「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

弥次喜多流離譚 感想レポ

今までそれほど弥次喜多に思い入れがなかったので、今回も見るのはどうしようか悩むくらいでしたので、後半にチケット取って、まあ見られなくても仕方がないかな程度だったのですが、結果落涙する始末(;'∀') 感想を書いておきます。

 

 

良かったところ

1部は、俊寛や夏祭などおなじみの芝居のパロディがあり、クスっとわらっちゃう演出が随所に。

久々に本水まであって、大サービス。

 

大詰めは、総踊りあり、宙乗りあり、さらに4人宙乗りありの大々サービス。

 

途中で、休演となり、わずか2日の休演ののち再演。その心意気や良しと思っていたら、染五郎の代役があっと驚く猿弥ということ。私が観たのはその代役バージョンのときだったこと。よくぞ開けてくれたなあなどの感動ポイント多かった。

猿弥が、ぬいぐるみみたいでかわいくて!おちょぼ口がかわいかった。

序幕ではオリビアのお父さん役なので、そのギャップもよかった。

など、いろいろ胸キュン効果な部分があったのは間違いないのだけれど、なんというかやられたなあという感じだったのは、総出演の踊り比べと寿猿のお手紙&宙乗り

 

踊り比べでは、人数の多さで圧倒。しかも全員踊りのプロだからうまい(当たり前)。代役の猿弥も隼人も軽やかで、安心感マシマシ。

 

 

寿猿は、「自分はお前たちの親、おじいさん、ひいおじいさんの芸も今まで見てきたけれど、まだまだお前たちは、なっちょらん! もっともっとがんばらなくちゃあかん!だから、両方負け(意訳ね)」という優しくも叱咤激励のメッセージもグッときた。

 

さらに、平和の鳩の精になって宙乗りで飛んで行ったのだけれど、私は3階のお迎え席でじっくり見てしまい、寿猿さんがとても優しいお顔で観客一人ひとりの顔を見て手を振ってくれているようで、もちろん私とも目が合ったし(笑)、多分観客全員が「目を合わせて手を振ってくれた」と思ったのでは? そう思わせるってすごいと思う。

 

わーっと見上げて最後まで見届けたら宙乗りの籠の底に「宙乗り最高齢 ギネス申請中」って書いてあって、笑ったよね。

 

楽しく笑いました。

ちょっとうーんだったところ。

その後、弥次喜多、梵政コンビは、歌舞伎座目指していく。歌舞伎座は興業が立ち行かなくて、さびれていて、それを何とかしなくちゃということで、劇場の道具をオークションに出すという筋。宙乗り道具一式、提灯、シャンデリアなど競売にかけてしまう。

 

これはどうなんだろうなあという印象。

 

ルソンから来た緑婆奈々夫人が、どれもいらないといって歌舞伎座自体を競売にかけてしまえと詰め寄る。

そこで、彼女が

「時代遅れの歌舞伎なんて流行るものかね」と歌舞伎座を買い取ってリゾートホテルにするというのだ。

「このままで歌舞伎座の財政難を救えると思ってんのかい」

 

そこまでやっちゃうの…?そこまで言っちゃうの?というのが正直なところ。

 

ああ、もう松竹は、そこまで追い詰められているんだ、捨て身だ、なりふり構わずだ、崖っぷちだ。ええかっこなんかしていられないんだと思った。

 

本当にそうなんだろうし、隣のマダムが終わった後に

「そうよね、大変よね、歌舞伎座。言われて初めて気が付いたわ」ってお友達のマダムとうなづき合って席を立っていたので、もしかしてこのマダムが「大変だわ~。歌舞伎座にもっと行ってあげないと!」と思ってせっせと通ってくれるのなら、いいのかも?

 

しかし、自ら「時代遅れの歌舞伎なんて流行るものかね」とか「このままでは歌舞伎座の財政難を救えない」とか、それを言っちゃあ、おしまいではないのかなあ。

 

それでも、それくらい崖っぷちということは伝わったからいいのか。いや、マダムに苦境を知ってもらって同情買ってもらってどうするの。

 

せめて「歌舞伎座」ではなく違う架空の劇場にしてほしかったと思うのだけれど、弥次喜多はもともとシリーズもので、弥次喜多歌舞伎座の大道具のバイトをしていたという設定だから、今更架空の劇場にはできなかったのかな。そこはなんとかしてほしかった。なんとかなるでしょう。

 

 

そして、その緑婆奈々夫人に対して説得力を持って何か策を出せればよいのだけれど。

「こんな時代だからこそ、泣いたり笑ったりできる芝居を命を削ってでもやり続けないといけないんだよー」というセリフはちょっとベタな気もするし、さらに天照大神が出てきて、パコーンと歌舞伎座を復活させるというのが、なんとも説得力がないというか。歌舞伎なんて古臭いと言っている緑婆奈々夫人に、「歌舞伎って面白いのね、参った!もうリゾートホテルなんてやめるわ!」と言わせて、歌舞伎沼にドッポンして先頭きって歌舞伎見に行くマダムにしてほしかったな!

 

染五郎の代役に猿弥を据えて、休演にせず幕を開け続けたという「現実」の方が「芝居」に勝ってるのでは…?

 

これが「歌舞伎座」じゃなければいいんですよ。ばかばかしくても。でもマジで「歌舞伎座」でやられちゃうと笑えない。

 

って気がしました。

 

まあ、おもしろくて笑って、泣いちゃったくせに、こんなことを書くのも気が引けるのですけれど。

 

無事、昨日から染五郎、團子も復帰し、本日は無事千穐楽。誠におめでとうございます。

代役の皆様、本当にお疲れさまでした。代役すばらしかったです。

歌舞伎座、頑張ってくれい。

 

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▲3部終わった後。夜の歌舞伎座って綺麗よね