12月の3部。
17世勘三郎のために作られたという変化舞踊を孫の勘九郎が踊り尽くす。
舞鶴は、17世勘三郎の俳名だそうな。
春の桜の精は、可憐に。驚くほどのスピードの早替わりもあった。
秋のまつ虫は、長三郎と。
そして最後は冬の雪だるま。
恋心が熱くなって思わず溶けそうになる我が身。ぼろぼろと熱いハートに溶ける我が身を慌てて取ってつけたりして滑稽だけれどちょっと哀れ。
なんだろう?ただおかしいだけではないペーソスを感じる素敵な舞踊だった。そして、最後は朝日が昇り、気温が上がり、雪だるまは溶けていく。
それをどういうふうに表現するのか楽しみだったが、よろよろと、カクンと、そして倒れて、セリに落ちていって、未練たらしく手を伸ばし。
セリがもう一度上がってくると、くしゃくしゃに溶けて目鼻のたどんだけが形も変えずに残っている雪だるま。
そうだなあ。雪だるまってそんなふう。一生懸命作っても、どんどん小さく溶けていっちゃうんだな、なんて幼き頃を思い出したりもした。
いつも楽しい17世勘三郎の面影も感じる。
雪だるまに笑いながらちょっと胸がキュン!っと切なくなるような『舞鶴雪月花』だった。
おかしくて、やがて切ない雪だるま