「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

義経千本桜~鳥居前 短いけど大事! 

義経千本桜の長いお話の最初の方。この場自体は短いですが、狐忠信が出てくる四段目の大切なプロローグにもなるので、これを機会にしっかりと覚えておきましょう!

あらすじ

頼朝に疎まれた義経一行は、なんとか伏見稲荷までたどり着きました。そこにやってきたのは静御前。いっしょに連れて行ってほしいけれど、義経はそれを制し、初音の鼓を渡します。初音の鼓とは、義経左大臣朝方に「頼朝を討てよ」というなぞかけで手渡されたもの。

だから義経は、鼓をポンポン打つわけにはいかないのです。

 

頼朝に恭順の想いを伝えたい義経でしたが、弁慶が頼朝からの追手である海野太郎と土佐坊正尊を弁慶が殺してしまい、これで義経が頼朝に敵対する立場が鮮明になってしまいました。

弁慶は、敵をやっつけたと褒められるかと思って意気揚々だったのですが、怒られてすっかり意気消沈です。

 

そして、なおもだだをこねる静御前は、ついに鼓のひもで木に縛り付けられてしまい、一行は先に旅立っていきます。

そこへ来たのが逸見藤太。華やかな花四天とともに登場の藤太は、こっけいな道化役。静を見つけて引っ立てていこうとするところに現れて静を助けるのが、義経の家来佐藤忠信です。

通常ここでは笹目の忠太が出てきて、眼の玉をひんむいて死んでしまいますが、今回ここで出るのが逸見藤太ということは、死なないパターンですね。

忠信は藤太たちをバンバンやっつけ、捕り手と藤太はほうほうのていで逃げ出すのかな。

 

そこへ現れた義経は、忠信の手柄をほめ、源九郎義経という自身の名前から「源九郎」という名を忠信に与え、静のボディガードの役を忠信に頼みます。

そして、義経たちは大物浦へ。忠信と静は京へ戻っていくのです。

 

最後は、静と忠信が花道。あれ?あれ?なんか忠信、おかしくない?時々怪しい動き。手のひらが丸くなったり、ひょこひょこ飛んだり…。

じつは忠信は、狐なのです。なぜ、狐が忠信に化け、静御前を守るのでしょうか。その謎解きは、最後の四段目、吉野山と川面法眼館~通称四の切までお預けです。

見どころ

義経の美しさ、忠信の時折見せる妖しさ、静御前の強さはかなさ、そして逸見藤太と花四天たちとの楽しい絡み。でしょうか。無骨な弁慶も愛しいです。

 

また「初音の鼓」を要チェックしていてください。あなたがいつか「義経千本桜」の四段目をみるとき、ぜひ鳥居前を思い出してください。「初音の鼓」はこのあと、大切なキーアイテムとなります。