7月15日(土)から根津美術館で開催されていた企画展~物語る絵画~に終わる直前に行ってきました。
明日8月20日(日)までです。
解説がわかりやすくてとても楽しめました。
神仏と高僧の物語
お釈迦様や弘法大師の伝説が描かれたものが展示されています。
よくある展示では説明が少なすぎてさっぱりわからないことが多いのですが、今回の展示では、お釈迦様の年齢によって起こった出来事が描かれた絵でも、下方に細かく年齢に区切った説明がくわえられており、年齢別にお釈迦様の身におこったことがよくわかり、興味深く見ることができました。
源氏絵と平家絵
なんといっても、興味があるのはここ。特に平家絵ですね。
祇王。
那須与一。
俊寛が一人取り残される場面や熊谷直実が敦盛を呼び寄せる場面、木曽義仲の死ぬ場面などは、グッときます。
俊寛や、熊谷は歌舞伎でもおなじみですね。
これらはとても小さな絵ですが、繊細な筆で描かれてあり、字は(当たり前ですけれど)すごく達筆で、それ自体が芸術的です。読めないけれど…(悲)。
大きな絵で印象的なのは浮舟図屏風です。源氏物語の一場面で、匂宮が浮舟を連れ出し、船に乗せて対岸へ向かうという場面です。大きな屏風の真ん中いっぱい使って斜めに真っ黄色の船が描かれています。黒々とした波間。その船の中央に不安そうに肩を寄せ合う匂宮と浮舟、あまり幸せそうには見えません。
▲このポスターの上部がその絵です
おとぎ草紙と能・幸若舞の絵画
ここでは
祇王が、屏風絵を書いて清盛の元を去る場面や、酒呑童子が描かれていました。
酒呑童子は、ストーリー性のある絵巻物として成立していたので、今月歌舞伎座の1部でも上演されている「酒呑童子」と見比べても面白いのではないでしょうか。
ちなみに、上部ポスターの下右の赤い面を被っているのが酒呑童子です。
物語で楽しむ能面
こちらでは、能で使われる能面が紹介されていました。その能面がどの物語で使われているか、それはどんな物語なのかが簡潔に解説されていたので、とても参考になりました。
▲1階ロビー
私は、「敦盛」が気になりました。
歌舞伎の熊谷陣屋は、熊谷直実が敦盛ではなく、自分の子どもを殺して、世の無常をはかなんで出家していくところで終わりますが、能の「敦盛」は、敦盛を殺した熊谷が出家し、蓮生となり、敦盛の亡霊に会います。敦盛の亡霊は、蓮生が自分を弔ってくれることを喜び、今は敵ではない。共に浄土で生まれ変わろうと語るのです。
これは、熊谷が救われる話ではないですか。能の敦盛を観たことはないのですが、ぜひ観たいと思います。帰りに売店に寄ってみたら、「対訳で楽しむ能シリーズ」が4種類あったので、「敦盛」と「道成寺」を買って帰りました。
そういえば神戸に行ったときに、敦盛塚、2度目に行ったときに須磨寺にいっているので、なんとなく敦盛に引き寄せられている感があります。敦盛、気になります。
「物語る絵画」明日までですが、ぜひご興味のある方は。
庭もとても素敵ですが、ちょっと暑かったです…。ほかの季節にじっくり回りましょう。
■港区南青山6-5-1
■地下鉄銀座線・半蔵門線・千代田線表参道下車A5出口より徒歩8分。
■要予約 定員いっぱいになっていなければ入れるよう。今日は定員に満たなかったので、当日来ても入れるようでした。明日はどうかなあ。あまり暑いと客足は鈍りそうですね。