒あるお寺。
そして、
吉祥寺、というか吉祥院と言った方が歌舞伎クラスタにはピーンとくるかも。
比翼塚がありました!お七と吉三郎。
文楽の「伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)」を脚色した『松竹梅湯島掛額』(しょうちくばいゆしまのかけがく)では、吉祥院の寺小姓吉三郎にぞっこんになってしまう八百屋の娘お七が出てきます。
また、三人吉三のお嬢吉三は、自分のことを「八百屋のお七さ」と名乗りますね。
八百屋お七
本郷の八百屋の娘お七は、天和の大火で家族といっしょに吉祥寺に避難したのですがそこで寺小姓の吉三郎と出会い、恋に落ちます。
家に戻ったお七は吉三郎に会えなくなったため、また家が燃えれば吉三郎に会えると思って放火。とらえられて火あぶりになったという話が残っています。が、真実は「お七という娘が放火をした」ということのみしかわかっていないそうです。
ただそこからたくさんの話が生まれて「八百屋お七の世界」を形成するまでになっています。
こちらでは、様々に変化していくお七の話が説明されていますのでご興味のある方はぜひ読んでみてください。
「お七という娘が放火をした」という実話から、どう話が広がり、脚色され、新たなお七の物語が生まれ、最後にはお七が出て来なくても話自体にお七がちりばめられている作品が出来上がっているという「八百屋お七の世界」。大変興味深いです。
というわけで、物語ではお七が吉三郎と出会ったのは吉祥院(吉祥寺)と言われていますが、実際には諸説ある。けれどもせっかくそういう話もできたことだし、まあ比翼塚でも作りましょうということで作られたようです。
ふんいきのある古いお寺なので、本当にお七と吉三郎が出会ったというのもさほど違和感はないですけれども。
世の中のサクラの名所は込み合っているようなので、こういう静かなお寺で故人をしのびつつ花見をするのもいいなと思いました。今年の桜を見られなかったこと、故人はとても悔しく思っているでしょうが…。