「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

浅草歌舞伎1部 「引窓」「男女道成寺」 観劇レポ

ピリっとして気持ちのいい寒さの中、浅草へ。(1月20日

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引窓~双蝶々曲輪日記

あらすじ見どころはこちら。

munakatayoko.hatenablog.com

南与兵衛は、父の名前「南方十次兵衛」を名乗ることを許されて刀と十手を拝領して、ウキウキで帰ってくる。仕事に対してもやる気満々で、ご機嫌で帰宅。与兵衛の浮き立つような喜び方には、これで母への親孝行ができるという気持ちもあり、性格の良さがより一層、この後の展開で与兵衛を苦しめることとなる。

 

母お幸も「でかしゃった、でかしゃった」と喜ぶ。妻お早も同様だ。

隼人くん、出世して意気揚々と家に戻ってきたときに、ちょいとちょんまげを整えるしぐさはしなかったなあ。私が見た日は。あれ、かわいいのだけれど。

 

しかし、与兵衛に与えられた新しい任務を聞いてお早とお幸は青ざめる。その任務とは、先ほどお幸の元を訪れたお幸の実子、長五郎を捕縛することだったからだ。

 

ここから張り切る与兵衛と、お早、お幸との間に微妙な空気が流れる。そして手水鉢にうつった長五郎の姿を見て、真実を知る与兵衛、お幸の心根を知って苦悩する与兵衛と進んでいく。

苦悩をするのは、心優しいからこそ。親の気持ちを思いやるからこそ。そんな与兵衛をとてもきちんと演じていた隼人。

指導は、仁左衛門とのこと。真面目に真摯に仁左衛門に指導してもらったことがうかがえるような与兵衛だった。最後、長五郎とハッと見つめ合うところ、きりりと美しく決まった。

 

昨年も仁左衛門にしっかりと指導をしてもらうことが多く、松浦の太鼓などでも長くそばにいて、様々なことを教わったという。

やわらかな雰囲気や品の良さは、あとから取って付けられるものではなく、その良さを生かしてますます精進してほしい。

男女道成寺(めおとどうじょうじ)

先月、菊之助勘九郎の二人道成寺を見た後じゃあ、どうなのかな?と思わぬでもなかったけれど、今回は男女道成寺道成寺の違うバージョンなので、これはこれでとてもよかった。

本家本元の道成寺とは違い、花子と桜子二人の白拍子、実は桜子が狂言師、男だったという設定が男女道成寺だ。京鹿子娘道成寺が人気だったので、いろいろなバージョンが生まれたもの。(二人道成寺もバージョンのひとつ)

新悟はきれいなことは知っていたけれど、どうしてどうして巳之助も美しい!そしてちらちら三津五郎さん(お父様)を感じるところも胸熱。

ちょっとドスドス歩いちゃって、男であることがばれてしまった左近(巳之助)は、照れながら退場、狂言師の衣裳に着替えて、再登場。

毬を操って踊る「毬歌」の部分では、所化がからんで毬を隠されてうろうろしたり、所化も合わせて一緒に踊ったり。三味線と小鼓の軽やかな伴奏に、観客の気分もふわっと上がる。

 

狂言師が引っ込むと、花子登場。振り出し笠で華麗な踊りを見せ、その後所化の総踊りとなり、華やかな衣裳と笠で舞台を盛り上げてくれる。

 

その後はいよいよ恋の手習い。常磐津の詞章に合わせて踊る新悟、色っぽくなりました!そして巳之助は、お福とお大尽のお面を使い分けて、色っぽさと荒っぽさを踊り分け。さらには太鼓持ちまで踊り分け。

腰を入れる、肩を寄せる、内また、蟹股。一瞬一瞬で、女性、男性を踊り分けるのは、大変な技術だなと感じ入る。さすが坂東流家元。

お面での踊り分けをしない振り付けのこともあるので、今回は見どころ満点だった。

 

この日は、大学時代の友人と観劇。

ちょうど私が歌舞伎にご無沙汰をしていたころに彼女はよく見ていたので、話も興味深い。一方、彼女は最近歌舞伎にご無沙汰気味だったので、若手のことはあまり知らず、私が張り切って教えている(笑)。

 

大学時代はぶつかることも多かったけれど、還暦過ぎて仲良く歌舞伎見物とは、感慨深い。二人でお蕎麦を食べて帰る。

久しぶりに観て楽しかったようで、彼女はさっそく2部のチケットを追加したとラインあり。千穐楽を見たとのこと。よかった♪