「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

春秋座 花形舞踊公演を観る

「春秋座花形舞踊」第2弾。猿之助と勘十郎がタッグを組んで送る珠玉の名舞台。

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今回は歌昇、種之助兄弟が出ると知り、2年間遠征を控えていた私もついに出陣!

はじめて春秋座に行ってきました! その「はるかなり春秋座」については、また後述するとして、とりあえず、2月19日と20日に終えた公演について。

私は19日の3時半の部と、20日の11時の部を観ました。

 

演目は乗合船恵方万歳・小鍛冶・扇売高尾 の3つ。

 

乗合船恵方漫才

猿之助と勘十郎以外は全て名題下の若手。本当に今後が楽しみ。しかし、今回全部化粧もしていない素踊りですからね、難しいと思いますがとても皆さんはつらつと踊っていた。

小鍛冶

当初、小鍛冶が発表された時は、童子実は稲荷明神が種之助で、三條小鍛冶宗近が歌昇なんじゃないの?とちょっと首を傾げたし、そう思った人も多かったと思う。

 

しかし蓋を開けてみると、前ジテでの燃えるような橙の衣裳、後ジテでは真っ白な衣裳で、歌昇が輝いていた。踊り、跳ね、舞っていた。際立っていた。

 

ちょうどお友達とも会えたので、二日間の公演が終わった後、遅いランチを楽しみつつ、静かに興奮して(笑)感想を語り合った。(コロナ禍ですからね、口角泡を飛ばし語り合うわけにはいきません!)

 

お友達曰く、

「多分種之助クンが稲荷明神を演じたならば、なんだかイメージがつくじゃないですか?意外性はなかったと思うんですよ」

 

確かにそうだ。

歌昇がやったことで意外性が生まれ驚きが生まれ感動につながった。種之助がやったならば多分それなりに軽やかにしなやかに踊っただろう。歌昇は、種之助とは違ったパフォーマンスで個性を存分に発揮して踊ったと思う。とても良かった。

 

歌昇は、自分の力がわかっていないんだろうね」

俺が俺がと言うタイプではなくて、まだまだ眠っている力があることを本人が気づいていないみたいなところがある。だからこそ上の人に引き立てられ「えーーー!?」と驚くようなお役を与えられ、四苦八苦してもっともっと頑張って、わざを磨いてほしい。まだまだ若いのだから、歌種兄弟2人ともいろんなお役に挑戦してほしい。

そういえば、歌昇は伊勢音頭のお鹿ちゃんも、よかったんだった!

歌昇は、筋書きの中でも、お鹿です、どうしようってぼやいていたのに笑。

 

どんな経緯で、猿之助と勘十郎はあのお役を歌昇にきめたのだろう。と私たちはジビエの鍋をつつきながら妄想する。

猿之助も勘十郎さんも『種之助も踊りの会をやったぞ、歌昇はどうなの。もっとやってみなさいよ。ハイ、今回は、これ、やってごらん!』って言ったんじゃない?」

「私は、12月の歌昇さんの由良助を見て、これはなかなかすごいぞ、と見直してこの役をつけたのだと思いたいな!」

「確かに、種ちゃんと猿之助は、今まで三谷歌舞伎や浮世風呂など結構やっているけれど、歌昇さんとの絡みはあまりなかったからねえ、由良助でハタ!こ、これは!と思ったか!」

(さんづけしてたり、してなかったり、めちゃくちゃだけど、気にしないで。)

 

いや~。鹿さん、鴨さん、馬さんの肉をどんどんと平らげながら、二人の妄想、とどまること知らず。楽しいですなあ。実際のところどうなんでしょうか。

いつまでも語り合いたいオタク談義なのでした。

 

宗近役の種之助くんは、終始しかつめらしい顔をしていましたが(とはいえ、素踊りで化粧していないからね。いつも隈取の下であんなに怖い顔してんのか、と思ったりも笑)背中がいつもピンとしていて気持ちがいい。形がまるでオリガミのように決まるのも彼らしい(わかりにくい表現ですよね)。兄の稲荷明神を見ながらどんな感想を抱いていたのかも聞いてみたいものです。

扇売高尾

28年ぶりに改作しての上演。享和元年(1801年)に初演されたもの。昭和36年歌舞伎座で六世藤間勘十郎の振り付け、六世歌右衛門のおしず、初世猿翁の庄兵衛で再演したというから、猿之助、勘十郎、どちらにとっても大切な作品なのですねえ。

 

猿之助女方は、すばらしいのでいうことはないのだけれど、私にとって勘十郎さんのこんなに長い(1時間)踊りを見るのは初めてだったので、本当に感動した。いやもう歌舞伎役者でよくない?お顔が大きくて立派。声もあんなに出るとは!

 

勘十郎さんは藤間流宗家なので踊りがうまいのは当たり前だし、勘十郎さんに「踊りが上手い」というのはイチローに「野球がうまいね」と言う事と同じ位失礼なことだとは思うのだけれども、やはり圧倒された。乗合船恵方万歳では、ことさら動きをオーバーにしなくても女性らしさを感じたし、その先に見える景色も見えた。扇売高尾では、圧倒的な迫力ー。

やはり一流とは素晴らしいものだなとつくづく感じた。

 

猿之助と勘十郎と壱太郎。3人そろっての踊りは贅沢の極みであった。

 

苦労して京都まで行った甲斐があったというもの。春秋座についてはまた後で。

 

お友達と食べたランチは、二年坂の路地の中ひっそりとたたずむお店「ジビエ・川魚料理 手打ちそば処政右衛門」。こちらも大変結構でございました。

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お腹もいっぱいになったところで、ぷらぷら歩いて戻る途中南座の前で、またもや興奮するオタク2人。

 

花形歌舞伎の看板がかかっていましたよー。

みっくん、しっかり養生して、3月の南座でがんばってくださいね!

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そして、種之助さん。お誕生日おめでとうございます♪

皆様お疲れさまでした。