「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

【レポ】第14回作者と劇評家のコトバで読み解く 歌舞伎のセカイ 『義経千本桜』より「すし屋」

9月7日(日)神楽坂赤城神社にて、第14回作者と劇評家のコトバで読み解く 歌舞伎のセカイ が開催されました。(主催 Ginza楽学倶楽部)

田中綾乃さんと木ノ下裕一さん

私もお手伝いに行ってきました。

もうすぐ始まりますよ~♪

今回のお題は「すし屋」。10月に歌舞伎座で通しで上演される『義経千本桜』の三段目にあたる人気演目です。

受付近くには、「すし屋」の舞台となった奈良県下市町の資料などが置かれて、皆さん熱心に見入っていました。(スタッフWさん。ありがとうございます)

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冒頭、木ノ下さんからは初めて歌舞伎を観たのが先日亡くなった我當さんの「すし屋」だったというエピソードが語られました。中学生の木ノ下さんが微笑ましくもあり、昔の鑑賞教室の学生に理解してもらおうとする熱意を感じさせる当時の資料などが示され、あっという間に観客のハートをつかんでしまったのはさすがです。

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まずは『義経千本桜』の全体像の把握から入ります。

木ノ下さんから『義経千本桜』とは「弱者の物語」であり、「フェイクの物語」であるとの指摘とともに、詳しく解説がされました。また『義経千本桜』の成立に関しては、作者のひとりである並木宗輔の来し方、時代的な背景も重要であることが資料とともに示されました。

 

次に今回のメインテーマである「すし屋」の見方について、田中さんより説明がありました。

「すし屋」は、当代仁左衛門型と音羽屋型で、小道具も衣裳も、演出もかなり違います。

田中さんからは、今年の10月には、Aプロでは当代松緑、Bプロでは当代仁左衛門が演じること。

どちらも観てみるとその違いは鮮明になるはず。それぞれの役者の型の違いを見比べてみるとてもいいチャンスであることなど。

また、音羽屋型のごん太と仁左衛門型のごん太の違いが紹介されました。

 

江戸の粋なごん太は鼻高幸四郎と言われる五世幸四郎がつくりあげたそうですが、もともとの上方のごん太は、子どもっぽさの残るヤンキー崩れです。

松緑芸話』(尾上松緑)などから、二世松緑の、粋に見える細かな芸の工夫の紹介、また仁左衛門のごん太が、近年、演じるたびにどんどん変化があることなどについても言及されました。

 

ごん太の違いについて語る田中さん

田中さんによる解説のあと、木ノ下流物差しの実践です。

 

木ノ下流物差しは、今までにもこの講座で資料として配られていたのですが、まだまだ使いこなせないと感じている方も多かったかもしれません。今回は、いろいろなパターンの型のデータを見つつ、これをどのように捉えるか各自が目盛りにチェックしてみるというワークショップ風講座になりました。

 

詳しい内容は書けませんが、意見も聞かれたり、挙手をするという「コール&レスポンスでいきますよ~」との木ノ下さんの声に、最初は皆さんドキドキ。

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たとえば、「演技」という物差しでは、江戸と上方のごん太が「様式」により傾いているのかそれとも「写実」に傾いているのかで目盛りを振っていきますが、木ノ下さんと田中さんとでもずいぶん目盛の付け方が違っていました。それはどちらが正しいということではなく「様式」をどうとらえるか「写実」をどうとらえるかで、当然変わってきます。

田中さんからは「どれをどうとらえるかというのは各自違うので、まったくほかの人の意見は気にしなくていいんですよ」と言われて、会場内にほっとした空気が流れます。

 

実際、木ノ下さんと田中さんとでも意見は真っ二つに割れることも。違う意見を「なるほど、そうとらえたんですね」「それはありですね」とお互いを面白がる様子に、観客の皆さんも次第に発想が自由になっていったよう。

「私は、ここはこういう捉え方をしましたよ」と2人の意見も真っ二つ。

その後、皆さん物差しに従って目盛りをチェック。「私はこう思う」「こんな発見があった」「私は全然違う意見だ」「同じ意見の人が多いみたい」などなど。う~んと上を見て考えたり、お隣同士相談したり、楽しい時間を過ごしていました。

「いかがですか?」木ノ下さんにグイグイ聞かれます♪

またこの物差しを使うことで、「この役者とこの役者はこういうところの演じ方がこう違う」ということが明確にわかるようになります。

また自分の中で今までは気づかなかった「自分はこう感じる」、「自分はこういうところをこう捉えて、こう感じる」という軸が生まれてきます。

そうすると観劇体験を人に伝えるときも「おもしろかったよ」「よかったよ」だけではなく、「こういうところが私はいいと思った」「こういう演じ方をこの役者はしていた」と具体的に文字化できるようになり、より一層観劇体験が深まると感じました。

 

最後に田中さんが

「『義経千本桜』は「弱者の物語」であり、「フェイクの物語」であると同時に「ifの物語」でありファンタジーですね。今年は三大名作が通しで見られるということは、本当に貴重な機会、10月はとても楽しみですね」とまとめて、2時間に及ぶ濃厚な今回の講座も終わりました。

 

すでにこの講座も14回目となり、ますますマニアックに、味わい深い講座となっております。木ノ下流物差しっていったいどういうことだろう?と感じられた方は、ぜひ次回参加してみてくださいね。

 

次回日程が決まりましたら、またお知らせいたします。

今回の参考図書はこちら!

 

 

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左 「松緑芸話」尾上松緑  右 「歌舞伎 型の魅力」 (渡辺保

 

<イベント概要>

■第14回 作者と劇評家のコトバで読み解く歌舞伎のセカイ
■日時:2025年9月7日(日)14:00~16:00
■場所:赤城神社 参集殿
■登壇:木ノ下歌舞伎主宰 木ノ下裕一 三重大学准教授 演劇評論家 田中綾乃
■主催:Ginza楽学倶楽部