「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)あらすじ、見所、バカ殿のアイデアはここから

いきなりですが、常盤御前って知っていますか?

若い人は知らないのかな。
常盤御前は、源義経のお母さんです。

私などは子供のころ、さんざん絵本で「よしつねとべんけい」のお話などは読んでいましたから、平家に追われて、雪の中、今若丸と乙若丸を従えて、牛若丸を抱っこして逃げていく常盤御前の映像というのは、脳裏に焼き付いて離れないわけですが、今はそんな絵本も読まないのでしょうか。

さて、その常盤御前ですが、そののち、清盛に見初められ、子どもまでなすわけですが、それもかわいい牛若丸たちを守るため。その後、清盛の妻時子に疎んじられて、阿保と言われているお公家さん一条長成に嫁ぐんですよね。

大河ドラマでは、「平清盛」のときは、常盤御前武井咲。タッキーの「義経」のときは、稲森いずみ。あまり、印象にないなあ。

私は「義経」のときの静御前を演じた石原さとみ白拍子の舞が、あまりにもへたくそだったので、印象に残っています(;^_^A 

と同時に歌舞伎役者って本当にうまいんだなあと再認識もしたわけです。まあ、比べること自体無理がありますが…。

 

さて、この稲森いずみ演じる常盤御前が再再婚した一条長成は、なんと、蛭子能収さんがやっていたんですねえ。そんな感じです。一条長成って。

前置きが長くなりました。その一条長成のお話です!

 

一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)は、享保16(1731)年、人形浄瑠璃として初演された「鬼一法眼三略巻」の4段目です。お話の途中なので、しっかり登場人物を把握しておきましょう!必須予習。

 

登場人物


一條大蔵長成 白鸚 阿保と思われていたが、実は源氏の味方である本心を隠すため。いざとなると、さっそうとして格好いいのだ。
常盤御前  魁春 
吉岡鬼次郎  芝翫 源氏方。常盤御前の本心を探るために、大蔵卿の館に潜入。
女房お京   壱太郎 鬼次郎の妻。先に館に潜入する。
八剣勘解由 錦吾 大蔵卿の家老。平家方。
鳴瀬  高麗蔵 勘解由の妻。


あらすじ


源氏方である(はず)の常盤御前は、平家方の一条大蔵卿のところに嫁に行ったが、源氏の再興の気持ちはあるのか、ないのか…。源氏方の人間は、やきもきしています。

源氏方の吉岡鬼次郎(きじろう)の女房お京が、常盤御前の本心を探りに大蔵卿の屋敷に入り込みます。スパイですな。探りを入れるものの、毎晩、楊弓遊びに没頭して、まったく源氏再興の気持ちが見られません。楊弓というのは、小さな弓で、的を射る遊戯ということですから、今の感覚でいうと、ダーツみたいな感じでしょうか。(ダーツではないですよ。弓だから)

まあ、その楊弓遊びに熱中しているのです。お京の手引きで館に入った鬼次郎は、「なんということだ!」と怒り、楊弓を取り上げ、常盤御前を打ち据えるのです。

すると、常盤御前は、実は、、と本心を明かします。清盛を呪っての楊弓遊び。的の下には、清盛の絵があったのでした。

家老の八剱勘解由は、それを見て、平家方に知らせに行こうとしますが、何者かに、後ろから長刀で切りつけられ、倒れます。

誰かと思えば、なんと、いつもの凡庸なる人大蔵卿が、凛々しい姿で登場!

実は、大蔵卿、今は公家ですが、もともとは源氏の血筋だったのです。源平の争いに巻き込まれるのが嫌で、阿保の振りをしていたのです(すてき)。本来は源氏の味方で、自身の家老さえ、だましていたのですね。

源氏の重宝友切丸を、牛若に渡すように鬼次郎に託し、勘解由の首を打ち落とし、清盛の首も打ち落とせと高らかに笑って、また元の阿保にもどる。。。というお話です!

 

その前。曲舞、その後五條橋については、こちらをみてね(2023年3月国立劇場

munakatayoko.hatenablog.com

 

見どころ


阿保と思っていた白塗りのお公家さんが、いざとなると、すらりと刀を抜き放ち、先ほどまでとは別人のように、登場するところ!

高麗屋!」 うっ。がまんがまん。拍手喝采

そして、本心を打ち明けると最後にまたパカっと阿保面になり、元の阿保にもどるのです。

志村けんは、この大蔵卿を観て、バカ殿のアイデアを得たと言われていますよ。ご注目!

 

一条長成を演じる白鸚丈ですが、昨年の1月に歌舞伎座で演じています。しかし、その前は昭和47年にまでさかのぼります。え?何年振り?47年ぶり!

昨年がほぼ初役だったんですね。得意なお役だけやっていることもできるだろうに、そのチャレンジ精神見事です。

2019年には

幸四郎の時代は遮二無二役に取り組んでまいりました。これからは気持ちも新たに、白鸚のお芝居をお見せできたらと思い、久しく勤めていない役を順に勉強することにいたしました」と語っていました。(筋書にて)

 

今回は、2019年の顔ぶれとほぼ同じ。違うのはお京です。今回は壱太郎君。おそらく先輩たちの中にあって、武者震いプルプルしているのではないでしょうか。

壱太郎君は、若手女方ホープです。素の壱太郎君は、非常に活動的で、おしゃべり(笑)。

自粛期間中もいろいろと実験的なチャレンジを繰り返し、尾上右近クンとART歌舞伎なる配信にも挑戦しました。美しかったです~。

壱太郎君の女方は、とにかく色っぽさが半端ない。今度のお京も、スパイ映画に出てくる超美女スパイみたいに魅せてくれるかな。と期待したいです。

 

上演スケジュール・チケット値段・チケット購入場所

 

2020年11月歌舞伎座第3部で上演。11月1日(日)~26日(木)

16時45分~

開場は開演40分前

休演は6日(金)、18日(水)

1等席 8000円

2等席 5000円

3等席 3000円

 

チケットは、歌舞伎座木挽町広場チケット売り場、または

チケットWeb松竹

にて購入できます。