10月は、コロナの感染者が激減して、あっというまに東京は10人台にまでなった。5000人を超えた8月のあの騒ぎは何だったのだろう。いろいろな理由があるのだろうが、やはりワクチンの効果は大きかったのではないだろうか。
まだまだ油断はできないので引き続き感染予防には努めるが、とにかく晴れやかな気分にはなった。気持ちが軽くなった。街は人が増え、電車にも座れなくなってきた。街の人は、少ない方がよいけれどね…。
今月、一つ選ぶとしたら
歌舞伎座はまだ座席ほぼ50%を守っていてくれてありがたい。えらいなと思うけれど、松竹の関係者の方は「臆病なだけですよ」と言っていた笑。ありがたいですよ。
幕見や大向こうはいつからOKになるのだろう。そして團十郎襲名は?来春くらいなら、そろそろ発表もあるはずだけれど。判断がむずかしいところだろう。敵はいつどんな規模でやってくるかわからないからなあ。
今月は、歌舞伎座、新派、結城座、国立劇場、映画「燃えよ剣」、素浄瑠璃の会、国立名人会(落語)、太田美術館、東劇などに行って来た。
歌舞伎座の「天竺徳兵衛」「松竹梅湯島掛額」もよかったけれど、あえて一つだけ選ぶなら、通しをやってくれた国立劇場の「伊勢音頭恋寝刃」に謹んで1票捧げたい。あと新派がとてもよかった。
個人的には長野に行き、北斎館と岩松院が思っていた以上によかったことがうれしかった。俄然浮世絵熱が再燃。しばらく燃えそうだ。
文化勲章、文化功労者発表
10月は、11月3日の文化の日を前に文化勲章受章者発表の月でもある。歌舞伎界から尾上菊五郎丈が文化勲章を贈られた。とてもおめでたいことだ。その取材会の記事を読むと、笑いあり、真摯な思いあり、妻への感謝あり。そして「オリンピックの年に歌舞伎界が金メダルをいただいたような気持ち」という言葉。歌舞伎界全体でいただいたという気持ちがとてもいいなと思った。
79歳の菊五郎さんはいまだに一日たばこ40本、晩酌にはウィスキーをがぶがぶというからビックリ。散歩をした方がいいと思っても、なんだかんだ言い訳をしてごまかすという菊五郎さん。なんてチャーミングな方だろう。先輩方の想い出や、今は楽屋でのやり取りが少なくてちょっぴり寂しいと言いつつも、若手に対する包容力にも、懐の大きさを感じた。
「いつまでも色気を追求し、『もてたいな、褒められたいな』という煩悩を持ち続け、役者を勤め続けていきたい」とのこと。
いつまでもお元気で!
先日の「素浄瑠璃の会」でも重の井子別れの段を熱演していらっしゃった。
三吉が泣くのをこらえながら歌う母への別れ歌
〽坂は照る照る、鈴鹿は曇る
という馬子唄。涙なくしては聞いていられなかった。
同じ月にお二方の至芸を見られたことは、無上な幸せ。その一方で、落語の柳家小三治の訃報が伝えられ、こちらは最後の噺を聞くことは叶わなかった。長い間お疲れさまでした。合掌
月末ぎりぎりで、「ふるあめりかに袖はぬらさじ」を見に東劇に行った。本当に面白い。何度見ても面白いものは面白い。案外喜劇は、一度見るとその時は面白くても、2回目はもういいやとなりがちだけれど。これは紛れもなく名作だ。
11月はどんな月になるのか、もう師走も目の前だ。このままコロナも収束していきますように。皆様もどうぞお元気で。
さて、それでは雨の降る前に選挙に行ってくるとしよう。。