「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

坂東玉三郎 衣裳展「四季・自然・生命」~時の移ろいと自然美

6月8日から18日までという短い期間ですが、銀座のセイコーハウス銀座ホール(和光の上)で「玉三郎の衣裳展」が開催されています。

 

玉三郎さんの芸、衣裳、照明における「こだわり」については有名ですが、今回はその一端を垣間見ることができました。

 

四季に分けて飾られた衣裳8+2で10。どの衣裳もいつも遠く4階から見ても豪華であることがわかるものばかりでしたが、こうして間近でみるとその緻密な刺繍、豪華な装飾、丹精込められたものであること、ただただ驚嘆。刺繍に厚みがあり、どっしりしています。

 

春は、「助六」から揚巻の衣裳と「二人椀久」の松山太夫の衣裳。

こちらの揚巻の衣裳のデザインは岩井半四郎(2代目?)が考えたそうで、天才か?今回一番驚いたかも。知っているようでも近くで見ると全然違うその途方もないデザイン。

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松山太夫の衣裳は、暗いのに華やかな夜桜そのものでした。

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夏は、「雁金」から弁天お照の衣裳と「葵の上」の六条御息所の衣裳。

六条御息所の御所車と御所車がこれでもかこれでもかとうち重なっているようすが圧巻でした。

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秋は、「信濃路紅葉鬼揃」から鬼女の衣裳と「隅田川」から班女の前の衣裳。

秋の紅葉って本当に美しくていつも圧倒されるのですが、この衣裳も自然の紅葉に勝るとも劣らない美でした。

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班女の前の衣裳は、個人的に色合いなどが一番好みだったかも。

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冬は、「廓文章」から扇屋夕霧の衣裳と「助六」の揚巻の衣裳。

夕霧の衣裳の鷺の刺繍が、本当にすばらしかった。黒い打掛に鷺と雪がこんもりと白い糸での刺繍。

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揚巻の衣裳はこれは伊勢海老が載っている鏡餅とか裏白、昆布、門松とか全部盛りの派手なやつですが、すごいこと考えますねえ。「正月だ。景気よくみんな乗せちゃえ」ってことでしょうか。揚巻がゆらゆら揺れれば、さらさらと装飾も揺れる。まるで超豪華なハロウィンですね。

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そして3つ目の揚巻の衣裳と「壇浦兜軍記」から遊君阿古屋の衣裳。

揚巻のわずか20秒ほどしか舞台でも観られないという衣裳に、ここまでこだわる玉様。

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これは、助六のお母さん満江を送り出すときの衣裳なんですが、このときは助六を演じる俳優に所縁の墨絵を描く習わしがあるそう。これは、海老蔵襲名のときにあつらえたそう。成田屋にゆかりの深い牡丹の絵が描かれていました。

本当にすごいです。

 

写真も撮ってOKとのことだったので、撮ったのですが、写真で見るとペッカリとしてしまうというか、奥行きがわからず、実物の十分の一もよさが伝わらない感じです。

 

盛り上がりというか厚みという重厚さ、そして細かさ、精緻、。

 

 

玉三郎さんの解説動画も20分ほどですが観ることができますので、満足度が高く、良質の短編映画でも見たくらいの満足感が得られます。

 

18日までなので、ぜひ、その目でお確かめくださいませ!

 

来場特典は限定待ち受け画像と玉様特別メッセージ動画ですぞ。

 

会場:セイコーハウス銀座ホール

日程:2023年6月8日(木)~18日(日)

時間:11:00~19:00(最終日は17:00まで)

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