「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

箱根霊験誓仇討 歌舞伎座初春大歌舞伎 昼の部

 

歌舞伎座130年の幕開けを飾るのは、37年ぶりの高麗屋3代襲名。まことにめでたいことでありますなあ……。

 

歌舞伎界の中で3代同時襲名というのは、歴史上2回目。その1回目というのが、37年前の白鸚幸四郎染五郎だってことですから、もう奇跡の高麗屋と呼ばれるのもむべなるかな。

 

さて、今回は、どれも見どころいっぱい。大変な演目がそろっているわけですが、

今日はあえて「箱根霊験誓仇討」をご紹介し、一幕見ツアーでもこれを観ようと考えております。

 

1月9日観てきました、昼の部。見応えたっぷりでした。

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さて、一幕見ツアーで何を観るか。

王道であれば「車引」でしょうが、「箱根霊験誓仇討」なら、一幕見の行列もさほどではないでしょうし、観てきたところ、1時間程度で筋もよくわかり面白かったので、こちらにします!

 

では、あらすじと見どころを。

登場人物

◆飯沼勝五郎 (勘九郎) 仇を討つべく探しているうちに体を壊し、足腰立たずにヨレヨレ。

◆女房初花 (七之助) 勝五郎の女房。勝五郎を支えて、トロッコみたいなのに勝五郎を乗せ、箱根の山を登っていく。すごい女房だね。

◆滝口上野  (愛之助) 勝五郎の兄の仇。初花に横恋慕。こりゃあ悪いやつだ。勝五郎の兄の仇であるだけではなく、初花に横恋慕。セクハラパワハラの権化ですなあ。

 

◆筆助 (愛之助) 勝五郎の家臣

◆早蕨 (秀太郎) 初花の母。

 

あらすじ

・箱根の山をとぼとぼと登って来るのは勝五郎と初花夫婦。勝五郎は、兄の仇を探すうちに病を得、すっかりと足腰が弱くなって、もう立つことすらできない。トロッコに乗せて綱を引っ張り連れているのは初花だ。

 

ここで、本来ならみすぼらしい身なりのはずが結構ゴージャスな着物を着ているのは、まあそこが歌舞伎ということで、歌舞伎の美意識ってなんだか不思議な世界です。

 

・そこに登場するのが滝口。もともと初花に気があり、何としても手に入れたい。そのため、初花の母親を捕まえてさるぐつわをかませ、「どうじゃ。いうこと聞かぬなら、ほれ、この母親どうなってもしらんぞ」

初花「ささ、そそそれは…」

 

・勝五郎も、おのれ許さぬ!と刀を抜くけれど、何せ立てないヨタヨタでどうしようもない。仇をうつどころか、嫁さんまで辱めにあってしまうのか!?

 

・勝五郎の危機に初花ついに、なぐさみものになることを決意。

「そんならいよいよ抱かれて寝るか。ぬはははは」という滝口。めっちゃ悪者。悪者は悪者らしく、とっても悪いお顔をしているので、歌舞伎はわかりやすいんです。

 

・よよよと泣き崩れて、初花は連れていかれる。

・もうあれは死んでしまうのだろうと、実母と勝五郎は、泣き泣き念仏をとなえていると

 

・ひょっこり初花もどってくる。そして、「勝五郎の病が治りますように。見事に仇討ちができますように」という思いを叶えるために白糸の滝に打たれる。

 

・そこへ、筆助(勝五郎家臣→これ、愛之助の二役。いそがしいですねえ)登場。なんと初花が首を討たれたのだと生首を持ってくる。

 

・ということは…?さっきの…?初花は…?ひゃ、ひゃあ。幽霊か。

・とびっくりしたところで、ピョンと立ち上がる勝五郎。やや!足腰立たぬはずの勝五郎の足が治った。立った!立った!立った! クララか!という突っ込みはさておき…。

 

・初花が白糸の滝に打たれたから、勝五郎の病は治ったのだ。

・よっしゃ~。治ったどー。もうあいつめ、ゆるさん。やっつけたる~。

・幽霊の初花がその姿を見送る。

おしまい

 

てなお話ですから、わかりやすいですよ。

 

【見どころ】

七之助の初花が美しい。

勘九郎の勝五郎が美しく、仇を討たなければいけないというのに、自分自身の体が思うようにならず、くやしくて、はがゆくてという哀切がよく出ている。

どうやってこんな体で仇討ちできるんじゃいと思っていたら、初花のおかげで病気が治って 立った立った!立った!と大喜びするところ。

生首を抱えて、悲しむところは本当に愛妻を抱いているかのよう。

 

ちなみに、当初の配役では、勝五郎が猿之助、滝口が勘九郎の予定でしたが、猿之助がけがをしたため、変更となりました。役者さんって本当に大変。

でも、猿之助さんの「立った!立った!」もちょっと見たかったですね!

 

猿之助は順調にけがは快方に向かっているようで、そのあとの寺子屋で涎くり与太郎役で、元気な姿を見せてくれました。

 

もう少し、リハビリがんばってもっと元気になってほしいものです!