楽しい!これはぜひ、子ども達に見てほしい!初めての歌舞伎は、小鍛冶でいかが?もう終わっちゃったけれどオンデマンドでは、5月21日まで見ることができます。
ステイホームのお供に、お子様といかが。
小鍛冶は、澤瀉屋十種に選定されており、とてもユニークで初心者にも楽しめるのに意外と上演されていないのですね。前回が平成9年(1997年)というから24年ぶり。
内容は、刀鍛冶の男、小鍛冶宗近が稲荷明神の助けを得て、名刀を作り上げるという伝説を舞踊にしたもの。
今回(2021年4月歌舞伎座)では、小鍛冶宗近は中車。童子と稲荷明神は猿之助。猿之助が、縦横無尽に動き回ります。縦横無尽ってオーバーじゃないですよ(笑)。跳躍するし、カニさんのように横走りするし、ぴょんと飛び出して消えるし。前半の前髪ぱっつんの童子もかわいいですが、後半の稲荷明神こそ、猿之助の本領発揮。
あらすじからめて、ご紹介します。
かわいい童子の出現が、ミステリアス♪
前半。
小鍛冶宗近が、天皇一条院に剣を打つよう命じられたのだが、どうも自信がありません。刀を打つには、トンテンカンテン打つときに、お餅つきのように相棒が必要なのだか、そのよき相棒がいなかったからです。
そこで、どうしたものかと稲荷明神のところに祈りにやってきました。
一生懸命祈っていますと、そこに突然童子が現れます。そして「家に帰って自分を待ってくれれば、必ず力を貸すであろう」と告げ、姿を消します。
この前半シーンは、最初から太棹三味線がベンベンと力強く演奏され、圧巻です。4人の演者が一斉に右に傾くことが何回かあり、「なんだ?この演出は!」と思ったのですが、撥をすくって角度をつけて弾かなければならないため、体を右に傾けて弾くそうです。
一斉に右に傾けるので「お!」という感じです。キレイです。
澤瀉屋の面々が、華やかに。
後半に入る前の間狂言では、巫女と弟子たちが出てきます。宗近の家で、各々鍛冶の準備にかかっているというところです。
今までの上演記録を見てみると、巫女のほか、弟子は二人。でも今回(2021年4月)は4人。コロナ禍で大概人数は減らしていることが多いのに、ここで増やしているのは、出番の少ない人たちに少しでも出演機会を増やそうという考えからでしょうか。4人+巫女さんの衣裳も色とりどりで、コロナネタもあり、きれいで楽しくて、いい間狂言でした。クルクルと踊りながら花道を消えていく5人に拍手が惜しみなく送られていました。
いよいよ猿之助の本領発揮。
後半は、いよいよ刀を打つところです。宗近が祈りを捧げると稲荷明神が現れます。狐の化身です!頭には狐をかたどった飾りがついていて、隈はおどろおどろしく、カっと口を開けると、ピカっと光る。なんと金歯です。金のマウスピースでしょうか?
宗近がトンテントンテンと打てば、狐もトンテンカンテン。それを相槌というのですが「相槌を打つ」の語源ですね。
トンテンカンテン、トテトテトテトテ。二人の呼吸はピッタリです。
音楽は、太鼓、笛、三味線。胡弓まででてきて、脳内で小人さんが踊りまくってくれるような感じです。
狐はリズミカルに拍子をとり、踊りながら、跳ねながら、楽しそうに宗近と息も合って刀を打つのでした。
ついに刀は出来上がり、「小狐丸」と名付けられました。
ザザザーンっと狐は雲に乗り、鎮守の森に帰っていくのでした。
とにかく色彩がきれいで、音が楽しい
弟子たちの衣裳も、それぞれピンク、黄色、白、赤、モスグリーンとそれぞれ違っていてきれいだし、稲荷明神ときたら頭に狐乗っけているし、カニさん走りするし、口を開ければ金ぴかだし、おまけに音がとても楽しい。
ピーひゃら、ぴーひゃら。トンテンカンテン、テンテンたいこに、胡弓までフイーンっと。
ちょうど大阪では文楽で「小鍛冶」をやっているとのこと。見られなくてとても残念ですが、こちらもとても評判が良いようでした。