以前、にざたまの神田祭を見たけれど、今回の「お祭り」は、玉三郎のみ。もともと「お祭り」は鳶頭のみで踊っていたらしい。それが芸者に変わったり、人が増えたりその時によっていろいろではあるけれど、今回は玉三郎の芸者さんのみ。
仁左衛門の鳶頭は出てこないので、残念だな~と思っていたのですが、玉三郎がやっぱり素晴らしかった。
ついさっきまで、白髪頭でちょぼちょぼ歩いていたというのに(ぢいさんばあさんのことね)、さっそうと粋な姐さんになって登場。その美しさたるや。万雷の拍手。
やはり晴れやかに美しい玉三郎がいい!
顔が美しい。そして、踊りが美しい。手先が美しい。着物の流れるような線が美しい。裾さばきが美しい。
先日私は鏑木清方展に行って来たのですが、そこで会った数々の浮世絵の美しい美人さんたち。その美人さんたちは、絵ですから動かなかったのですが、その絵がこの世に躍り出てきて、動き出したかのよう。
美人画はそのまま連写のごとく、一瞬一瞬コマ送りのように流れ、そのどの一瞬も美しく、まったくミスのない動き、完璧な動き。
姐さんは、若い男二人を手玉に取って踊り、きびきびしていながら色気があり、かっこいいこと。
わずか12分?少々のたった一人の踊りで、あっという間に歌舞伎座を華やかな江戸のお祭りのセカイに誘って、3部打ち出しとなった。
見事というしかない。
幕見があればなあ~。また観たいなあ~。