「初めての歌舞伎を楽しもう」munakatayoko’s blog

すばらしき日本の芸能、歌舞伎。初心者にわかりやすく説明します♪

国立劇場 四天王江戸鏑~めちゃ楽しくて、現実忘れる~

国立劇場は、もう少し先の日にチケットを取っていたのだけれど、緊急事態宣言が出るかもしれないということで、「こりゃ、観られなくなったら大変だ!」と本日行ってきました。

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国立劇場のお正月。例年ですと、鏡開き、曲芸、獅子舞などがロビーで行われ正月気分が盛り上がりますが、今年は中止。お芝居の中での手ぬぐいまきも中止。盛り上がるのかなあなどと思いつつやってきましたが、どうしてどうしてやっぱり明るく楽しく、いやなことを忘れて、今年も楽しくやっていこうかい!と思えるような芝居を見せてくれたのでした。

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ああ、楽しかった! お話は、予習はいらないんじゃないだろうか。それは、すべてわかるよという意味ではなく、分からなくても問題ないよ!という意味で(笑)。

 

お話は「四天王御江戸鏑」。四天王というだけでピーンと来るなら通だけれど、ベースは、「源頼光を狙う土蜘蛛の精。頼光とともに成敗する四天王」です。

 

あれ、なんか聞いたことある?そうです。最近でいうと、2020年10月歌舞伎座蜘蛛の糸宿直噺」ですね。

 

ビュービュー蜘蛛の糸を巻き散らかしてくる蜘蛛の化け物に戦いを挑む頼光と四天王。

 

あのお話をいろいろとふくらませたお話です!

 

お正月の国立劇場は、いつも復活狂言で、「通し」。

 

今時の若者がみても面白いように、構成を変え演出を考え、セリフを工夫し、ストーリー性も大立ち回りもある、新作といっていい非常にエンタメ性の高い演目が毎年上演されています。

 

尾上菊五郎劇団」と銘打っているのはこの正月公演だけで、菊五郎自身の気合の入り方もどこかほかの公演とはちがうのではないでしょうか。よくこの時期に、例年通りにやってくれたなと劇団の皆さんには感謝感謝です。

 

毎年必ず時事ネタも入るのもお約束。今年も、コロナネタあり、NiziU の縄跳びダンスあり、ソーシャルディスタンスあり。大いに笑わせてくれました。

幕開けは、三番叟で気分アゲアゲ。15日までは萬太郎クン。16日から千穐楽までは右近クンです。

 

序幕の相馬御所の場は、相馬太郎良門が謀反の企てを決意する宴のところだが、出てくるのが星鮫入道蒲鉾、鰊(にしん)の局、鰈の七郎盛付(かれいのしちろうもりつけ)、鮃九郎一裂(ひらめのくろうひときれ)など名前がおかしくて楽しい。

源家に謀反を起こすなら、源家に遺恨を残す妖怪を味方にした方がよかろうということで、土蜘蛛をよみがえらせてしまう。

 

さて、土蜘蛛の精は、菊之助。その美しさよ。土蜘蛛を世によみがえらせて、ドロドロドロと出てくるところですが、序幕相馬御所の場の最後の場面です。とても妖しくて美しく、あの歩き方は何?蜘蛛なの?上下動があるような、少し不思議な動きでした。

ものすごく美しい。引っ込む前にかーっと怖い顔するよ!

 

まずは土蜘蛛の精として出てきますが、次には土蜘蛛の精が化ける女郎花咲として登場。これまた女郎の美しさでべっぴ~ん。

 

菊五郎渡辺綱は、身分を隠して町人の綱五郎になっているのですが、女郎花咲(菊之助)と綱の許嫁の院使弁の内侍(右近)の、両方から迫られるんです!

 

ほかにも楽しい仕掛けはたくさんです。

「松竹梅湯島掛額」でおなじみのお土砂もでてきます。その粉をかけられるとみなふにゃふにゃになってしまうというお土砂です。

幕引きの若者まで粉をかけられて、ふにゃふにゃに。

こいつあしまった。幕がしまらねえと、菊五郎丈が幕をしめていきますよ。菊五郎丈は、楽しそうに粉を振りまいて、全員ふにゃふにゃにしてしまうのですが、本人、絶対楽しんでると思う(笑)。

 

最後の北野天満宮の場は、炎に焼き尽くされる場面も、なかなかすごいですよ。マハーバーラタを思い出すような!

 

それから、しゅるる~の蜘蛛の糸ですが、「蜘蛛の糸宿直噺」などのときには、床に落ちた糸をくるくると回収する後見さんでしたが、今回はちょと違う!空中にあるうちにしゅるしゅると回収するんです! その前では、軍兵たちがくるくるととんぼを切る、まるで新体操じゃないか!そこも見ものですので、ぜひお見逃しのなきよう。

 

新体操を絶対意識していると思うな!

 

実は、私、年末にコロナの濃厚接触者に認定されてしまったために、自宅軟禁の目にあっていました。幸い陰性だったのですが、潜伏期間があるということで、陰性でも2週間は自宅軟禁。日常の買い物は、短時間ですますには構わないのですが、電車やバスに乗ってもいけないし、ましてや人に会うのもNG。

 

陰性判定をされるまでは、かなりドキドキしましたが、おかげで、どこへも行けずまあ、結果的にはよかったかも。夫婦で濃厚接触者になったので、家の中で気を使いすぎるということもなかったので、助かりました。子どもも呼べず、結婚以来初の夫婦二人での正月を迎えることとなりました。陰性なのに2週間は長いよーと思いましたが、本日のニュースにあった志の輔師匠、濃厚接触後2週間目に肺炎にというニュースもありましたので、やはり、あなどれません。皆様くれぐれもお気をつけください。

 

でやっと昨日娑婆に出てもよしとなりました。そこに緊急事態宣言出るかものニュース。

これは、もう今行った方がいいんじゃないの。ということで行ってきたんですが、行ってよかった楽しかった。席も満席に近く(満席は50%だけれど)それもうれしかった。役者のみなさんもうれしかったのではないかしら。

ちょっと暗い現実をぶっ飛ばしてくれるお正月の国立劇場。ありがとうありがとう。

 

ぜひ千穐楽まで無事につとめられますように。