8月の歌舞伎座の紹介記事を書いていたときに、大変なニュースが入ってきました。
猿之助。コロナ陽性。
https://www.kabuki-bito.jp/news/6945
通常、歌舞伎美人では
「●●がコロナ陽性が確認されたため、云々」という淡々としたニュースなのに(というような気がしますが違いましたっけ)、今回はまどろっこしい書き方をしていて、それが気にかかりましたが、松竹にとってもそれほど激震だったということでしょうか。
そのショック、いかほどにや。まして、本人はどれほどショックだろうかと思うと私などが軽々しく書くのも申し訳ないほどです。
6月の「日蓮」7月の「蜘蛛の糸宿直噺」に続き、8月の1部で上演予定だったのは 三代猿之助四十八撰の内「加賀見山再岩藤」で、澤瀉屋の中でも大切にしている演目。その中でも、猿之助はもちろん主役で6役早替わりをする予定でした。
楽しみにしていた人はたくさんたくさんいるし、さぞ本人も気合入っていたことでしょう。
細心の注意を払い、感染予防に命をかけていた猿之助
7月12日の「紀尾井町家話」でゲストで出演したときには、はぐらかしの話の中でも、最後の〆の話の時にシャキッと。
コロナ禍で、どれだけ多くの人が芝居を開演できるように、どれだけ努力しているか、赤字覚悟で舞台をあけ、部が終わるごとに席の消毒をし、楽屋でも細心の注意を払ってスタッフが感染予防に努めていること、あたり前に舞台ができているわけではない。だからこそ、自分たちも完璧な感染予防策を講じた上で、毎日舞台の上に立つし、明日はどうなるかわからないという危機感をもって舞台の上に立っているというようなことを、語っていました。非常に真摯に語っていました。
その猿之助にして、コロナ感染か…。というショックですね。
どんだけ怖いんだ、コロナ…。
幸い、今は無症状とのことなので、せめて事前のPCRで分かってよかったと思うしかないけれども、つくづく恐ろしく、厄介なウィルスではありますね。
代役は巳之助
すぐさま代役、坂東巳之助が指名され、坂東巳之助が演じるはずだった鳥居又助役は中村鷹之資。鷹之資が演じるはずだった蟹江主税は、市川猿四郎が代役を勤めることが発表されました。門之助さんのブログによれば、オンラインで即指導が始まっているとか。3日が初日ですから、すごいですね。てか必死でやりますよね。
あっという間に代役が決まり、通常通り公演ができるのも歌舞伎のすごいところではあります。
昔は、歌舞伎でも代役をあらかじめ決めていることはなく、「大変だ!」となってから慌てて探すというやり方だったそうです。ある役者が舞台で倒れてしまい、たまたま楽屋挨拶に来ていた役者が「羽織をぬげ!」と言われて代役を勤めたなんてこともあったとか。
しかし、昨今の状況ではそうはいかず、あらかじめ、代役がある程度決められているそうです。それにしても、それにしても大変だ。みっくん、がんばれ。彼ならやれる!
回復を待つ!
6月の日蓮で気迫の舞台を演じ、また7月には鮮やかな早替わりで観客を魅了した猿之助、今は、悔しいでしょうがしっかりお休みください。お早いお戻りをお待ちしております!
ところで7月の1部で共演していた松緑がすぐさまブログを更新。そこでは、自身は濃厚接触者にはならなかったという報告とともに、今回のニュースに対する驚き、猿之助に対する気配り、心配など、気持ちにあふれています。いうことなしです。
タイトル953
本日と明日、公演予定の弘太郎さんの自主公演も予定通り開催されるそうです。
無事に公演を終えられますように。
私たちは祈ることしかできないなあ。無力。。