「文楽名鑑2023」が面白いとのうわさ。
え?面白い?名鑑って、至芸員の名前と生年月日とか初舞台とか師匠は誰かとか書いているだけじゃないの?
と思ったのだけれど、面白いと評判だから国立劇場小劇場に行ったついでに買って来た。
面白い(笑)
確かに一人ずつの情報が、(血液型まで!)書いてあるけれど。それだけじゃない。
右側は、写真と個人情報と
全然あてにならない自己申告スキルチャート。
スキルチャートは、一人ずつ自身の能力を5つの指標で表す。でも自己申告だし、一人ずつ指標が違うから客観的でもなければ、なんでもない(笑)。
人によって、体の痛い箇所を指標にしている人もいれば、まじめに技術面を指標にしている人もいるし、とにかく性格はよくわかる(笑)
見開きの左ページには、アンケート。これがまたおかしくて、たくさんあったQ&Aからピックアップしているのだろうか、人によってQも違う。びっしりと小さな文字でいっぱいの人もいれば(おもしろかったから全部のせたんだろう。かなり頓珍漢でおもしろい)←宗助さん
「私の答えはすべて舞台にあります」ドーン!みたいな方もいる。
これは、編集作業はさぞかし大変だっただろうなあ。
「そんなもんは、やりたない」とかいう至芸員さんをなだめたりすかしたり、脅したり。
聞きだしたり、書きだしたり。
その中からおもしろい 深い回答をピックアップ。
そして、回答の重要な部分は、赤字になっている。
なんと、この名鑑には問題集によくついている赤いシートが付いている!
ということは、赤いシートをかざすと、穴埋め問題になってしまうという!(驚愕)
以前、織大夫さんの本を読んだ時もおもしろくて、かなりの手練れの編集者がいるのだな?と思いましたが、今度も同じかほりがします。
試しに奥付を見てみると、果たせるかな編集者に同じ名前が…。
こういう仕掛けってすごく楽しいですね。
だって、いつも汗かいて口角泡を飛ばしうなっている太夫さん、ビンビン三味線かき鳴らしている三味線の人たち、そして怖い顔をして人形を操っている人形遣いの人たちが、こんなこと思っているなんて!急に至芸員のみなさんが身近に感じられるし、性格がよくわかる(笑)。
観てきた熱演を思い出しつつ、ページをめくり、思わずニヤリ! ぷっと吹き出したりしながら楽しんだのでした。
清介さん。さすが。。(笑)
宗助さん。ウケすぎた。(笑)
うれしかったのは、今日の『曽根崎心中』を見てうっとりと45年くらい前にみた簔助さんのお初を思い出していたのだけれど、簔助さんがアンケートに一番好きな演目に『曽根崎心中』って書いていたことかな。
でも最後はちょっぴり寂しく。
なぜなら、20代の人が数えるほどしかいなかったから。しかも20代後半でしたから、数年で20代もいなくなってしまう。
30代は結構いるのに、ここ10年で何があったのだろう。コロナも影響しているのだろうか。こんな名鑑を見ながら文楽を楽しんで、「俺もやってみたいな」な人が少しずつでも増えてほしいものだ。
あ。文楽の感想はまた別稿で!