ベストテンを考えていたら、珍プレーを思い出しました。
いろいろな珍プレーがありましたが、一番は9月の秀山祭での『土蜘』での出来事。
『土蜘』で僧智籌 が出てくるところは、かなり不気味です。通常、花道から人が登場するときは大概揚幕がシャリーンとなるし、花道の照明もパーッとつくからすぐわかりますが、智籌が出てくるときは、不気味な雰囲気です。揚幕も音をたてないし、照明もつかず、ハッと気づくと七三あたりにいきなりいるという感じで、観客はぎょっとします。
ちょうど私が観たときは2階の右桟敷席だったので花道から出てくるところからずっと見えました。スーッと音もたてずに静かにゆっくりと気配を感じさせずに本舞台に近づく智籌 、幸四郎です。
ところが、おや?何やら怪しい人影が…。
花道のすぐ横の通路を、おばあさんが歩いているではありませんか。それも智籌とほぼ同じ速度で!いかにも怪しい智籌のほぼ半歩後ろ(に見えたけれど)を、ずっとおばあさんも同じ歩調で…。
スタッフも声をかけられなかったのか、影武者のようなおばあさんはしばらく幸四郎と歩みをいっしょにしていたのでした。
ファンが思わず歩み寄ってということではなく、ただ自席に向かって歩いているようでした。2階の右桟敷席から見ているとそれがなんともおかしくて。おばあさんは背が小さくて腰もかがんでいたので、多分ほかの観客にもあまり見えなかったりする悪影響はなかったかと思います。
気になるのは、幸四郎さんからおばあさんは見えていたのかどうか。もし見えていたとしたら相当演技への集中力を欠いてしまい、お気の毒だったかと思うのですが、そうでなければまあよかったかな。気づいた人も少なかっただろうし。
これが、今年印象に残った歌舞伎珍プレーでした。
さて、どうにかおせちも作り終え、大掃除も、まあ…(ごにょごにょ)
紅白を見る気にもなれずこうしてブログを書いています。今年も大変おせわになり、ありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。