「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

寿曽我対面~十世坂東三津五郎七回忌追善狂言

本日、赤坂大歌舞伎と歌舞伎座千穐楽。昨日は国立劇場千穐楽。無事に終えたこと誠におめでとうございます。

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本日歌舞伎座に行ってきました!3部もみたかったけれど、ちょっと都合がつかず、1部と2部のワンツーフィニッシュ。

 

まだ書いていない2部の寿曽我対面についてここでは書きます。

 

 

寿曽我対面のあらすじ、みどころについてはこちら。

 https://munakatayoko.hatenablog.com/entry/2019/05/13/142052 

munakatayoko.hatenablog.com

十世坂東三津五郎七回忌追善狂言

今回は、十世坂東三津五郎七回忌追善狂言としてかかった演目です。もう7回忌とは早いものですね。踊りの名手三津五郎さんは、18勘三郎と仲が良いことでも知られており、勘三郎さんの死がとても堪えたのでしょう、それから8か月後に癌が発覚、1年半後に亡くなってしまいました。59歳という若さもショックでしたが、勘三郎三津五郎という今の幹部の次の世代を担う人が相次いで亡くなったことによるショックは、歌舞伎界にとっても我々ファンにとっても、とても大きいものでした。

曽我五郎 巳之助

その息子の巳之助君。今32歳。お父さんが亡くなった時25歳ですね。

本人筋書で「父が存命ならば、大役を演じる父のそばに出るような形がもう少し長く続いていたのでしょう。亡くなってしまったが故に、大きなお役を経験させていただいた部分もあると思いますので、何とも言えない気持ちです」と語っていますが、並々ならぬ重圧と戦ってきた6年間ではなかったかと思います。坂東流の家元でもあるし。

 

しかし、もともと役者としての才能はとてもあり、何をやらせてもうまい!声も張りがある、踊りもうまい!というわけで、最近ではとても落ち着いてきてますます大きな役者に成長しているなあという感じがします。

お父さんにもとっても似てきましたね。

 

その追善狂言に「寿曽我対面」が選ばれたのは、お父さんが2001年の三津五郎襲名のときに、曽我の五郎を初役で勤めたから。今回同じお役を初役で勤めました。

 

だからということもないでしょうけれど、いい意味でとっても力が入っていて、いい五郎でした。曽我の五郎というのは、仇相手を目の前にして、カッカと血が上る若者なのですが、兄十郎に押さえられながらも、張りのある声、血が上っている、三方を踏み壊す、工藤にねじりよる。舞台に緊張感が走るとても立派な五郎でした。

みっくん、無事千穐楽終えてほっと一息ですね。おめでとうございます!!

 

さて、寿曽我対面は、私も大好きな演目ですが、今回の巳之助のほかの印象に残ったお役。

 

工藤祐経 菊五郎

 

いやあ、素晴らしかった。菊五郎の声って、本当に天下一品ですね。文七元結のオープニングの「今けえったよ」の一言も、他の役者では出せない味があります。

 

今回の工藤もすばらしい。姿もすばらしいが、とにかくその存在、そして声。ただ大音量を張り上げるのではなくて、深い深い。深くて包容力のある声です。惚れます~。

 

化粧坂少将 梅枝

 

美しすぎて、そのまま冷凍保存したいくらいです。あんなおちょぼ口から出る声も、張りがあって良く通るんですね。

 

雀右衛門の大磯の虎もかわいかったです。

 

対面は、それぞれのキャラクターが個性的なので、昔の人のデザイナーセンスには本当に脱帽ですが、またそれをいろいろな人が演じることで新しい魅力が生まれるのがなんとも面白いのです。