花道に登場したときに、とても暗い顔をしている又平とおとくです。
傾城反魂香のあらすじとみどころはこちら。
これは、その前に百姓たちに出会っており、弟弟子である修理之介が見事虎を消すという奇跡を見せ、土佐の名前を頂戴したということを聞いてショックを受けていたためです。
このあと、又平とおとくは将監の元を訪れ、挨拶をし、おとくがぺらぺらと明るくおしゃべりをするわけですが、ここの解釈について私は間違っていました。ただ明るい女性というわけではないのです。
「出の前におこったことを夫婦とも知っています。だからこそおとくは、けなげにカラ元気で明るくふるまう。うそであっても明るく勤めると教わった。」と種之助は、新春浅草歌舞伎のプログラムで語っています。
そうか、そうだったのだ。おとくは、自分も心が沈んでいたが、傍らを見ると又平はもっとしょげかえっている。ここは「さあさあ!」と自分にもはっぱをかけるつもりで「カラ元気を出して」明るくふるまっているのだ。もともと明るい人ではあるけれどね。なるほど。そう思ってみると、もっと深くおとくの愛情を感じることができるようです。今回は種之助、手の先まで神経の行き届くとてもよいおとくでした。
あらすじと見どころについては、追記修正をしました。特に登場人物のところは、芝居に出てない、狩野元信、傾城遠山、銀杏の前についても書き加えてみたので、わかりやすくなったかなと思います。(役者についてはそのままなので、2020年の上演のときのものです)