「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

連綿と続く、連獅子の連獅子たるべき連獅子~勘九郎・勘太郎

続いて連獅子。

 

勘九郎勘太郎の連獅子

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ここ2,3年で何度もかかっている連獅子。
私が見たものでは、
2018年国立劇場歌舞伎教室。又五郎歌昇親子
2019年歌舞伎座幸四郎染五郎親子
2020年歌舞伎座猿之助團子、これは親子ではないけれど、團子の父が猿之助と従兄弟という関係。
2020年オンライン配信で、勘九郎七之助兄弟

ですか。ほかにもあったかな。今年の1月に松也愛之助が、ちらっとみせたり。

ことほど左様に、親子でやることも多い連獅子。その方が見る方も感情移入しやすいだろうが、その都度新鮮で違いが楽しめる。

それぞれ私の印象は


正統派、王道を行く又五郎歌昇
クールでシャープで熱かった 幸四郎染五郎
スピード感で随一 猿之助・團子


という感じだったが、今回の勘九郎勘太郎はどういえばいいのか。

「けなげ」という言葉がデビュー当時からぴったりな勘太郎。その勘太郎を時に厳しく、時に慈愛に満ちたまなざしで見守り続ける勘九郎


勘九郎は、10歳のときに父・十八世勘三郎と連獅子を踊っている。その十八世勘三郎もまた13歳のときに父・十七世勘三郎と踊っている。
子獅子を谷底に突き落とし、上ってくるのを待つ親獅子そのままの「連綿と続く、連獅子の連獅子たるべき連獅子」とでもいえばいいんだろうか。
それがどこの家でも当てはまるというのなら「けなげでまっすぐな連獅子」か。

勘太郎はわずか9歳。
勘九郎は、10歳のときに父、勘三郎と連獅子を踊っているので、そろそろやりたいという気持ちはあったのかもしれない。けれども今年、本当にできたのは、コロナのせいだろう。

緊急事態宣言が2020年4月に発令され、3月からは歌舞伎の上演が中止となった。勘九郎は、3月には明治座で「桜姫東文章」、5月にはTBS赤坂ACTシアターで「怪談牡丹燈籠」、歌舞伎座では6月の團十郎襲名で「外郎売」「二人三番叟」が決まっていた。大河ドラマでの主演のため、しばらく歌舞伎から遠ざかっていたがやっと思い切り歌舞伎ができる年になったはずで、そうであれば子どもに踊りを教える余裕などはなかったに違いない。

ところが3月以降7月まで歌舞伎のすべてが中止となり、ステイホーム。そのステイホーム期間中に、連獅子を勘太郎に教えたのだという。

「その後、演目でやることが決まり11月にやり直してみたら、すっかり忘れていたのでびっくりして、それからは毎日練習しました」と勘九郎が語ったのは、どのメディアでだったか。

勘太郎という人

勘太郎は、なんでも小器用にさっとこなすタイプではないと思う。中村家のスペシャル番組をみていたら、8歳だったかになっても自転車に乗れなくてモタモタ練習をしてようやく乗れるようになった。逆上がりもできない。やっとできたのかな。小3小4の男の子で自転車にも乗れず、逆上がりもできなかったら、どんくさい認定だろう(ちなみに、私は小3で逆上がりがやっとできるようになったとき、もうクラスでできない子はほとんどいなかった)

もちろん、それだけをもって、勘太郎が運動神経が鈍いとかいうつもりはない。全く逆上がりや自転車乗りに興味が向かず、一心不乱に歌舞伎に邁進していたのかもしれないし、その機会がなかったのかもしれない。でもそのどんくさいところが、なんというかとてもいいなと思うのだ。

勘太郎はまっすぐだ。けなげだ。素直だ。愚直と言ってもいい。真摯だ。不器用だ。たぶんごまかさない。

勘九郎と踊る連獅子は、ぶれることがなく、ぴしぴしと要所要所が決まっていた。見るべきところを見て、正しい角度に手を挙げ、足を延ばし、腰を落としているから見ていてとても気持ちがよかった。

そうだ。股関節がとても柔らかいのか、グッとMの字に腰を落としていたのは、あれは天性なのか、努力の賜物なのか。毎日股わりとか練習していたら、あれだけ下半身が強くなるのか、はたまた何もしていないのか。

團子や染五郎が踊った2019年12月と2020年1月に
「がんばっているなあ!細かいところはまあ、まだ若いし。ニコニコ」と甘い点をつけたような気がするけれど、勘太郎にはそれがなかったような気がする。すごいことだ。

十七世勘三郎を見たことのある人は、だんだん少なくなっているかもしれないけれど、勘九郎勘三郎と踊った連獅子を見たことのある人は多いだろう。その人が今、この連獅子をみたら、泣くだろう。
これから我々は、勘太郎を見守り、見続ける。何十年か後に、大きくなった勘太郎が、勘太郎の息子と連獅子を立派に踊ったら、そりゃあ泣くだろう。

今十七世勘三郎に思いを馳せ、十八世勘三郎を忍び、勘九郎の成長を喜び、涙する人と同じように。

連綿と続く歌舞伎の魅力は、そこにこそある。

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▲曾祖父さんもご満悦

 

歌舞伎座を揺るがす拍手。声にならない声。声がなく拍手だけで全体が沸き上がるような歌舞伎座を初めて経験した。

 

連獅子の概要についてはこちら!

munakatayoko.hatenablog.com