「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

ゆうれい貸屋 陽キャで働き者のゆうれい楽し♪

今月1部で上演されているのが「ゆうれい貸屋」です。

山本周五郎原作の人情喜劇、だれでも楽しめますよ。

▲ビジュアル見ただけで楽しそう

 

弥六は腕のいい桶職人ですが、底が抜けているというほどぐうたらなんです。なんでも父親が真面目一方で一生あくせく働いていたのに46歳でぱったり死んでしまい、お金も残らなかった。

どうせ一生懸命働いても楽ができないなら、ぐうたらしていて貧乏の方がマシというのが弥六の屁理屈です。

 

女房も呆れてついに実家に帰ってしまいました。そこへ突然現れたのが。芸者の幽霊染次。働かない弥六は、美しい幽霊にまんざらでもない気持ちもわきますが、とにかくお金がないことには生きていかれない。そこで怨みを晴らしたい人に幽霊染次を貸し出す「ゆうれい貸屋」を始めます。

幽霊の染次は児太郎。幽霊とは思えない(!?)恰幅の良さでうすら寂しい感じはなし!でも、うすら寂しい幽霊ではないので、ノープロブレム!

 

児太郎というのは、なかなか面白いキャラで、コメディアンヌ的な才能があるのです。

上手く表現ができないが、たとえば『ふるあめりかに袖はぬらさじ』のお園のような芝居もできるのではないかなと思います。ひょうひょうとしていて肝が据わっています。

 

今回の幽霊も、お岩さんとは違って滅法明るいキャラだから、児太郎はぴったり。

若干 太……、いや言うまい、言うまい、

よいのだよいのだ。

 

そして、滅法暗い陰キャな幽霊が又造 演じるのは勘九郎

 

染次が成仏するときは派手な演出だったが、そこまで派手にしなくてもよいのではないかなと思いました。十分伝わります。

 

巳之助の父三津五郎と、児太郎の父福助が以前演じたときの『ゆうれい貸屋』は見ていないけれど、どんな感じだったのかな。

 

巳之助の弥六は、ダメダメダメンズ、幽霊が出てきておったまげる、考え込む、改心するといろいろな表情が見られて大いに楽しめました。

 

現役最年長94歳の寿猿がお元気で出てこられたのも大いにうれしいことでした。もちろん幽霊役(*^。^*)

 

原作はネットの「青空文庫」で読むことができます。後で読むと脳内で芝居が再現されますよ(*^。^*)

山本周五郎 ゆうれい貸屋

 

配役

弥六 巳之助
染次 児太郎
弥六の女房お兼 新悟
家主平作 彌十郎

又造 勘九郎