「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

義太夫・鶴澤藤蔵 三味線の世界

7月9日(土)静岡に行ってきた。静岡県に行ったことはあっても、静岡駅に降り立ったことは初めてかも。

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▲手前が竹千代(のちの徳川家康)後ろが今川義元。静岡駅前。

 

お目当ては静岡音楽館AOIで行われた 鶴澤藤蔵さんの、『三味線の世界』。

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 藤蔵さんの三味線が聞きたくて、ついに新幹線に乗ってもうた!

1部は、『三味線組曲』太棹の響き。

『六種類の弦楽器を生かした初お目見えの太棹の響き』ということで、否が応でも期待が高まっていく。六種類とは、太棹三味線、細棹、箏、八雲、大弓、胡弓。初めて見る楽器もあった。箏を小さくしたような八雲がそれ。弦を左手で竹筒のようなものを持って押さえていた。

八雲

 

これらが一斉に奏でられるとグンと迫力があり、邦楽オーケストラの味わいがあった。

私事だが、実はちょうど一週間前に、クラシックの音楽家の管楽器13種類を使ったコンサートというのを聞きに行き、そのフルオーケストラ並みの迫力に感動したばかりだったので、今度は邦楽オーケストラだと驚いてしまった。何にせよ、生の迫力とはすごいものだ。

さて、1部の内容は。

仮名手本忠臣蔵」八段目~道行旅路の嫁入り~より行列の合いの手※。

「良弁杉由来」~二月堂の段~にて、良弁上人登場の行列のメリヤス※。

桂川連理柵」~道行朧の桂川~の冒頭のお半と長右エ門が登場する直前の浅葱の間買うがかかっている間の節オクリ。

勧進帳」の延年の舞。

「夏祭浪花鑑」~長町裏の段~で団七が義平次を殺す立ち回りのメリヤス。

などなど(まだまだあった)。

どれも演目は知っているものばかりだが、その部分の三味線だけを太夫なしでピンポイントで聞いてみることはなかったので、「わかるような?」「あー。お人形の情景浮かぶ!」ものもありましたが、ほぼ「こんな曲だっけ」「どこ?」と意外に思うものばかり。 思ったよりもわかっておらず恥(;^_^A。

とはいえ、あの演目のあのシーンがこれだと頭で考えすぎず、太棹の力強さ、胡弓の物悲しさなど、純粋に音楽を楽しむこともできた。

 

休憩をはさんで 2部は素浄瑠璃。「近頃河原の達引」から、堀川猿廻しの段。あらすじと、床本もつけていただきありがたや。

 

義太夫は豊竹呂勢太夫。三味線藤蔵、ツレ弾き鶴澤清志郎

ガツガツ攻めていく藤蔵さんに、ピタッとくっついていく清志郎さん。こういう参謀がいたらリーダーも心強かろうなといった風情あり。

 

※合いの手―太夫の語りと語りの間にひく。(舞台の上で)
※メリヤスー 人形の動きに合わせて、簾内で大勢でひく

 

初めて行った静岡音楽館AOIは、パイプオルガンなどがデーンと正面に鎮座していてとても立派だったけれど、どうも音響がぼわーんと響きすぎるような気がした。お風呂で歌っているような…?

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そこが少し残念だったけれど、企画自体すごく面白かったし、パンフレットも、シンプルながら必要十分でとても丁寧、藤蔵さんの熱き思いも伝わってきたし、6種類弦楽器の演奏も、よかった。

私の筆力と理解度が浅すぎて、十分良さを伝えられないのがはなはだ残念。

静岡音楽館AOIは静岡駅のすぐ隣だったので、4時38分だったかに終演となり、すぐに57分だったかの新幹線に飛び乗れたので、帰りもとても楽ちんだった。品川まで約1時間。

おみやげもビールも買わずに飛び乗り、車内放送で「この電車は車内販売はありません」と言われたときの失望感は、察してください…。