いやすばらしい。三大名作一挙上演!鬼も笑う来年の話です。
三代名作というのは、『仮名手本忠臣蔵』、『菅原伝授手習鑑』『義経千本桜』の3つを言います。いずれも超大作で通してはなかなかできないので、いつも見取り、つまり一部分だけやるのです。というわけで、みたような気になっていても、実は物語の全貌は知らないんだという人も多いのではないでしょうか。
情報はまだ少ししか出ていません。
わかるのは、歌舞伎座で2025年3月に『仮名手本忠臣蔵』9月に『菅原伝授手習鑑』10月に『義経千本桜』を全通しで上演されるということのみ。
仁左衛門、玉三郎、菊五郎、梅玉、東蔵、白鸚という重鎮の高齢化が進んでいる一方で、中堅や、30代の若手たちがどんどん力をつけています。が、果たして芸の継承は進んでいるのかという懸念は、囁かれていました。特に最近上演の少なかった忠臣蔵でしょうか。(七段目はよく出ますけれど)
歌舞伎界総動員、新旧入り乱れのとても意義深い企画と言っていいと思います。
3月『仮名手本忠臣蔵』
国立劇場で2016年に3ヵ月かけて上演された『仮名手本忠臣蔵』がなつかしい。今回はそこまで全部はできませんが、昼と夜で通しということになるかと。
いや、もしかしたら『義経千本桜』をAプロ、Bプロ、Cプロとわけてやった2022年の国立劇場のときのようにやれば、全通しでできるのかしらん?
配役も気になります(今のところ全く未発表)
9月の『菅原伝授手習鑑』
菅相丞は仁左衛門だと思いますが、高齢でもありますし、若手とダブルキャストかもしれませんね。幸四郎でしょう。白鸚が演じていますし。
ダブルキャストが芸の継承という意味でも、観客のお楽しみという意味でも良策のような気がします。
しかし9月といえば秀山祭ですね? 秀山祭の名前は消さないでほしいです。
2020年のコロナ直前の2月には、半通しで「加茂堤」「筆法伝授」「道明寺」が上演され、仁左衛門の至芸を観ることができました。これが最後かと思っていたけれど、もしまた観ることができればこれに勝る喜びはありません。又通しとなれば、「築地の段」などなかなか上演されないところも出るので楽しみですね。
「寺子屋」で、源蔵と戸浪は菅秀才をかくまっていますが、菅秀才をかくまっているのは菅相丞に恩義を感じているから。それは「筆法伝授」で描かれますが、そのあとの「築地」では、梅王丸と源蔵戸浪が連携して、菅秀才を屋敷から脱出させるのです。これだけ大変な思いをして、菅秀才を守ってきたんだということがわかる段です。
ほかにも見どころはたくさんあります。
10月『義経千本桜』
『義経千本桜』は10月。菊五郎は、とてもお元気なのですが足が弱っているので動き回るお役ができないであろうことがとても残念。菊之助が、知盛、権太、狐忠信、3役を演じた2022年の国立劇場での上演は記憶に新しいところです。3役菊之助がやるのか? と思いきや、いやいや菊之助は襲名興行で、来年10月は御園座ですね。残念。
いろいろと妄想が膨らみ、しばらくは楽しめそうです。
通しは、今までちょっとわからなかったお話の筋が通って、理解が進みます。
今ある芸を将来に伝えるためにも、「今」が本当にタイムリミットかもしれません。
とても楽しみにしていますし、役者も観客も元気に来年まで生きましょう!