文楽入門書みたいなものは、たくさんある。
文楽は、人形遣いと三味線、太夫で構成されるとか云々。もちろんそれは正しくて、初心者のために伝えるべき正しい情報なのだけれど。
今回おすすめしたい「14歳からの文楽のすゝめ」は一風変わった本だったのでご紹介。前回の「ビジネスパーソンのための文楽のすゝめ」につぐ竹本織太夫さん著の第3弾。
今回のこの本は、ターゲットを14歳に絞って、14歳にすごく寄り添って書いてある。
14歳ってめちゃくちゃ難しい年ごろだ。
私事ながら、我が家の子どもたちも14歳のころはとても難しかった。たぶん本人も自分の中で大人と子供が同居していて大混乱中なのだろう。
そんなときに親の出る幕はない。見守るのみだ。
そのめちゃくちゃ不安定な14歳に、この本をさっと開くと
「今を生きる君たちへ」
という一文があって、吸い寄せられる。
めちゃくちゃ落ち込んだり、頭にきたりいろいろなことがあるけれど、意外と昔の人もあまり今と変わらないよ。
「人の心って意外と変わらない。それを知っているのと知らないのじゃ大違いなんだ」
という文楽の世界への誘いが絶妙。
そして、人形の仕掛けがこうなっていて、とか頭はこんなのがあってとか、もちろんそういう説明もきちんと入っているけれど、基本的なスタンスが「14歳の心に寄り添う」だから、
「純愛ってなに?」
とか
「愛か友情か」
とか
「親にも秘密がある」
とか、14歳が喰いつきそうなワードがいっぱいちりばめられてある。
そして学校で教えてくれないことは名作の中にあると教えてくれる。
「いい友達ってなんですか?」→曽根崎心中
「すぐにキレてしまいます 直せますか?」→伊勢音頭恋寝刃
「気づいたら三角関係。どうすれば…」→新版歌祭文
などなど。そうだよねえ。14歳の気持ちにたてば、こういう誘い方、作品の紹介の仕方ができるよねえと感心してしまう。
軽いタッチの4コマ漫画あり、ちょっと興味を持ったところで、文楽の裏方がどうやって舞台を作っているか、イラストいっぱいで説明されていたり。(参考になったw)
そして、さらに興味を持ったところでw、表にたつ三業の竹本織太夫さん、鶴澤清介さん、桐竹勘十郎さんに、アンケート形式で質問攻め。写真もユニークで親しみやすい。
最後は、5分でわかる研修生制度をバシっと決めて、完璧♪
もちろんもっと小さな子でも大人でも楽しめるので、ぜひ手に取ってほしい。
難しいと考えすぎずに、楽しんでほしいな。
身近な子にプレゼントしたいな~。キョロキョロ。
私にはビジネスパーソン編よりも14歳編の方がおもしろかったので、やはり14歳に近いのだろうか(;^_^A
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