「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

能楽堂ショーケースで「巴」を観る~観世流

能は初心者の私ですが、今年も何とか月に1度は観ていこうと思っています。

今月は19日の「国立能楽堂ショーケース」に行きました。

 

ショーケースは、能・狂言を初めて観る人にも親しみやすい作品を選んでコンパクトに上演する入門向け。事前には無料で参加できるワークショップもあります。(簡単な解説のようなもの)

 

今回の演目は狂言「梟山伏」と能「巴」でした。どちらもとても面白かったですよ。

 

狂言 梟山伏

山から戻ってきた弟の様子が、なんだかおかしいので、兄は山伏に治療を頼みます。祈祷が始まると弟は「ホホーン」と妙な声。なんと弟が梟の巣を撤去したことを怨まれ、梟が取りついてしまったのです。この「ホホーン」とか羽ばたきが妙におかしくて、会場がざわつきます。そのうち、兄にも取りついてしまいます。

山伏の歩き方はすり足ではなく、雪の中を歩くようなひょこたんひょこたんとした歩き方、なんともインチキ臭い山伏でした。「ぼろんぼろん」というのを聞いて何やら聞いたことがあるなと思ったのですが、天守物語に出てくる山伏、盤坊が「ぼろろんぼろろん」と言っていましたね。あれは頭についてしばらく離れませんでした。山伏独特のセリフなんでしょうか。

なんとも楽しい狂言でした。ホホーン。パタパタ。

小さな子と一緒に見たらしばらく梟山伏ごっこをしてしまいそうです。

能 巴

今月、この日の能を選んだのはスケジュールの関係もありましたが、「巴」が見たかったから。「巴」と言えば、平家物語に出てくる巴御前木曽義仲の忠臣であり、女ながらに木曽義仲の家来がどんどんと減る中最後の7人にまで残り、一緒に死ぬ覚悟を決めていたのに、義仲に、去るように言われて泣く泣くその場を離れた女丈夫。

一昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にも出てきましたね。義仲のことを好きだったんだろうなとも思いますし、義仲とて「汝は女なり。しのぶ便りもあるべし。これなる守り小袖を木曽に届けよ」みたいに突っぱねるけれど、巴の命を助けようと思ったんではないかと思われるし、でも今井兼平の方が大切だったのかもとか、いろいろ想像力の翼が広がるところです。萌えます。

 

能の「巴」は、ある僧が琵琶湖のほとりで泣いている女に出会います。僧が木曽の出身だと知ると、自分は巴御前の亡霊であることを告げ、共に死ぬことができず生き延びた無念を語り、本性の姿になって戦いぶりを再現。

 

修羅物というのは、修羅道に落ちた武将の霊を描くものですが、この「巴」は唯一女性を主人公にした作品だそうです。

 

笛も女性が奏で、女性であったが故に共に死ぬことができなかった巴の哀しみがよく伝わったし、激しい戦いぶりとの、緩急が見事。

ワキの旅僧を演じていた則久英志さん、地謡の声もよく、迫力もあり、大変見ごたえがありました。

 

この日は寝なかった(‘◇’)ゞ