今月は紀尾井町家話での配信を2本見た。昨年コロナ禍で始まった紀尾井町家話をすべて見ているわけではないけれど、とてもいい。というか、最初は贔屓の役者が出演のときだけ見ていたけれど、次第に知らない人が出てきたときも、それはそれですごく面白いということがわかったので、はまりつつある。
松緑って、正直に言うと今までそれほど贔屓の役者ではなかったのだ。おじいさんの2代目松緑とお父さんの辰之助が大好きだった。当代の松緑は、おじいさんともお父さんとも雰囲気がちょっと異なるものだから、ちょっと敬遠していた。でもそれってずいぶん本人には失礼な話で、たぶんそういう空気をいっぱい感じて、苦労して今までやってきたのだと思う。本当にいやというほど。
次第に、松緑ブログを読むようになり、割ととんがっている人なんだなあ、くらいだったけれど、ここ1年で随分印象が変わった。
紀尾井町家話は、紀尾井町(って、松緑のこと。紀尾井町に住んでいたから)が席亭となって、3,4人でお酒を飲みつつしゃべっているだけのもの。松竹の戸部さんも入っているので、合間合間に写真もはさむ。
2時間以上もしゃべっているのを聞くだけだけれど、なかなか興味深い。内容については、お酒を飲んでいる上での戯言ゆえ、拡散はしてほしくないとのことなので、細かくは書かないけれど、こんな特徴がある。
好きな役者はもっと好きに。知らない役者の魅力も知る
ゲストの趣味の話や、ふと垣間見える家の中の様子なども魅力だったりするが、今までよく存じ上げなかった人がこんなにも魅力的な人だったのかと知ることもあって、それからは、芝居を観るにも新たな興味がわく。
私が今までで一番印象が変わって、大好きになっちゃったのは、山崎咲十郎さんだ。彼が出るときは絶対見る!次回出る(^^)/
顔も格好いいので、プロフィール写真は早々に変えたほうがいいと思うが、なんというかその外見だけではなくて、スタイル?歌舞伎界の兄貴分みたいなたたずまいがいい。
役者以外の人との交流も豊富
役者だけではなく、三味線、長唄などの専門家もどんどん出演。その幅広い交友関係がうかがえる。ざっくばらんな話、専門的な話、どれも楽しいし、ためになる。
想いは深く、裏話は楽しい
昔、あの芝居でいっしょにやったねというような話では、記憶力の良さに驚くばかりだ。いついつのどこの巡業で、どんな演目をやって、そのときに誰が何をやって、とまあよく覚えていること。私などは先月何を見たかもあやふやなのに。。あ、若干1名そんな人もいたな(笑)。今コロナ禍でどんな思いでいるのかという一端を知ることもできた。先日の猿之助の〆の話では、そんな心意気を改めて知ることもできた。
松緑のこまやかな気配りでみんな楽しい
そして、感心するのは松緑のこまやかな心配りである。ゲストは毎回、3人くらい。最近は一人アシスタントが入る。(ゲストとアシスタントの違いはよくわからない (笑))。
ゲストはしゃべる人ばかりではないが、必ず全員が置いてけぼりにならないように、「あれって、こうだよね」「これは、君はどうなの?」と話を振る。
思わず出る本音、昔のエピソード、奥深い歌舞伎や邦楽の話。ざっくばらんな雰囲気でパソコンのこちらで聴いていると、なんだか居酒屋に共にいて、皆さんの話を聞きながら一杯飲んでいるような気さえしてくる。
以前歌舞伎座ギャラリーでやっていた歌舞伎夜話というのがあって、私も何回か参加した。その中で松緑が出演のときは、お酒持ち込みでやっていたらしく、それがコロナでそのまま家話にスライドしたという形らしい。
歌舞伎座ギャラリーでの歌舞伎夜話は、やはり間近で役者さんを観ることができるのでコロナが落ち着いたらまたぜひやってほしいけれど、紀尾井町家話は、これはこれで貴重なので、続けてほしいな。
あと、松緑さんのワンコがかわいい。それから松緑さん、めっちゃお酒がつおい。
でも、コロナが終わったらお外に飲みに行っちゃうから、もうやってくれないかな。
次回は8月6日の8時~。
ゲスト:中村京純、中村京由
アシスタント:尾上緑、山崎咲十郎 です~。
紀尾井町夜話特別編 「紀尾井町家話 第四十四夜」 【Streaming+(配信)】のチケット情報(2021/8/6(金)~2021/8/7(土)) - イープラス
あ!!ここまで書いておいてなんだが、まったく歌舞伎を観たことのない人にとっては「紀尾井町家話」は、全く何がなにやらわからないと思うので、「初めての歌舞伎を楽しもう」から趣旨ははずれたかもしれない!!
歌舞伎を観たことがないのに、「紀尾井町家話」の配信を見るという無謀はしないように…。