「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

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仁左衛門休演。そして復帰。

3月2部の河内山で主演を務める仁左衛門は、3月8日(火)体調を崩し、9日より休演となった。

 

思えば御年78歳(3月14日が誕生日)。前月は、大物浦でひと月平知盛を演じ、心身ともに命削るような消耗の仕方だったと思う。疲れが残っていたのだろう。ツライ。

 

様子が心配されたが16日(水)より復帰。本当に安心した。多くの人たちの胸に去来したのが、昨年の吉右衛門のこと。3月に倒れて、復帰を待ち望んでいたファンの願いはかなわず、11月に亡くなった。しかも倒れてから一度も意識を取り戻さなかったということが、何かこう、亡くなったショックに上乗せされるようなショックだった。

 

それをどうしても思い出してしまい、毎日祈るような気持であったが、先ず本当によかった。復帰が早いのではないかと心配される方もいるようだが、仁左衛門自身がお医者様と相談して決めたこと、なんの異論もない。心配は心配だけれど。

 

そして、私は復帰翌日の17日に見てきたが、3階から見る限りではとてもお元気で、足がふらつく様子もなく、安心して見られた。本当によかった。いつまでもお元気でいてほしい。

 

仁左衛門の代役は、高木小左衛門を演じる予定だった歌六。そして、近習大橋伊織を演じるはずだった坂東亀蔵が高木小左衛門に。大橋伊織は、片岡孝志。ところてん方式のように、次から次へと出てくる歌舞伎役者の層の厚さもさることながら、前日に言われて即対応ができる歌舞伎役者の能力の高さには毎度驚かされるが、今回は特に、歌六はセリフの多い河内山の主役。

 

神田伯山が、ラジオ「問わず語りの神田伯山」で語っていた。ちょうど伯山は、歌六が代役で河内山をつとめた初日を歌舞伎座で観劇したそう。セリフが入ってない状態で出てきた歌六さんのことを前半は面白おかしく話したが、セリフが完全に入っていない状態で、歌舞伎座の舞台に出るということ、しかも仁左衛門を期待してきた客の前に出るということ、それがどれだけ大変なことか想像を絶すると語った。最近の世の中は「辛かったら逃げていいよ」という風潮が多いけれど、逃げないってやっぱりかっこいい。逃げない歌舞伎役者かっこいい!と語った。その通りだと思ったことだった。

 

私が今回の河内山を観たのは、復帰2日目。小左衛門の歌六が、なんだかスッといるべきところにいるような、安心感があった。

 

代役を勤められた皆さん、ご苦労様でした。拍手拍手でたたえたいです。

そして仁左衛門さん。どうぞご無事で楽日を迎えられますよう、お祈りしております。

 

河内山のあらすじや見どころはこちら!

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