どうする家康をNHKでやっていることもあるし、團十郎になって初めての團菊祭で演じるというタイミングもいいように思います。
「若き日の信長」
十一世にあてて大佛次郎が書いたというこの芝居。
十一世、十二世、十三世と團十郎が受け継いで演じてきてほかのお家は演じていません。あまりにも十一世の人柄を彷彿とさせており、成田屋にぴったりだからでしょうか。十二世は9回演じています。
あらすじ
先代の法事に出ることもなく遊び惚けているように見える信長。しかしその真意は、「義理で来ておべんちゃらをいうような客、お布施の額を数えながらお経を読む坊主。そんな奴らのいる葬式に意味はない。本当に悲しむのは山の中で一人でできるのだ(意訳)」というものでした。
しかし、お守役の平手政秀は責任を感じて自害。信長は重臣に理解してもらえなかったことに口惜しさと悲しみを感じますが、そんなところへ今川へ寝返ったものたちが攻めてくるという知らせが来ます。どうする?信長
みどころ
新歌舞伎なので、セリフもわかりやすく、登場人物も、信長や今川、木下藤吉郎など親しみやすいので、見やすいと思います。
現團十郎は、十一世(おじいさん)團十郎にあこがれて歌舞伎役者になる決意を固めたといいますし、面影が似ているとも言われています。今回が信長を演じるのも4回目。ことのほか愛着を感じていると思うし、ニンもあっているのではないでしょうか。
舞台美術の美しさも見どころのひとつと思います。前田青邨の美術がしたじきで 場面ごとに雰囲気が変わります。公開されているポスターは、幕開きの夕暮れのワンシーン。美しいですね。團十郎は、父十二世にこの芝居の柿のかじり方まで丁寧に教わったそうです。
他の配役
自害してしまう平手政秀は、梅玉。あ!前の寿曽我対面では工藤祐経で仇として狙われるし、忙しいですね。
木下藤吉郎が右團次。
今川方に寝返った左馬之助の娘弥生 児太郎