「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

勘九郎七之助 陽春特別公演2022

2005年から毎年全国を巡業しているという中村屋の陽春特別公演(昨年は中止)。初心者でも楽しめるよう考えられている。春暁、陽春、新緑、錦秋と季節によって多少名は違えど、中村屋が様々な工夫をもって全国を回る公演という軸は変わらない。昨年から勘太郎、長三郎も加わり、中村屋ファンのための公演という感じが色濃い。

4月4日まで。あ。今日が楽か。おめでとうございます!

 

最初の挨拶からトークの間も、とにかくお客様に感謝という気持ちはとても伝わった。

 

筋書は1000円。写真は、今までのお役からとびきりの写真がいっぱい載っていてよかった。かっこいい!凛々しい!きれい!かわいい!かわいい!のオンパレード。

ちなみに、私のツボだったのは、長三郎君の赤坂大歌舞伎「宵赤坂俄廓景色」の伝説のラストシーン、ハリポタ宙乗りが、さりげなく入っていたこと(笑)

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陽春特別公演2022

今回は、

勘太郎、長三郎の「玉兎」

勘九郎七之助トーク 

ミニ歌舞伎塾 

勘太郎、長三郎のトーク

色彩間苅豆

 

という次第だった。

 

玉兎

以前歌舞伎座でやったときより、ずいぶん勘太郎クンは大きくなったなあとぼんやりしながら観ていたのだが、あとで調べたら、8月の納涼歌舞伎で勘太郎ひとりで玉兎を踊ったのは、2017年だった。もう5年も前のことなのだ。ということは当時勘太郎は1年生で、今の長三郎よりずっと小さかったのだ。それで歌舞伎座で堂々と一人踊ったのだから、大したものだったなあ。

 

今回は長三郎と二人。今年から6年生だもの、大きくなるわけだ。

 

大きな満月から兎が飛び出てくるところは本当にかわいい。以前のようにハラハラドキドキもせずに(下手というわけではなくて、あんまり小さかったから)、安心して見られたし、カチカチ山のたぬきさんも、余裕をもってのびのび踊っているように見えた。連獅子や盛綱陣屋の小四郎を立派に演じる勘太郎だもの、もっと違う演目でもよかったような…。

トークとミニ歌舞伎塾

ミニ歌舞伎塾は、ツケや立ち回り、黒御簾の中の太鼓の効果などを、いてうさんが丁寧に説明。初心者にもよくわかる内容だったと思うけれど、もう一歩踏み込んでもよかったような気もする。歌舞伎鑑賞教室ならいざ知らず、中村屋の公演って本当にそんな初心者って多いのかな?コアな中村屋ファンが多いのではないのかな?分析していないのでわからないけれど。コアな中村屋ファンが孫を連れてきたなんてシチュエーションだと、とてもいいかもしれない。

 

トークは、前半が勘九郎七之助。歌舞伎塾を挟んで後半が勘太郎、長三郎。司会は吉崎典子さんで、手慣れたもんでとても上手な司会だった。

 

勘九郎七之助は、色彩間苅豆~かさねはあまり演じていないそうだ。10代のころ与右衛門を七之助、かさねを勘九郎でやったことがある(それはそれで、観てみたい!)のと、パリ公演で七之助はかさねを演じた(与右衛門は獅童 それはそれで観てみたい!)くらい。

国内でこの配役は初めてだそうで、ちょっと意外な気もした。だって、七之助のかさねなんてぴったりすぎて「当たり役」と言われていても不思議はないようなイメージ。これからそうなるのかもしれない。

 

勘太郎、長三郎は4月から6年生と3年生。メリハリをつけて宿題を頑張るとのことでした(笑)。お芝居ごっこが大好きな兄弟なので、刀は大小合わせて42本、棒も合わせると92本所持されているとのこと(笑)、単なる棒が50本あるってこと?愛ちゃん大変だ。

色彩間苅豆

色彩間苅豆のあらすじとみどころについては、こちら!

munakatayoko.hatenablog.com

 

かさね伝説についてはこちら。すっごくこわいからぜひ読んで!

 

munakatayoko.hatenablog.com

前回見たのは、幸四郎猿之助で泥臭く、それよりも中村屋の方がシャープですっきりしているような印象だった。どちらもいいのだけれど。

勘九郎与右衛門のワルっぷり

勘九郎の、ワルたっぷりの表情が、たまりません。                   

 

かさねに殺意がわき、「さあ、おじゃ」と手招きするところ。猫なで声が怖い。

鏡で、醜くなった顔を3度も無理やり見せるところ。東海道四谷怪談で、按摩宅悦がお岩に鏡で顔を見せるところとは明らかに違う。

本当に、悪いやつ。ギラりと光る悪い目が怖い。

連理引き

連理引のところでは、猿之助のかさねは、手のひらをひらひらさせて与右衛門を翻弄するが、七之助のかさねは、手のひらをグッと握っていて宙に出していた。幽霊なのにそこだけは強い意思を感じた。

どっちが怖いかといえば、猿之助のひらひらの方がこわかったかな。

 

さて、久々にお友達と観に行ったのですが、お友達が不思議におもったところをQ&Aで。

 

Q&A

与右衛門は刀も持っているのに、なぜ鎌で殺すの?

 

与右衛門が、かさねと落ち合っているところに流れてきたのが、鎌の刺さったどくろと卒塔婆だった。どくろは、与右衛門が殺した助という男の頭蓋骨。与右衛門は、助を鎌で殺したのだ。その鎌とどくろを見て狼狽した与右衛門は、卒塔婆をバキバキ折って、どくろを壊してしまう。その途端、かさねの足が痛み、倒れ込む。その後、その鎌を使ってかさねを殺してしまう。

急に顔が腫れて、足が痛み始めたのはなぜ?

 実は、助はかさねの実父だった。与右衛門は助を殺すときに、眼窩に鎌を振り下ろした。父の仇と愛し合ってしまった因果で、かさねの足が痛み、顔が腫れてしまう。

哀れかさねは、母と密通し父を殺した男を愛してしまったのだ。

 

急に出てきた手紙はなあに?

 

かさねが倒れ込んだあと、捕り手が来て与右衛門を囲む。しかし捕らえることができず、その上逮捕状を落として退散していく。

 

与右衛門がその逮捕状を読んでいるところに、醜く顔を腫らしたかさねが来て、他の女からの手紙じゃないの?と邪推してくるものだから、ますます与右衛門は煩わしく思い、鏡でかさねに顔を見せ、自分の悪行を語る。「お前の実の親、助を殺したのは、この俺だ。これも因果とさあ、あきらめて」って、ひどい。

 

哀れなかさね(涙)

 

またまた悪天候

会場の小平市のルネ小平は、私にとってとても懐かしい場所。5年前まで22年にわたって小平市に住んでおり、子育て期はずっと小平住み。ルネ小平は子供の合唱祭や子ども劇場を観に行くなどしていた。久しぶりに行ったので、春の花見がてらのんびり散策などしたかったが、あいにくの冬みたいな天気だったので、どこにもよらずに帰った。

 

そういえば、前回歌舞伎座でかさねを見たときも、ものすごい暴風雨で、かさねの祟りか?と思ったのだったが、この日の天気もまるで冬のようで、とても4月3日とは思えなかった。これもかさねのたたりかもしれない。

 

行きも帰りも、西武線は「ドラえもん号」で、なんだか気恥ずかしかった(;'∀')

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