研の會。夏祭浪花鑑のあとは、京鹿子娘道成寺。
こちらの記事でかいたように、目眩く道成寺の世界を演出するのに所化たちの存在は欠かせない。
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https://munakatayoko.hatenablog.com/entry/2023/08/02/230614
だが今回、自主公演ということもあり、能力二人のみ。
地味なのではないか。また花子の早替わりに時間が足りないのではないかなど、余計な心配をしていたが、これはこれで二人の能力(米吉・種之助)の個性がたっぷり出て、じっくり楽しめてよかった。
クールな米吉、表情豊かな種之助、ピッタリ息の合う二人(同い年の従兄弟同士だし)
そして、もちろん主役は右近。この右近の美しさ。
手が長く指先も長く、顔も面長で、若さもあって伸びやかで美しい。
そりゃ多少バタバタしていたかもしれないが、それをどうこういう人はあまりいないだろう。まだ30歳。素晴らしい30代のスタートを切った。
初日から、カーテンコールがあった。幕の外に出て座ってお辞儀。何にも考えていないといいながら、本人舞台からさりがたいのか結構喋っていた。すきなんだろうなあ。こういうのが。
さて、千秋楽のカーテンコールはどうなるのかと思っていたら。
拍手に迎えられて、厳かに幕があけられると、そこには道成寺の鐘。
そして、鐘がするすると上がって、中から右近が出てきた!
これには観客も大喜び。
そして下手より順番に莟玉、米吉、市松を演じた菊之丞さんのご子息。種之助、巳之助とずらりと並ぶ。
巳之助!先のブログでも書いたように、義平次の扮装で!
そして一言ずつメッセージ。
右近は「流石に精も魂も尽き果てました」と。すばらしい。なかなかそこまでできることではないですよ。
ただ「歌舞伎に対する愛を確認できた。また確認するために、この会をやっていきたい。来年は浅草と大阪でやりたい」との宣言に会場から一際大きな拍手がわいた。
ちなみに種之助、この時は「僕は双蝶会4回で終わっちゃったのに、7回も続けていてすごいなあと思います」なんて語っていた。しかし数日後のインスタで「僕も、また会やります」と書いていたので(それも研の會の報告のあと、タグつけのあとに、ぽそっと1行付け足されていたので)おおお!右近くんが種之助に火をつけた!と嬉しくなった。
若き人々、右近に刺激され、大いに発奮してほしい。
莟玉は年下だから「ついていきますー」と言っても許されるけれど、巳之助、米吉、種之助はそうはいかない。そんなことを言ってはいられない。右近に負けずに切磋琢磨して、歌舞伎界を盛り上げていってほしい。
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