本日は、国立劇場初日へ。行くのを初日にしたのは、菊五郎劇団のご挨拶がこの日のみあるからだったのに、時間遅れてご挨拶見損なう。がっくり。
お話は遠山の金さんの遠山桜天保日記。いつものように、菊之助のナレーションから始まって、簡単な時代背景が説明されます。
そこかしこに楽しい趣向あり、劇団の団結力あり、宙乗りこそなかったものの大がかりな捕り物あり。菊五郎の「ブラボー!」あり(笑)。幸せのおすそ分け、手ぬぐい投げも3年ぶりに復活。そうりゃっと恒例の彦三郎さんの遠投も2階まで楽々届き「おおお~」と感嘆の声が会場に響きました。
なんと私、萬太郎さんが投げた手ぬぐいをゲット!!
いやあこんなにうれしいものとは思いませんでした!ありがたやありがたや。最初に時間が遅れてご挨拶が聞けなかった失点を十分回収しました。芝居の中で、咲島千介の萬太郎はとてもきちんとしていて「はあ。立派になったなあ」と思いながら観ていたので、とてもうれしかったです。
お話は、遠山の金さんが見事な裁きを見せるもので、ハッピーエンド。誰でもわかりやすく楽しめるのでは?若干冗長に感じられる部分もありましたが、まだ初日なのでどんどんしまってくるのではないでしょうか。
悪3人組が、菊之助、松緑、彦三郎。この3人の並び、なかなかよかったです。
住大夫(松緑)の大立ち回りは迫力がありました。「は!」「は!」と気合で捕り方たちを倒していく住大夫の立ち回りは合気道のようでした。
並びと言えば、小三郎(菊之助)の恋人おわか(梅枝)とその妹分のおえん(右近)の並びも美しくてよかった。
丑之助くんが、小三郎(菊之助)を慕う丁稚辰吉役で、これまたしっかりこなしているのですがとにかくかわいいかわいいで、観客がみんな丑之助が歩いても泣いても何をしても、ほのぼのと笑ってしまうのは、本人にとってはちょっとかわいそう。
最後には、河原崎権十郎演じる河原崎権之助が座頭である河原崎座が、遠山の金さんのおかげでめでたく初芝居を迎えます。その初芝居の口上を権十郎が舞台中央で述べます。
なんだか私たち観客も江戸時代の河原崎座の客になったよう!タイムスリップした感覚でした。そして、役者たちの総踊りが繰り広げられました。
若旦那とちょい悪役だった菊之助は、この最後の場面で芸者に。その色っぽいこと。待ってました!やっぱり菊之助の女方、いいですねえ。萬ちゃんはまだ振りがうろ覚え?(笑)。
亀三郎、丑之助、眞秀、小川大晴のちびっこ4人がキリリと若衆の拵えで踊ったのでやんややんやの大喝采。
大晴くんは、ちびっこの中でもさらにひとまわり小さくてかわいらしさひとしお。一生懸命お兄ちゃんたちの踊りを見ながらついて行っている感じでした。
うしろで見守る父梅枝とおじ萬太郎。梅枝はマジでじー――っとハラハラ見ていましたが、萬太郎は頬も緩みっぱなしでかわいい甥っ子を見て笑っちゃっている感じ。おじと父の違いですよねえ。甥っ子は文句なくかわいいものです。
クールな亀三郎、お目目ぱちくり明るさがにじみ出る眞秀、しっかりしっとりの丑之助と、それぞれ個性豊かな4人です。
本当は、これで初代の国立劇場のお正月が最後だなんて、寂しくてたまらないけれど、芝居後は「よかったね」「楽しかったね」と笑って帰ることができました。