大波乱続きの8月納涼歌舞伎も終わり、9月は少し心穏やかに観劇をしたいものです。たのんます。
秀山祭とは
さて例年9月の歌舞伎座は、秀山祭といって、初代吉右衛門ゆかりの演目が並んでいました。
2006年(平成18年)に第1回と銘打って始まった秀山祭。それは2世吉右衛門の「初代吉右衛門の歌舞伎に対する、舞台に対する魂、姿勢を受け継いで、次の世代にそういう芝居づくりを伝えたい」という思いから始まりました。
しかし、残念ながら一昨年、昨年と「秀山祭」としての開催はなく、3年ぶりの今年は、なんとあれだけ秀山祭を大切にし、作り上げていた2世吉右衛門を追悼する秀山祭となってしまいました。悲しいことです。
しかし、一方で吉右衛門丈所縁の役者がその意思を継ごうと集まり、吉右衛門丈所縁の演目を演じようと秀山祭が復活したのは喜ぶべきこと。温かな、そして気持ちのこもったひと月となるにちがいありません。
どうかゆったりと落ち着いて観させてくれい。コロナよ暴れるな。
第1部の白鷺城異聞は中山幹雄原作/松貫四構成・演出とあります。
また、第3部の藤戸という踊りも松貫四が構成です。
松貫四の手による演目のほか、1部寺子屋、2部松浦の太鼓、3部の一力茶屋は2代目吉右衛門丈の当たり役、2部の揚羽蝶繍姿では、当たり役の数々をオムニバスでつづるという趣向です。
第1部 11:00~13:40
・白鷺城異聞11:00~11:45
1999年、姫路城特設舞台で初演されたのみという演目。姫路城の宮本武蔵にまつわる伝説をもとに作られました。
姫路城の最上階には夜な夜な妖怪が出るという噂。妖怪退治に宮本武蔵が呼ばれます。武蔵が退治しようとすると出てきたのは秀頼の霊でした…。
あらすじと観劇レポはこちら。
・寺子屋~菅原伝授手習鑑12:15~13:40
寺子屋は菅原伝授手習鑑の中の四段目。かつての師の息子菅秀才を守るために苦悩する武部源蔵、主君と親兄弟の間で苦悩する松王丸の姿が心を打ちます。
詳しいあらすじと見どころはこちら。
今回の眼目は、二つあります。
奇数日と偶数日で配役が変わることです。
奇数日は、松緑が松王丸、幸四郎が武部源蔵。偶数日は、幸四郎が松王丸、松緑が武部源蔵を勤めます。型から衣裳も違うので見比べも楽しみです。
寺子屋を深掘りした「田中綾乃、木ノ下裕一の歌舞伎のセカイ レポ」はこちら。
もう一つは初舞台があること。
播磨屋の中村歌昇の長男種太郎クン、次男秀之介クンが初舞台。種太郎が菅秀才、秀之介が小太郎を演じます。種太郎クンは何度かすでに舞台を踏んでいますが種太郎としてのデビューは始めてなので初舞台。秀之介クンは初お目見え=初舞台となります。楽しみですがファンとしてはドキドキが止まりません。
ちなみに秀之介クンの「秀」は秀山にあやかってということです。
第2部 14:30~16:59
・松浦の太鼓14:40~15:59
吉良上野介館の隣に住む松浦候が主人公。四十七士の面々が無事仇討ちを遂げるよう心底応援して、なかなか吉報を聞けずにイライラする憎めない殿様がユーモラス。肩肘はらずに見られます。
松浦候を演じるのは、初世吉右衛門の初孫であり、二世吉右衛門の実弟でもある白鸚丈。現在80歳でありながら、今回初役。
「あえてそう謳いはしませんでしたが、もう二度と松浦候を演じることはないでしょう。『一世一代』のつもりで勤めます。80歳で初役をするのは、弟(二世吉右衛門を思ってのことだけです」ときっぱり口にした。ほうおう10月号より
強い 気持ちで、舞台に上がります。しっかりと目に焼き付けたいです。いいお芝居なのよ。
あらすじとみどころはこちら
・揚羽蝶繍姿(あげはちょうつづれのおもかげ)16:19~16:59
籠釣瓶花街酔醒、鈴ヶ森、熊谷陣屋と所縁の演目をオムニバス的に織り交ぜた作品。
籠釣瓶花街酔醒は、美しく華やかで私も最も好きな演目の中の一つ。今回八ツ橋が福助となると、傾城八ツ橋がチラッと振り向いて微妙に微笑み、佐野次郎左衛門のハートを射止める瞬間のシーンをやるのかなと期待。
鈴ヶ森でぬっと籠から出てくる貫禄のある幡随院長兵衛は錦之助。白井権八は歌昇。
この3つの芝居をどうつなげるのか見当もつきませんが、楽しみにしておきます。
と思ったら、無理やりつなげてなかったです(*^。^*)
2部の観劇レポはこちら。
第3部 17:45~20:48
・仮名手本忠臣蔵~祇園一力茶屋の場 17:45~19:20
これはもう、吉右衛門のおおらかな由良助、いつもすてきでしたねえ。今回は仁左衛門が勤めてくれます。寺岡平右衛門が海老蔵。おかるは雀右衛門。
仮名手本忠臣蔵という長いお話の七段目。華やかな祇園茶屋の中で繰り広げられる大星由良助(大石内蔵助)の思惑。
一力茶屋のあらすじはこちら。
・藤戸 19:50~20:48
子どもを亡くした母親が、殺した相手佐々木盛綱の前に現れ我が子を返せと訴え、後半では殺された息子が悪龍となって襲う。殺された漁夫と悪龍を尾上菊之助。
背景・あらすじ・みどころ・感想レポはこちら!
どの演目を観ても、吉右衛門丈の顔が浮かびます。吉右衛門丈と共に戦後の歌舞伎を支えてきた人や吉右衛門丈の教えを受け、芸を継承していこうとしている若い人たち、総出でおこなわれる秀山祭。一人でも多くの方に観ていただきたいです。
どうぞ歌舞伎座へ~。
上演スケジュール
初日9月4日(日)→千穐楽9月27日(火)
休演日12日(月) 21日(水)
チケット金額、売り場
1等席16000円
2等席12000円
3階A席5500円
3階B席3500円
1階桟敷席17000円
にて購入できます。
歌舞伎座アクセス
◯ 東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線 銀座駅[A7番出口]徒歩5分
◯ JR・東京メトロ 東京駅 タクシー10分
ではお楽しみに~♪