「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

紅葉狩 ~国立劇場歌舞伎鑑賞教室~おすすめ

いささか季節感は外れていましたが(歌舞伎ではよくあることw)、美しい紅葉で舞台が彩られました。国立劇場で「紅葉狩」を観てきました。

 

歌舞伎鑑賞教室は、おススメです。
その理由はこちらに書いてあります。
munakatayoko.hatenablog.com

ではさっそく!

簡単なあらすじ


紅葉狩りに行った平維茂が、途中で高貴なお姫様ご一行に出会う。逆ナンパされて、いっしょに宴を楽しむ。酒を飲んで眠くなって寝込んでしまうと、一転更科姫、鬼女となって襲い掛かる。

 

今回の配役 気の合った布陣

今回の配役は。平維茂松緑で、お姫様が梅枝。平維茂の従者が萬太郎と亀蔵ダブルキャスト、左近(松緑長男)という顔ぶれ。そのほか女官たちがずらりと並びます。ほっぺを赤くした女官は荒五郎さん。立ち役がこのように不器量な女方を演じることがあります。荒五郎さん、おもしろかった。

松緑亀蔵・梅枝は気心の知れた仲間であり、よく紀尾井町家話にも登場するメンツ。

紀尾井町家話って、こんなの↓

munakatayoko.hatenablog.com

萬太郎は、梅枝の弟で、左近君は松緑の長男ですから、さぞかし今回の座組は皆さん通じ合っていてやりやすいのではないでしょうか。

しかも松緑の大好きな「最後にがーっと発散できる」演目ですから!

こころなし、のびのびやっているように見られます。

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▲2階のフォトスポット

更科姫演じる梅枝は、もうめちゃくちゃ美しい。大きいうりざね顔で、前半はたおやか、時々見せる表情はきりり。時々「いつ、食ってやろうか」といった風にギラリと目が光るところが怖いです。お見逃しなく。

ウトウトする平維茂に迫るけれど
「ちょっと、私が踊っているのに、寝ちゃうわけ?キー!」
ではありませんよ。
「しっかり寝たか。いつ食ってやろうか。ジロ~リ」
です。

 

みどころ

更科姫

酒を飲みつつ、従者も平維茂も次第に眠くなって寝てしまいます。

前半のみどころは、なんといっても美しい更科姫。野菊という娘も初々しい舞を見せますが、更科姫の踊りと言ったらもう、それは夢を観るよう。


扇をひらひらと上から下へと波打たせると、まるでハラハラと紅葉が舞い落ちるよう。
また、二枚扇といって、扇を二枚使ってくるくる回して飛ばして取ったりする難しい箇所があります。
梅枝、何回か失敗もしているようですが、これは難しい。しかたない!がんばって!


私は二回観劇しましたが、一回目は、最後の最後で落としてしまい、二回目は完璧にやり遂げました!

曲芸師ではないのだから、これを成功するか失敗するかが、芸の評価を決めるわけではない!と思いつつも、ハラハラしちゃう~~。

 

山神

さて、女官と姫君は隠れます。

そこに現れるのは山神。(ダブルキャスト萬太郎、亀蔵)がドンシャンドンシャン杖を突いて現れます。

平維茂や従者とともに、美しい舞に気持ちよくうつらうつらしていた観客も山神に起こされます(笑)。

山神は、「あいつは鬼だから危ないよ」と知らせに来てくれたのです。
「鬼人が夜な夜な人を取り」

〽生き血を好いて肉を喰い、むしゃりむしゃりと骨までを 噛み割る音の恐ろしや
〽御身もここに長居せば、必ず鬼の餌食ぞや、とくとく起きて帰られよ

というわけです。なんと恐ろしい。怖いですね~~。

それでも熟睡して起きる気配のない主従。(観客は大体ここで目覚めるかw)

ドコドン(長唄
ポコポン (竹本)
ヒュウドンチャン (常磐津)

と三方掛け合いも華やかに、ドンガラやかましく起こしてくれますが起きず、ついにあきらめて山神は去っていきます。

 

維茂

ふッと目覚めた平維茂は、なんだか神様のお告げを聞いたような気がする。さては、変化(鬼)だったのだな~~と駆け出し、従者二人は腰を抜かして逃げていきます。こっけいですね。

さあ、そのあとはもう更科姫と平維茂の一騎打ち。あれほど美しかった更科姫は、あわれ恐ろしい鬼となって襲い掛かり、戦います。平維茂はやられそうになっても名刀小烏丸の霊験あらたかで、苦しむ鬼女。そしてついに討ち取られるのでした。

 

わかりやすくて、歌舞伎らしさ満開。鑑賞教室にはピッタリの演目ですね。
期間中、後半は親子鑑賞教室となり、親子で行っても4000円なので、ぜひ多くの方にみていただきたいです。子どもたちもぜひ見てね!

パンフレットも無料。台本は500円。社会人鑑賞教室だと別の台本が無料でもらえます。

www.ntj.jac.go.jp

鑑賞をしていた高校生(中学生?)たち、最後は、背中がピシっとのびちゃって、目ん玉まん丸でもう舞台に釘付けでした。よい風景でしたw

 

さて、鬼ってなんだろう?鬼については、また別のときに書きますね。