「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

雪月花三景~仲国

2部の仲国についてです。

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■あらすじの前に

後白河法皇の息子である高倉帝と小督のお話は、平家物語を紐解けばわかります。

清盛に疎んじられた小督は、高倉帝の前から姿を消し、帝はたいそう嘆いて月を見ながら心を慰めていました。そして、家来の源仲国に、小督を探させるのです。

仲国は嵯峨野を探し、わずかな琴の音を聞いて探し当てます。仲国は小督を連れて帰り、姫君を妊娠出産しますが、清盛が怒り、小督を出家させてしまい、高倉天皇は悲しみのあまり病を得て亡くなってしまいます。

 

そのお話の、仲国が小督を迎えに来て、高倉帝のところに連れていくというところをピックアップしたのがこの「仲国」。ただし、迎えに来たのは仲国の弟の仲章ですけれど。

 

もともとは、「仲国」は新歌舞伎十八番の中のひとつ。

 

※新歌舞伎十八番というのは、七代目・九代目市川團十郎が選んだ演目。七代目が選んだときは十八演目だったのだけれど九代目がどんどん増やして18では収まりきらなくなり、でも十八番という名称は残して、演目自体は32.ないし40となってしまったそうです。

十八という数字に関しては得意芸の「おはこ」という意味だと解釈して残しました。(参考:ウィキペディア

 

今回はもともとの「仲国」に、ちょいとコロナ味をくわえて、疫病退散の意味を強めにしたような演出でした。

■あらすじ

日本では疫病が流行り、帝も疫病にかかってしまう。忠義一途の仲国は疫病退散祈念の儀式をするため、大原へ。村人たちも舞の御奉納をすることに。

 

そこへ、仲国の弟仲章が小督を迎えに来ます。仲章は、小督を奥へと連れていくと、そこには八条女院が、待っていました。八条女院は、帝からの手紙を小督に渡し、帝の元にもどるよう勧めて仲章と小督を見送ります。

 

場面替わって、虫の精たちが出てきます。虫たちは、人間たちが疫病退散の儀式をすると聞き、自分たちも祈祷の手伝いをしようと相談。

 

胡蝶の精も登場。

 

最後は、仲国も登場し虫の精、胡蝶の精とともに群舞となって、極まり、幕。

■みどころ

八条女院福助が、芝居に出るたびに、しぐさが増え、動きが増え、セリフが増えていくのは、本当に素晴らしいことだなあと思います。同じ病気と闘う人たちのものすごい励みになるのではないでしょうか。

小督局は、児太郎。しっかり福助を支える孝行息子です。最近とみに艶っぽくなってきましたね。

仲章は、種之助。りりしい姿で小督を守る気持ちがよく出ていました。

 

仲国は海老蔵。最後に出るだけだけれども、何せその前が夏祭浪花鑑の団七九郎兵衛だから、はい、幕開きから登場!とはいかないですね。

 

そして、女蝶の精が市川ぼたんちゃん、男蝶の精が堀越勸玄くん。海老蔵の二人のお子が登場。1部の眞秀くん、3部の丑之助くん、知世ちゃんと、出そろう御曹司たち。

やはり、華があってかわいい。堀越勸玄くんは、その名前で歌舞伎座に出るのは最後。次に出るときは新之助襲名です。ぼたんちゃんは、私は初めて見たので、子供みたいで大人びた、大人みたいで子供な、不思議な魅力にびっくりしました!

 

虫の精たちの踊りは可愛かったし、最後の群舞は迫力。なんだか途中運動会の玉入れみたいになってましたが(見た人はわかると思う)。。。

 

夏祭浪花鑑のあと、めでたく疫病退散して打ち出し~となりました。