時代物の魅力がたっぷり味わえる金閣寺。今回あらためて歌舞伎の魅力に感じ入った。なんというか、おおざっぱなところと緻密なところ。きらびやかなところとそうではないところ、相反するものが混然と一体になっているところに魅力があるのだなと感じた。
たとえば、金閣寺という舞台は大がかりで、セリが上がったり下がったりするのも見どころだけれど、横の桜の木は変わらずに立っているのに、建物だけが上がったり下がったりしているので、大がかりな舞台だけに可笑しい。
天井絵を描くのかどうするのだと迫る大膳は恐ろしいし、刀を抜くとやれ不思議、滝つぼに龍の姿が!というのもドラマティックだけれど、その龍が、なんだかウナギイヌみたいにエラク貧相だったりする(笑)。
足で桜の花びらを寄せ集めてネズミを描くと、あら不思議、本物のネズミとなって現れて縄を食いちぎってくれる。そのネズミは消えて後には桜吹雪が!というのもファンタスティック!でも小道具のネズミのおなかがパカっと開いてサクラの花びらが収納されていたことがわかるのも可笑しい。もちろんネズミは後ろで黒衣が差し金で操っている。
今は、CGだかなんだかなんでも本物っぽくできちゃうところでこのアナグロ感。それら全部ひっくるめて、歌舞伎って面白いよなあと思う。
一方で、役者の底力、声、姿、顔、本物の邦楽のライブ、衣裳の豪華さ、デザインの妙などが、もう突き抜けている。特に時代物にはそんな魅力がある。
初めて見る人には時代物は難しいかもしれないけれど、最初は
「なんじゃこりゃ!?!?」で全然いいと思う。「はあ、なんだかわからないけれど、きれいだった。すごかった」となんだか気になったら、2回3回とみてほしい。
その1って書いたけれど、続くのかな?