松浦の太鼓 追善口上
松浦の太鼓は、白鸚初役で松浦候。白鸚なりの松浦候を作っていて、吉右衛門の松浦候がイメージにある身としては、あれ?なんだかちがうな的な感じでしたが、あれもまた正解なのでしょう。
あらすじと見どころについては、こちら!
うしろの近習たちの中に染五郎クンがおり、生き生きと楽しそうに演じていました。
松浦の太鼓のあと、追善の口上がありました。
「苦労に苦労を重ね、播磨屋の芸を後世に残るよう努めてきた弟を誇りに思う。たった一人の弟との別れは、寂しい。わびしい」
と語る齢80歳の老優、白鸚。
80歳での初役は弟のため、どうぞ鷹揚の御見物を。と深々と。
梅玉は、松浦の太鼓では6回吉右衛門と共演したとのこと。今回の秀山祭では、「全ての演目に出たかった」と、いつものようにちょっと早口、ちょっとモソモソな愛情たっぷりの語り口でした。
「まだ病院にいらっしゃるのではないかという気がする」というのは歌六。本当だ。ずっと病院にいると思っていた期間が長いので、私もまだそんな気持ちがします。(その後、その期間ずっと意識が戻っていなかったと聞いてショックを受けました)ひょっこり戻ってきて…、欲しいですね。そうであれば、降るような「播磨屋!」の大向うがかかるでしょうに。
揚羽蝶繍姿
これは、吉右衛門の当たり役である籠釣瓶花街酔醒、鈴ヶ森、熊谷陣屋の名シーンでぱっぱとつなぎ、最後はだんまりで締めるというもの。
どうやって物語をつなげるのかと思ったら、全部ぶつ切りで、本当に名シーンのカット集のよう。かえって無理やりストーリーにつなげなくてこれはこれで良かったと思いました。
よく知る人は、「ああ、これもよかったなあ。あれもよかったなあ。鈴ヶ森は、昨年の7月に出演予定として名が挙がっていたじゃないか」などと思いを馳せ、吉右衛門の姿を重ねて見てしまいます。
初めて観る人は、ちんぷんかんぷんかもしれませんが、いわば映画の予告編のようなものだと思っていただければいいかと思います。
映画の予告編って本編が始まる前に、パッパパッパと数編出てきますね、その中でこれは面白そうだなとか、このジャンルは興味なし!とか楽しみながら観ますよね。
そんな見方をしてみては。
最初に出てくる花魁道中。籠釣瓶です。とても美しいでしょう?今回福助が八ツ橋を。花魁道中はまだ足が不自由なので、どうなさるのかと思ったら、あっと驚く演出でした。アイデアは幸四郎が出したらしく、さすがのアイデアマンです。
きれいだなあと思ったらぜひ次回この作品がかかるときに見てくださいね。
幸四郎が佐野次郎左衛門と熊谷。よく研究しているのでしょうね、ハッと思うほど吉右衛門と似ている瞬間もありました。
吉右衛門の芸を継承していきたいという気持ちが強い人がこれだけたくさんいて秀山祭が叶ったこと、本当によかったです。ずっと続きますように。